王位戦第4局は藤井聡太王位が挑戦者の豊島将之九段を95手で下しました。これで藤井王位の3勝1敗となり、防衛に王手をかけました。
豊島九段のコロナ感染により延期された本局、豊島九段の体調、また藤井王位の実戦感覚など心配な面もありました。
ともに飛車先を突き合い、5手目に先手の藤井王位が角道を開けたことから、角換わりの可能性が高まりました。実際に戦型は角換わりとなります。この戦型の場合、かなりのところまで定跡が整備されているため、1日目で終盤の入り口まで進んでも不思議ではないのですが、難しい駆け引きが続き、比較的穏やかな1日目となりました。
以外だったのは豊島九段の封じ手でした。銀を歩の上に打ったのです。もともと豊島さんはこうした手が好きで、何度か見たことはあるのですが、藤井玉は離れているし、少し苦しく見えました。豊島九段は銀損しながらも、龍とと金を作りました。しかし、その間に放たれた藤井王位の5六角が絶品で、直接的にはと金の侵入を防ぎ、後に攻撃の起点にもなりました。さすが角使いの名手ですね。
その後、形勢は藤井王位に傾き、豊島九段も最後まで勝負を捨てず指しましたが、届きませんでした。本局のMVPは角ではないでしょうか。藤井君も角の働きを大いに誉めていると思いますね。