なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖毒性解除

2012年07月09日 | Weblog

 62歳男性。先月血糖1678mg/dlで入院した。生理食塩水の点滴とインスリン(ヒューマリンR)持続注入で治療を開始した。300mg/dl以下まで血糖が低下して、ソルデム3A500mlにヒューマリンRを混合した点滴に変更した(さらにヒューマリンR皮下注で補正)。食事摂取できるようになった後はインスリン強化療法にしていた。当院では超速効型はノボラピッドで持効型はランタスを使用している。通常の糖尿病患者さんの教育入院程度の血糖で推移していたが、食前血糖が90mg/dl台まで低下してきた。ノボラピッドが毎食直前6単位とランタス8単位になっていた。抗GAD抗体は陰性で、血中Cペプチドは正常域にあるので、糖毒性が解除できれば経口血糖降下剤で治療できると予想された。これまで入院時に1000mg/dl前後の高血糖だった患者さんの場合は数か月間インスリン強化療法をして、その後徐々に経口血糖降下剤のみに変更していた。今年の糖尿病学会で、入院中の短期間のみインスリン強化療法にして、糖毒性が解除されれば比較的短期間で経口剤に変更するという発表があった。せっかくインスリン注射を覚えたので(血糖自己測定も)、あせってインスリンをやめる必要はないが、以前よりはインスリン使用期間を短くしてみようと思っている。

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てんかんの講演会

2012年07月08日 | Weblog

 昨日はてんかんの講演会に行ってきた。てんかんの本はなかなか読みにくいので、講演会である程度なじみを付けておきたいと思った。心因性非てんかん性のけいれんが2割あるという話が興味深かった。間もなくホームページが立ち上がって、てんかんの勉強もできるような内容になるそうだ。以前30歳くらいの女性で、他院でてんかんとして処方されていたが、けいれんで当院に入院した。別の内科医が担当していたが、たまたま病棟にいた時にけいれんが始まった。意識消失して全身性間代性のけいれんだった。抗けいれん薬の指示を出したりしてバタバタしてたが、けいれん(らしい動き)が治まると、すぐに携帯電話でメールを打ち出した。これは本当のてんかんではないのか思った。そのうち退院していって、その後は見かけないが、どうしているのだろうか。

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電話をかけまくる

2012年07月06日 | Weblog

 不明熱で入院した68歳男性。入院後も38℃の発熱が続き、昨日で8日目だった。入院後に頸部リンパ節腫脹と、体幹部前面特に腹部に細かな紅斑が出現した。両側上腕特に左上腕の疼痛があるが、下肢の疼痛は安静にしているためかなさそうだった。CKの上昇があって筋炎なのかとも思ったがわからない。関節痛ははっきりしなかった。血清フェリチンが600、2000、3000と日ごとに上昇した。高度ではないが、汎血球減少を認めた。白血球分画で芽球はないが、血球貪食が起きているのか。やはり感染症は否定的で、リウマチ膠原病と血液疾患の専門医がいる病院で診てもらうしかないと判断した。大学病院を含む5か所の病院の先生方に電話で相談した。リウマチ膠原病と血液疾患の専門医がそろっている病院は、大学病院以外では1か所しかなく、最終的にその病院へ紹介させていただいた。感染症を見逃していたら、申し訳ないと思いながら。

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膵癌でした

2012年07月04日 | Weblog

 85歳男性。前立腺癌で他院の泌尿器科に通院していた。PSAは正常域で治療はうまくいっている。高血圧症で通院している内科クリニックで糖尿病の処方が開始されたそうだ。今日は頻尿で当院の泌尿器科を受診した。外来の検査で血糖380、HbA1c9%と高値だった。前立腺のためというより、糖尿病のための頻尿ということで、内科外来に紹介されてきた。腹部エコー検査でガチガチの肝硬変があった。ウイルス性ではなくて、アルコール性だった。腹部エコーで膵臓は体部しかみえなかった。腹部CTを行うと、膵尾部に腫瘍があり、肝臓全体に転移を認めた。CEAとCA19-9が高値で、特にCA19-9は測定不能なくらいの値だった。膵癌による糖尿病の発症あるいは増悪だった。入院にして、さっそくインスリン治療を開始することにした。年齢的に膵癌の治療適応はない。血糖コントロールをつけて、いったん退院できるかどうかだが、最期まで入院継続となる可能性が高い。

