なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胃瘻になじまなかった90歳

2012年10月26日 | Weblog

 施設の嘱託医から誤嚥性肺炎の90歳男性の紹介があった。小脳梗塞で神経内科に入院して、嚥下障害による誤嚥性肺炎を繰り返して、高カロリー輸液にしていたが、消化器科に依頼して胃瘻造設を行った。確か、造設の時に手伝った記憶がある。結局10か月入院して一週間前から施設に入所したが、入所してすぐに発熱・痰のからみがあり、施設内で治療をしていた。要するに退院できる状態ではなかったが、一瞬病状が落ち着いた時に、退院にしたらしい。

 神経内科あての紹介状だったが、内科に回された。胸部X線・CTで両側肺の嚥下性肺炎があった。90歳寝たきりで、食事をしていなくても痰がからんで吸引を継続しないと生きていけない状態になっていたので、胃瘻造設の適応はなかったと思う。なんとかして長期入院をさけるために施設入所を目指して行った処置だった。しかし造設してもすぐに肺炎になってしまい、結局意味はなかった。

 ますは肺炎の治療を開始したが、つい2週間前まで病院で散々抗菌薬を投与され、施設に入所してからも経口抗菌薬を投与されてきたので、NHCAPとうよりHAPそのもので、治癒は厳しいと予想される。うまくいったん肺炎を鎮静化させても、経管栄養を再開したとたんに肺炎が起こるだろう。最期まで点滴だけで行くしかない。

コメント
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