こないだ、テレ朝で昭和歌謡を懐かしむ番組が午後7時~9時までの2時間放送されていました。ゴールデンタイムで2時間ですから、ある程度の数字は取れると判断したのでしょう。誰が松田聖子や中森明菜の全盛期に40年後も彼女たち中心の番組がゴールデンで流れると予想していたでしょうか。少子高齢化が止まらない日本の現状を表していると言えます。
とはいえ、少しずつ時代は進んでいて、こうした番組で定番だった山口百恵が外されていました。これには時代の変化に加えて、社会の変化があります。
百恵さんは結婚して引退し、家庭に入る生き方を選び、人々から称賛されました。一方の松田聖子は結婚して子供ができた後も精力的に仕事を続け、批判的に受け止められました。
それが現在では逆転した形です。女性の社会進出が強く求められる時代になり、普通の女性が山口百恵的な選択をすれば、むしろ批判される立場になったのです。
番組は全部見た訳ではないのですが、松田聖子の1位は「赤いスイートピー」、中森明菜の1位は「飾りじゃないのよ涙は」でした。明菜さんの1位は少し意外でした。
個人的にランキング外の曲を1つずつ挙げると、聖子さんは「ボーイの季節」、明菜さんは「トワイライト-夕暮れ便り-」を選んでおきます。
「ボーイの季節」はリアルタイムでは記憶にないです。この頃は結婚も決まって、テレビ出演も少なくなっていたからでしょう。90年代のアルバムで知りました。作詞作曲は尾崎亜美。美しいバラードで、聖子さんの伸びのある高音が心地良い名曲です。
「トワイライト」は作詞・来生えつこ、作曲・来生たかお。このコンビのバラードでは「セカンド・ラブ」という初期の名曲があり、トワイライトは忘れられがちなのですが、まだ10代ながら歌唱力に定評のあった明菜さんが、丁寧に切々と歌い上げています。僕自身にとっても、初めて友人とレコードを買いにいった頃で印象に残ります。
松田聖子と中森明菜。何もかもが対照的だったからこそ、同時代に歌姫が奇跡的に並び立つことが出来ました。