年末年始の9連休が始まった。昨日は肝硬変・肝性脳症で意識低下、出血性胃潰瘍、高齢者の肺炎と続々入院していた。今日も朝から89歳男性の心房細動・心不全が救急搬入された。循環器科医は昨日の当直が終わって自宅に帰ったばかりだった。5回目の入院になるので、今日から明日までの指示を出して、明日また日直で出てくる循環器科医に診てもらうことにした。
84歳男性が呼吸困難だろうが、痰が出ないと表現して受診した。酸素飽和度が82~85%だった。もともとCOPDがある。右肺に浸潤影を認めて、肺炎で入院となる。
開業医(外科医)の先生から電話が来て、妻の母親を入院させたいという。一人暮らしだったらしいが、昨年左尿管癌が見つかって腎臓尿管摘出術を受けた。その後、術後再発があることがわかったが、もう治療は困難でそのまま経過をみていたそうだ。CTで卵巣と子宮、さらには周囲の腸管まで巻き込んでいるように見える。左下腹部の臓器が一塊となっている。当市内に連れてきて、ケアハウスに入所させたが、しだいに食事がとれなくなり、動こうとして転倒したという。どのくらいもつかわからないが、最期まで入院になりそうだ。さっそくDNRの書類にサインしてもらった。
78歳女性が午前中からの胸痛を訴えて受診した。今年の1月に急性冠症候群で心臓病センターのある専門病院に搬送されている。現在は内科医院に糖尿病などで通院していて、インターベンション後のバイアスピリン・プラビックスも内服している。受診してからは胸痛は治まってきていた。心電図では1月の時と同じでST上昇ははっきりしない。ラピチェックは陽性でトロポニンTは疑陽性だった。CKは上昇してCK-MBは正常域だった。AMIがあるのかないのかわからない。少なくとも心不全は悪化していて、胸水貯留と心拡大が以前より目立っていた。空振りかもしれないが、心臓センターにまた搬送することにした。心不全自体が要入院なので、少し落ち着いたら当院の循環器科に回されるだろう。年末年始、当院の循環器科は交代で1名体制なので、かかりつけの心不全患者さんの増悪以外はたいてい紹介になる。
22歳男性が昨夜、嘔吐下痢腹痛で受診して今日も点滴に来た。潰瘍性大腸炎重症で、大学病院胃腸外科で大腸切除・回腸直腸吻吻合術を受けている。血便はないので潰瘍性大腸炎の悪化(もう直腸しかないが)ではないと思って診た。4日前に焼き鳥を食べてという食歴もあり、感染性胃腸炎(細菌性)を疑った。点滴2本が終わるころも状態はあまり変わらなかった。当直が消化器科医で、この患者さんを専門施設に紹介していた。大学病院からの報告書をよく読むと、術後も発熱・水様便・腹痛があり、いろいろ工夫して治療していた。UC術後に関連した症状で、焼き鳥からカンピロバクターという短絡的な決めつけは間違っているらしい。
その他にも急性細菌性前立腺炎と思われる男性、透析患者さんの多発性PVC、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの脱力(結局アルコール+脱水らしい)などバラエティーに富んだ外来だった。BPPVの救急搬入や早朝からの感染性胃腸炎は夕方帰宅させることができてホッとした。違う患者さんの処方を間違って別の患者さんに入力したり、誰が誰だかわからなくなるくらいの忙しさだった。