なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

95歳女性急性心筋梗塞

2013年12月09日 | Weblog

 内科外来を診ていると、救急当番の循環器科医から連絡が来た。救急に95歳女性が来ているという。左下肢の脱力で搬入されて、頭部MRIで脳幹部に梗塞巣があり(責任病巣)、他に左右の大脳白質にも梗塞巣が散在している。心電図ではⅡ・Ⅲ・aVFにST上昇を認めた。CK-MB・AST・LDHが上昇していて、発症が今日なのか昨日なのかわからないが、急性心筋梗塞(下壁梗塞)になっている。洞調律で心房細動ではなかった。一過性に心房細動になったか、心筋梗塞に伴って心腔内に血栓ができたのか不明だが、shower emboliの形で血栓が脳血管に飛んだらしい。意識は清明で、むしろ勝手に動いている。循環器科としては心カテの適応はないという。神経内科でも90歳以上では脳梗塞に対して補液のみとすることが多い。「内科で引き取って」というので、内科で入院になった。もともとバイアスピリンを内服している。腎障害はないのでエダラボンを投与することにした。

 普段は糖尿病外来に通院していて、HbA1cは7.4%だった。年齢的には問題ない値だ。まさに女性・高齢者・糖尿病では無痛性心筋梗塞になるとい教科書通りの症例だった。世話をしている娘さんは苦しまないようにだけお願いしますという。右冠動脈の閉塞で徐脈になるのが心配だが、いまのところは大丈夫だ。心臓ペースメーカーも適応なしといわれて、そのくらいはやってもいいと思ったが、娘さんに聞いてみるとそれも希望しなかった。介護が大変で、それなりに治療して結果が悪くても仕方ないという気持ちのようだ。案外乗り切ってしまうような気もするが。

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