なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

100歳の入院

2012年07月19日 | Weblog

 100歳女性。昨日老人保健施設からの紹介で受診した。5日前に転倒してしりもちをついてから食欲がなくなったという。腰椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折はなかった。すっかり忘れていたが、3年前(97歳)に心房細動・心不全で入院していた。酸素飽和度の低下と血圧低下があり、回復困難かと思えわれたが、約1か月で軽快退院していた。今回は胸部X線・CTで心拡大や肺うっ血はなく、BNPも前回退院時の値と同じだった。前回はBNP1400で入院して退院時は50だった。右胸水が貯留していて肺炎の浸潤影は胸水中に埋もれているのかはっきりしない。炎症反応が上昇しているので、肺炎・胸膜炎なのだろう。他には感染症のフォーカスはなかった。家族と相談して、できる範囲で治療して、病状悪化時はDNRとする方針で入院とした。翌日の今日は血圧が昨日の70から100~120と改善して話しかけた時の反応も良くなった。今回も助かるような気がする。

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ふつうに急性心筋梗塞ですが

2012年07月18日 | Weblog

 85歳女性。昨日精神科病院から紹介されてきた。入院患者さんではなく、パートで仕事をしているというから、もともと相当知的な人なのだろう。昨日の午前中前胸部痛が出現して、一過性に意識消失したが、すぐに意識は回復した。心電図は異常なかったと紹介状に記載されていた。胸痛は激痛ではないので、治まったものと判断したらしい。宛名が当院循環器科になっていたが、なぜか病名が一過性脳虚血発作疑いになっていた。

 夕方紹介されて、当院を受診した。TIA疑いとなっていたので、まず内科で診察となった。午前中の発症時から胸痛が続いているという。心電図ではⅡ・Ⅲ・aVFでST上昇があり、胸部誘導では鏡面像を認めた。洞性除脈になっていた。CKなどの心源性酵素はまだ正常域だが、ラピチェックは陽性だった。急性心筋梗塞(下壁梗塞)と簡単に診断がついて、循環器科がすぐにPCIを行った。精神科病院での心電図は送られてこなかった。ST上昇が出現してないのかもしれないが、超急性期の心電図変化はあったのではないか。

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当直ご苦労様

2012年07月17日 | Weblog

 朝病院に来ると昨夜の当直医から当直帯で受診した患者さんの申し送りがあった。対応すると疲れる患者さんが二人いるので、診てほしいということだった。

 77歳女性。昨日の午後1時ごろ夫に温めた牛乳を飲ませて、残ったコップ1杯分の牛乳を自分も飲んだ。もともと牛乳を飲むと下痢と腹痛が出現するので(牛乳不耐症)、ずっと飲んでいなかったそうだが、つい飲んでしまったそうだ。午後3時から下痢が続いて、間欠的な腹痛と嘔気も出現した。やっぱりと思って治まるのを待って自宅で様子をみていたが、夜になっても症状が続くので夫が救急要請した。深夜午前1時に病院に搬入されてからは、しだいに症状が治まってきていた。短期入院になっていて、病室に診察に行くと、とめどなくしゃべる人だった。これだけ回復すれば、帰れそうだ。昼からは食事を出して、家族の来るのを待って退院の相談をすることにした。

 46歳女性。不眠を訴えて午前4時に救急外来を受診した。ふだんは内科クリニックに通院していて、短時間型・中間型・長時間型の睡眠薬と抗うつ剤(SSRI)を飲んでいる。不眠は20歳台のころかららしい。離婚していて息子が二人いる。点滴室に行ってみると、おとなしく寝ていた。内科でも睡眠薬は処方するが、こじれた不眠症は精神科で診てもらうのが好ましい。この患者さんは精神科に通院したこともあるそうだが、途中でやめていた。神経症レベルの抑うつ状態だったり、人格的な問題があると、精神科に行ったから治るというものでもないのだろう。いちおう通院は精神科のjほうがいいことを伝えて、睡眠薬の種類と量を通院しているクリニックの先生と相談することを勧めた。病院に来て点滴を受けながら少し寝たので、受診時よりは気分がよくなったらしい。食欲がないという話だったが、売店から買ってきた食事をけっこうな量食べてから帰って行った。

