里見香奈女流五冠は編入試験の3局目も狩山四段に敗れました。これで3連敗となり、編入試験不合格となりました。
内容的には1局目はともかく、それ以降は里見さんらしい将棋ではなかったですね。攻めることを忘れてしまったように見えました。重圧が大きく実力が出せなかったのは確かだと思います。しかし、勝負の世界では里見さん自身も口にしたように「実力不足」ということになります。
「将棋は女性に向かない」という僕の考え方を変えたきっかけは里見さんでした。
すでに女流では第一人者だった里見さんが奨励会1級に編入し、二段に昇段したと知った時、少し驚きました。ただ、好きな漫画は「空手バカ一代」、ファッションなどにも興味を示さない。女子力では妹で女流棋士の咲紀さんの方が遥かに高く、しかし、そうした性質が将棋にはプラスに働いているのではないかと思いました。
里見さんが奨励会三段に昇段しても「彼女は特別」という考えが拭えませんでした。そんな時に、また女性が奨励会三段に昇段したのです。現在、女流二冠の西山朋佳さんです。西山さんは三段リーグでは里見さん以上の成績を残し、プロ棋士まであと一歩の成績を残しました。この辺りで僕の考え方は変わりました。女性の将棋人口が少ないだけで、男女の能力差は気にする程のことではないのではと。
しかし、今回の試験とは別の話ですが、僕は子供の頃、女子と将棋を指したことがありません。相手は必ず男子です。その状況は今もさほど変わってません。子供、学生は圧倒的に男子が多いです。おそらく、将棋というゲームが男性が楽しいと感じやすい性質があるのでしょう。なので女性が男性の棋士に実力的に近づくのは、かなり難しいかもしれません。
とはいえ、昔に比べれば、男性プロ棋士と女流のトップ棋士の差は格段に縮まったことは間違いありません。
今後も里見さん、そして西山さんには機会があればプロ棋士編入試験に挑戦して欲しい。それが女性の将棋人口の底上げに繋がるのは想像に難くありません。