ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

秋ドラマ・日本シリーズ・将棋竜王戦

2017-10-30 07:32:51 | Weblog
秋ドラマが始まって、半月ほどが経ちました。今のところすべて、視聴しているのは「陸王」と「監獄のお姫様」。

「陸王」は見ごたえがあります。ある意味では「半沢」「下町ロケット」とこのところTBS日9がお家芸の池井戸原作なので、安定した良作になりそうです。昨日の役所広司と寺尾聰のベテラン俳優のやり取りはよかったです。

「監獄のお姫様」は何より女優陣が豪華。個人的には小泉今日子と菅野美穂の共演に感慨があります。小泉さんは自分が小学生のころにデビューし、ほとんど浮き沈みなくトップアイドル、女優として君臨してきました。何か月か前「コイズミクロニクル」という記念碑的なCDアルバムを買ってきました。自分自身を「コイズミ」と名字で名乗り始めたのも、この人が先駆者だったような気がします。

菅野美穂はブログでも何度も書いているように、自分にとって特別な女優です。さすがに昔ほど、ビデオで何度も見返すことはなくなりましたが、今でも最も好きな女優です。クドカン脚本で二人がどんな化学反応を起こすのか楽しみです。

あとは、綾瀬さんのドラマを一度見たくらいですかね。綾瀬さんと広末さんの組み合わせもある意味では豪華。国民的女優と元国民的アイドル。「ヒロスエ」と呼ばれていた頃の人気は凄かった。

気になるのは主演俳優の高齢化。個人的には好きな女優ですが、篠原涼子が40代で月9初主演というのが象徴的です。かつて飯島直子さんが初の30代月9初ヒロインと言われたのが15年以上前なので、ずいぶん年齢が上がりました。今期の民放ドラマには20代主演が一人もいないそうです。若者のドラマ離れがさらに進みそうです。

日本シリーズはソフトバンクが2勝。実力差がそのまま出てしまっています。ベイスターズ日本一の可能性は10%程度でしょう。とにかく例の甲子園での泥んこ試合、15ゲーム差近く離されたチームが、日本シリーズに進出するという日本シリーズの権威を失墜させるだけのくだらないクライマックスのシステムは、すぐにでも見直してほしいところです。

渡辺竜王に羽生棋聖が挑戦する将棋の竜王戦は羽生さんが連勝スタート。羽生さんは永世竜王がかかった大事な戦い。それに対し、渡辺竜王は去年の三浦九段のスマホ問題が濡れ衣という判断となり、渡辺竜王はさらにヒールとなってしまったようです。よって多くの将棋ファンは羽生さんの勝利を願っていると思われます。しかし、渡辺さんは変な忖度はせずに、全力で勝負に挑んでもらいたいところです。

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君はどんな春を迎えるのだろう(一話完結)

2017-10-25 20:19:39 | 短編
初めて彼女に会った時、有人は、彼女を直視できなかった。肌は目立って白く、黒目がちな瞳、長い睫毛、長い黒髪が、彼女の色白の顔をさらに引き立てているようだった。
「世の中にこんなにも美しい人がいるのか」
有人の偽らざる感想だった。
「佐藤君、この子に仕事教えてあげて」
年配社員の横で井川杏は僕に軽く会釈した。
 
3か月が過ぎた。杏はとっくに有人の職場を辞め、現在コンビニで働いている。有人は映画館の中にいる。隣には杏の横顔がある。職場で杏に連絡先を教えたらしく、杏が仕事を辞めてから一週間ほど後、メールに杏から「今度会おうよ」とのメッセージが入っていた。二人きりで会うのは今日が5度目だ。有人は、そろそろ杏と会うのはやめようと思案していた。
 
有人は映画館のような場所が苦手だ。パニック障害という病気なのだ。窒息死する恐怖を乗り越え、電車に乗り、せっかく合格した大学も2年で中退した。この館内は大学の大教室に似ている。この日に備えて、不安を抑える頓服薬を飲んできたものの、効果のほどはよくわからない。とにかく有人は地獄と天国が同居している状態にあった。
 
ほとんど俯いていたが、映画が終わりに差し掛かる頃、杏の顔を力ない目で見た。涙ぐんでいた。映画に集中し、自分の様子に関心がないことに有人は安堵した。
 
二人は映画館を出て、近くの喫茶店に入っていた。木枯らしが枝を揺らし、辛うじてしがみついた葉々が風に揺れながら舞っていく。
「つまらなかった?」
「うん。どうも洋画は苦手だね。しかも恋愛ものだし。アクションものならともかく」
「せっかくいい作品なのに、もったいない」
杏は少々、不満げな言葉を並べたが、それ以上に自身の感動、興奮が勝っているようだった。
 
杏はよく家族の話をする。両親と、すでに結婚した姉と兄の5人家族。杏の柔和な顔を見れば、彼女が皆に可愛がられて、育ったことはおおよそ想像できる。そしてこの日も話し出した。
「子供のころ、柴犬を飼っていてね。それがすごく私になついてて。でもある日、突然、死んでしまったの。8年生きたのかな。その日は家族全員で泣いたんだ」
有人はその話を聞き、杏とはもう会わない決断を下した。彼女のどこにも自分の入る余地はないと感じた。
 