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95歳の脳梗塞

2012年07月16日 | Weblog

 95歳女性。高血圧症・心房細動で内科クリニックに通院していた。ふだん畑で出て作業をしていたという。昨日から食べなくなって、動けなくなった。右半身の動きが悪いのに家族が気ついた。休日の内科日直をしていたが、救急隊から受け入れ要請がきて、ずいぶん高齢だなあと思ったが、来てもらった。なんとか会話はできるが、時々むくっと起き上がる。頭部CTで脳出血はなかった。頭部MRIで左頭頂葉に脳梗塞があり、中心部にまだらに出血もあった。心電図で心房細動があり、脳塞栓だった。嘔気があって少し吐いていた。入院で経過をみることにした。介助で車いす程度でも仕方ないが、なんとか食事を嚥下できればといいがと思った。抗凝固剤ではなくて、抗血小板剤(バイアスピリン)が処方されていた。本来はワーファリンだが、95歳にワーファリンを処方してPT-INRで調整するかといわれれば、やりにくい。おそらく毎回受診しているのではなくて、家族が薬だけもらってきたりするような受診では、バイアスピリンもやむを得ないのかもしれない。新規の抗凝固剤が良いのかもしれないが、時期的にまだ微妙なところだ。

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BPPVではない

2012年07月15日 | Weblog

 75歳女性。高血圧症で当院の循環器科に、B型慢性肝炎と慢性胃炎で内科医院(消化器科の先生)に通院していた。午前2時ごろ寝ていて嘔気があり、冷や汗も出たという。起き上がろうとして、めまい(ふらつき)があった。何度か嘔吐して救急要請した。当直は他院から応援の先生だった。搬入時は症状が軽快していて、頭部CTと心電図は異常なしだった。

 土曜日から祝日の月曜日まで病院は3連休になって、私は土曜日と月曜日が内科当番(その日の入院に対応)だった。前日に当直医に、急を要さない入院があれば、翌朝病院に来るので、当面の指示だけ出しておいて下さいと頼んでいた。病院に行ってみると、BPPV疑いで入院させておきましたと申し送りがあった。病室に行って診察すると、特に症状はなく、空腹感を訴えて食事をほしがっていた。2-3年前から頻繁にせき込みことがあり、上腹部(横隔膜?)が痛くなることもあるという。喘鳴はない。咳は特に夜間から朝方が多いということはないという。4か月前に内科医院で内視鏡検査を受けて、胃炎と言われたという。食道炎とは言われていないそうだ。胸やけや嗄声はなく、食事摂取に問題はない。そもそも早朝の症状はBPPVではないが、では何だったのかと言われると、はっきりしない。咳に関しては、慢性咳の範疇に入る。副鼻腔炎がなくて、咳喘息でもなく、GERD(NERDだが)の可能性がありそうな気がする。

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パーキンソン病の一過性意識消失

2012年07月14日 | Weblog

 74歳女性。パーキンソン病で神経内科外来に通院していた。これまでも2回一過性の意識消失で救急搬入されていた。今日はデイサービスに出かけていて、また一過性に意識消失して救急搬入さえた。搬入時は意識清明で麻痺などの神経症状はなかった。頭部CTは異常なし。バイタルサインでは血圧が170とふだんよりすしろ高めだった。パーキンソン病による起立性低血圧による脳循環不全なのだろうか。救急車内で嘔吐して、吐物が少量だがコーヒー残差様だった。PPIをふだんから内服している、血液検査で貧血やBUNの上昇はなかった。ADLはつかまってやっと歩行できるくらいらしい。原因はわからないが下肢を切断した既往のあるベット上生活の老夫と二人暮らしだそうだ。入院して点滴で経過をみることにした。老夫婦の二人暮らしは、これまでヘルパーの助けを借りてなんとかやってきたが、そろそろ限界のようだ。

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どこまで治療するか

2012年07月13日 | Weblog

 88歳女性。脳梗塞後遺症で嚥下障害があり、家族の希望で胃瘻造設を行ったが、経管栄養剤を入れると発熱するため、注入を断念した。抗凝固剤など内服薬の投与ルートとしてのみ使用している。中心静脈栄養にしたが、、糖尿病で高血糖となるため、インスリンを点滴に混合して、さらに血糖値によりインスリン皮下注で補正している。喀痰の吸引や体位交換なども行っている。病院にいないと生きていけない状態がずっと続く。発語はなく、家族の顔もわからない。別の92歳女性も同じ状態で入院を継続している。社会経済に関心のある医師ならば、いろいろと意見や感慨、さらには苦悩があるのだろう。私の場合は家族の希望にできるだけ沿って、なるべく淡々とできることをしている。無理な延命を希望しませんと言われれば、それなりに対応する。若い時から社会性に乏しい医師だったと思う。

