なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高カリウム血症

2012年07月10日 | Weblog

 67歳女性。脳梗塞後遺症でほとんど寝たきり状態となり、自宅で夫の介護を受けていた。器質化肺炎とうっ血性心不全で低酸素血症のため、在宅酸素療法になっていた。糖尿病で持効型インスリンを使用していた。当院の循環器科外来に通院しているが、介護タクシーが必要だった。献身的な夫の介護でなんとか生きているという人だった。

 5日前に夫が脈拍30台の徐脈に気づいたが、半日様子をみているうちに80くらいの脈に戻ったそうだ。2日前の日曜日に、ごく短い時間の意識消失が3回あり、病院に連れてきた(徐脈ではなかったそうだ)。受診時には意識清明で診察上は特に問題なかった。日直の小児科医は経過をみて神経内科の外来を受診するよう勧めた。

 今日外見上はふだんと変わらなかったが、神経内科外来を受診した。心電図は30台の洞性徐脈で、血清カリウムは7.2と上昇していた。心電図上、P波はあり、QRSは正常の幅でT波の増高はない。BUNと血清クレアチニンが軽度に上昇している。一見脱水症にようのかと思われたが、食事や水分摂取はふだんと変わりなかった。まず生理食塩水の点滴が開始された。神経内科医は外来診察があって忙しいので、内科に連絡がきた。点滴室に患者さんを診にいくと、ご本人は何ということもなく点滴を受けていた。心電図モニターを付けてしばらく見ていたが、30台後半だった。外来で診ている循環器科医も診察に来るという。5時間後に血清カリウムを再検して、まだ下がっていなかったが、脈は50台まで改善していた。神経内科の問題ではないので、循環器科で入院治療となり、GI療法が開始された。

 処方は利尿剤としてラシックス・ダイアート・アルダクトンAが併用されて、降圧剤としてディオバン・ラジレス・ヘルベッサーR(200mg/日)・アーチスト(5mg/日)が出ていた。血圧の調整が難しいそうで、緩めると血圧が上昇して、少し下がりすぎると脳血流が低下して意識レベルが低下するという。高血圧と心不全が悪化しないためのