朝病院に来ると昨夜の当直医から当直帯で受診した患者さんの申し送りがあった。対応すると疲れる患者さんが二人いるので、診てほしいということだった。
77歳女性。昨日の午後1時ごろ夫に温めた牛乳を飲ませて、残ったコップ1杯分の牛乳を自分も飲んだ。もともと牛乳を飲むと下痢と腹痛が出現するので(牛乳不耐症)、ずっと飲んでいなかったそうだが、つい飲んでしまったそうだ。午後3時から下痢が続いて、間欠的な腹痛と嘔気も出現した。やっぱりと思って治まるのを待って自宅で様子をみていたが、夜になっても症状が続くので夫が救急要請した。深夜午前1時に病院に搬入されてからは、しだいに症状が治まってきていた。短期入院になっていて、病室に診察に行くと、とめどなくしゃべる人だった。これだけ回復すれば、帰れそうだ。昼からは食事を出して、家族の来るのを待って退院の相談をすることにした。
46歳女性。不眠を訴えて午前4時に救急外来を受診した。ふだんは内科クリニックに通院していて、短時間型・中間型・長時間型の睡眠薬と抗うつ剤(SSRI)を飲んでいる。不眠は20歳台のころかららしい。離婚していて息子が二人いる。点滴室に行ってみると、おとなしく寝ていた。内科でも睡眠薬は処方するが、こじれた不眠症は精神科で診てもらうのが好ましい。この患者さんは精神科に通院したこともあるそうだが、途中でやめていた。神経症レベルの抑うつ状態だったり、人格的な問題があると、精神科に行ったから治るというものでもないのだろう。いちおう通院は精神科のjほうがいいことを伝えて、睡眠薬の種類と量を通院しているクリニックの先生と相談することを勧めた。病院に来て点滴を受けながら少し寝たので、受診時よりは気分がよくなったらしい。食欲がないという話だったが、売店から買ってきた食事をけっこうな量食べてから帰って行った。