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指を切った

2012年07月12日 | Weblog

 昨日の午後は救急当番だった。救急隊から救急搬送の依頼が来た。74歳男性が自宅で包丁を使っていて、指先(右示指)を切ったという。すでに止血しているが、縫合が必要かもということだった。救急車が到着して、患者さんは歩いてきた。切った指先には包帯のようなものを巻きつけていた。さっそく見てみると指先に7~8mmくらいの切創があり、確かに止血していた。縫合するとかえって針孔から出血しそう、というより縫合は必要なかった。ステリストリップを巻いて終了した。圧迫のみで止血したので小動脈が切れたりしなかったようだ。本来は救急車を要請する怪我ではないが、シャツとズボン血がついているので、切った当初は出血してあわてたのだろう。

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癌終末期でも急変?

2012年07月11日 | Weblog

 88歳女性。1年前に健診で胸部異常影を指摘されて、呼吸器科のある基幹病院で肺癌と診断された。高齢で認知症もあるので、特に治療は行わずに(実際にはできない)経過観察となった。9か月が経過して食欲低下したため入院となった。点滴しているうちにある程度食事摂取できるようになった。退院して外来になるが、認知症の介護も大変ということで、家族は入院継続を希望した。そこで後方支援病院(下請け病院)として定評のある(頼みやすいということ)当院に転院した。食事量は少ないが、点滴もしながら、オピオイド(最終的にフェントステープ4mg使用)とステロイド(デカドロン)を使用して経過をみていた。3か月が経過して、病棟のカンファランスでは、「予想よりも頑張っている。まだ行けそうだね」と話していた。ところが朝食を少し食べて2時間後に心肺停止した。深夜の病棟看護師の話では少し顔色が悪い気がした(酸素飽和度は変わりなし)という。もともと悪化時はDNRの方針のため、心肺蘇生はしなかった。痰が詰まったようではなく、肺癌は進行してきて胸水も貯留しているが、寝たきり状態にあったことから肺梗塞を併発したのかもしれない。血圧が低下したり、酸素飽和度が低下し始めた時にタイミングよく家族を呼ぶはずだったが、急な幕切れとなってしまって申し訳なかった。

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高カリウム血症

2012年07月10日 | Weblog

 67歳女性。脳梗塞後遺症でほとんど寝たきり状態となり、自宅で夫の介護を受けていた。器質化肺炎とうっ血性心不全で低酸素血症のため、在宅酸素療法になっていた。糖尿病で持効型インスリンを使用していた。当院の循環器科外来に通院しているが、介護タクシーが必要だった。献身的な夫の介護でなんとか生きているという人だった。

 5日前に夫が脈拍30台の徐脈に気づいたが、半日様子をみているうちに80くらいの脈に戻ったそうだ。2日前の日曜日に、ごく短い時間の意識消失が3回あり、病院に連れてきた(徐脈ではなかったそうだ)。受診時には意識清明で診察上は特に問題なかった。日直の小児科医は経過をみて神経内科の外来を受診するよう勧めた。

 今日外見上はふだんと変わらなかったが、神経内科外来を受診した。心電図は30台の洞性徐脈で、血清カリウムは7.2と上昇していた。心電図上、P波はあり、QRSは正常の幅でT波の増高はない。BUNと血清クレアチニンが軽度に上昇している。一見脱水症にようのかと思われたが、食事や水分摂取はふだんと変わりなかった。まず生理食塩水の点滴が開始された。神経内科医は外来診察があって忙しいので、内科に連絡がきた。点滴室に患者さんを診にいくと、ご本人は何ということもなく点滴を受けていた。心電図モニターを付けてしばらく見ていたが、30台後半だった。外来で診ている循環器科医も診察に来るという。5時間後に血清カリウムを再検して、まだ下がっていなかったが、脈は50台まで改善していた。神経内科の問題ではないので、循環器科で入院治療となり、GI療法が開始された。

 処方は利尿剤としてラシックス・ダイアート・アルダクトンAが併用されて、降圧剤としてディオバン・ラジレス・ヘルベッサーR(200mg/日)・アーチスト(5mg/日)が出ていた。血圧の調整が難しいそうで、緩めると血圧が上昇して、少し下がりすぎると脳血流が低下して意識レベルが低下するという。高血圧と心不全が悪化しないためのぎりぎりの処方らしい。カリウムの上昇する薬と徐脈になる薬を減らせばいいのはわかるが、心不全の悪化とを天秤にかけながらの調整になる。

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