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不明熱

2012年07月03日 | Weblog

68歳男性。5日前に下痢が2日あって治った。その後、発熱が続いている。悪寒戦慄もあった。昨夜救急要請して当院に搬入された。炎症反応は白血球は正常域で、CRPが13だった。血小板が11万と低下していた。胸部X線・CTで肺炎はなかった。尿路感染でも胆道感染でもない。意識は清明で神経症状はない。頭部CTは異常なし。心雑音はなく、OslerやJanewayもなし。頸部から腹部の造影CTを行ったが、膿瘍や主要はなかった。前立腺肥大で泌尿器科クリニックに通院していたが、当院の泌尿器科外来を受診して前立腺炎はなし。左頸部の違和感と軽度の咽頭痛を訴えたが、耳鼻科外来を受診して、特に問題なし。今のところは不明熱のままだ。

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偽痛風のためか

2012年07月02日 | Weblog

 85歳男性。内科医院に慢性C型肝炎とは慢性閉塞性肺疾患で通院していた。食欲低下が続いて、その内科医院からの紹介で受診した。酸素分圧は62mmHg(室内気)でぎりぎりのところ。息切れはそれほど変わらないという。10年前に禁煙したが、50年以上の喫煙歴があり、胸部CTで気腫性変化があるが、肺炎はなかった。腹部CTで明らかな進行癌はなかった。慢性C型f肝炎は肝硬変には至っていないようだ。ASTとALTの軽度には上昇しているが、安定している。おそらく、C型肝炎はこの人の寿命には影響しないだろう。

 食欲低下以外の主訴は、2週間前から後頸部痛が続いていることだった。発熱はなかったらしい。痛みで少ししか首を横に振れなかった。前後には横よりは振れた。炎症反応は軽度上昇している。意識は清明で、神経症状はない。頸部CTで環軸椎関節の歯突起周囲に石灰化があり、頸椎偽痛風だった。いわゆるCrowned dens syndrome。食欲低下して寝込んだ原因として、偽痛風のみでよいかどうかはわからないが、まずはその治療で経過をみることにする。老妻と二人暮らしで家庭での介護力もないので、入院とした。

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塩酸モルヒネ点滴静注始めました

2012年07月01日 | Weblog

 64歳男性。直腸癌術後の再発(肝転移・肺転移)で緩和ケアを外来でしていたが、食欲が低下して入院していた。入院後、意外に食事摂取できていたが、オピオイドの量はしだいに増加してきた。今日病院から電話がきて、塩酸モルヒネ静注のレスキュー使用が増えてきたため、塩酸モルヒネの持続点滴を開始したと報告があった。フェントステープと併用になる。以前病院にいた腫瘍内科医は、オピオイドの剤型のこだわらずに、併用で使用するようにと言っていた。フェントステープも増量しながら、塩酸モルヒネの点滴静注量を調整していくことになる。緩和ケアの大津先生の本に、オピオイドの特徴が書いてあって、呼吸困難感はモルヒネじゃないととれないとあった。

 NHKの総合診療医ドクターGが単行本になって出たので、さっそく買ってきた。記載がドラマ仕立てではないのが残念だ。たぶん半分以上はテレビで見ていた。新シリーズが始まって、マッシー池田先生が出ていた。半分まで見て甲状腺機能低下症かと思ったが、後半のドラマではパーキンソン病だろうと診断はついた。

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