「また今度、メールする」
杏は笑顔だった。何よりも美しい笑顔が夕日に照らされながら、有人に哀しく焼き付いた。
「うん、わかった」

杏は背を向け、歩き出した。有人も逆方向へ歩き出した。彼は途中で振り返り、間に入ってくる人々を縫うように杏の後姿を見ていた。5階建てのビルを彼女が左へ曲がるまで。
 
有人は、桜並木を知らない若い男と肩を並べて歩く杏を想像した。
「君はどんな春を迎えるのだろう。どうか良き春を」
 
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メンタル天気

2017-10-23 23:03:24 | 
晴れのち曇りのち
苦しみのち苦しみ、しばらく苦しみ
孤独のち孤独のち寂しみ
不安のち不安のち不安
朝、薬は忘れずにお飲みください
 
前線は北上し、しばらく安定した天気が続くでしょう
そんな秋空の下

悲しみのち哀しみ
苦悩のち苦悩
もがきのちのたうち回り、やがて諦観
 
気分の波はやや高く
明日の自殺者数は平日並みでしょう
 
 
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選挙とボクサー

2017-10-22 22:57:05 | 
大型の台風が接近しているというので
普段、仕事帰りに立ち寄る投票を仕事前に済ませた
そして票をドブに投げ込んだ
 
意に反して、帰りの雨は大した事はなかった
選挙の開票は大方の予想通り進んでいる
 
選挙の金太郎飴の中で、彼は戦っていた
一度勝ったはずの相手と
前回と同じく勇敢な戦いぶりだった
彼の強さを認めた相手は勝利を捨てた
彼はついに世界チャンピオンとなった
 
勝利後のインタビューでアナウンサーが「泣いてますか」としつこく聞くから
彼は「泣いてない」と答えた
彼は泣いてなかった
ただ、少ししょっぱい透明な液体が目から零れただけ
前回の判定に全く文句を言わず
むしろ自分の不甲斐なさを反省し、あらゆる苦しみに耐えた
「敗戦相手の想いを背負っていく」
彼はそう語った


 
 
 
 
 
 
 
 
 
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男は死ななきゃいい

2017-10-20 22:29:04 | 
開発も極まれり
絶望のビル街
その地下に希望は眠っているか?
ビルの向こうに夢はいるか?
強固で広大なビル群ゆえ
確かめる術もなく
ただ立ちすくむ
 
昔の友よ
元気で生きているか?
俺はまだ生きているよ
「男は死ななきゃいい」と言い合ったあの頃
本当にそうだろうか?
そんな答えなんて考えようともせず
あの頃は幸せだった
 
 
 
 
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終りの予感

2017-10-12 08:07:53 | 
病気に被さる様に

深々と孤独が増してくる

年のせいなのだろうか

あとひとつ荷物が乗ったら

今すぐにでも倒れそうだ



「いま、個人商店じゃ大変じゃないの?」

お客さんに声をかけられる

まさにその通り

店の経営も追い込まれた

もう終りかもしれない、すべてが



自宅から店へ歩いて向かう途中

秋の優しい光が、僕に問いかけるように降り注ぐ

「もう少し生きてみなよ」

そう聞こえなくもなかった

名も知らぬ花たちは風に揺られて手を振っている

「君たちは強いね」と僕は語りかけた




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あなたが壊れ物ならば

2017-10-08 21:26:41 | 
ご多分に漏れず

あなたが壊れ物ならば

それだけで愛しい存在


あと3年で壊れれば、3度の春夏秋冬を味わい

あと10年で壊れれば、10度の桜の咲き散りに心を揺らし

あと50年で壊れれば、さまざまな壊れ物を目にするのだろう


壊れた時

あなたの喜びは消え

あなたの悲しみも消え

あなたの苦しみも消え

誰かが涙するのかもしれない


そして土に帰り、海に帰り、空に帰り

想像もつかない長い時を経て

やがて芽となり、雨となり

静かにこの世界に

また戻ってくるのだろう


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地獄の1丁目1番地

2017-10-04 12:42:59 | 
ここは地獄の1丁目1番地

僕は親友のレキソタンを飲み、この場所からの脱出を試みる

しかし、いつもの通り、歩けども歩けども

電柱の案内には地獄1-1とある


僕はここに30年近く前から住んでいるのだが

地獄の街並みも随分変わったようだ

昔は見るからに落ち込んだ人が多かったが

最近は見た目が普通の人が増えてきた


人の入れ替わりもあり、僕はかなり古い住人となった

子供の頃に引っ越してくる人もいれば

年老いて、最期の地として流されてくる人もいる


僕は今日も地獄の1丁目2番地を探し続けている

生きているうちに、そこへ引っ越したいのだ

どんなに素晴らしい街なのか知りたいのだ
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