なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胸水腹水の高齢者

2012年10月03日 | Weblog

 職員夫婦の母親(姑)の84歳女性。先月末から食欲が低下して体重も減少している。普段は職員である家族が薬だけもらっていたが、体調が悪いので久しぶりに連れてきた。胸部X線で著明な左胸水貯留を認めた。少ないが右胸水もあり、腹水もある。BNPは78で、心拡大も目立たず、肺野にうっ血もない。発熱はなく、白血球数は正常域でCRPが3だった。血清蛋白は7。うっ血性心不全でも細菌性の肺炎胸膜炎でもないようだ。癌性か結核性の胸膜炎・腹膜炎が疑われた。肺と腹腔内に明らかな腫瘍は指摘できない。入院で胸水穿刺して検査するしかないが、それで診断がつかない時はどうするか。

(その後の経過)放射線科医から腹部CTで胃体上部が全周性に肥厚しているのではないかと指摘された。上部消化管内視鏡検査を行うと、胃体上部の前壁から大弯にかけて不整な低い隆起性病変があり、その部位はふくらみが悪かった。消化器科医に診てもらうと、スキルスだという。生検を5個して検査を終了した。診断は胃癌、癌性胸膜炎、癌性腹膜炎と決まった。手術の適応はない。抗がん剤治療をするかどうかだが、腫瘍内科医に聞くまでもなく適応はないだろう。幸い癌性疼痛はいまのところない。このまま入院で対症的に経過をみることにした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする