なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

26歳女性高血圧症

2013年12月24日 | Weblog

 気管支喘息で当院呼吸器科(大学病院から応援)に通院している26歳女性が高血圧症精査で内科に紹介されてきた。呼吸器外来で測った血圧が190/110mmHgと高かった。健診でも140~160/90~100mmHgで高血圧を指摘されていたという。両親の家系に高血圧症の家族歴がある。高血圧による自覚症状はないらしい。

 体格のいい方で、腹部エコーでは脂肪肝を認めた。腎臓は異常なしで、副腎は描出できない。褐色細胞腫のような(あればある程度の大きさを呈する)副腎腫瘍はないことになる。血清カリウムが3.1と低下していた。これは原発性アルドステロン症かと思われたが、レニン軽度上昇でアルドステロンは正常域だった。甲状腺ホルモン、カテコラミン、ACTH・コルチゾールも正常だった。

 腎・副腎・腎動脈の画像診断だが、喘息の発作がけっこうあって、発作時の吸入を使っているという。造影CTをステロイドの静注後に行う予定だったが、それではやりにくい。造影CTで腎動脈の三次元構成をと思っていたが、無理はしないことにした。まずは腹部MRIを行って、MRAで腎動脈を評価してみる。MRIだと副腎腫瘍の有無はどの程度わかるのだろうか。

 負荷試験を自前でやればいいのだろうが、教科書を見ながら、そこまでやるのもどんなものか。血清カリウムを再検して、再度低カリウム血症があれば、高血圧症専門の外来(大学病院になるが)に紹介した方がいいのかもしれない。アダラートCR20mg/日で血圧は140/80-90mmHgになっていた。

 腎血管性高血圧症の原因として、若年女性では線維筋性異形成がある。大学の病理学教室で研究(臨床からの派遣)していた頃に、病理解剖に回ってきた27歳女性の症例があった。原因不明の後腹膜~腹腔内出血で死亡したものだが、解剖の結果、腎動脈(左右どちらかも忘れた)に線維筋性異形成があって、そこが破裂したことが判明した。

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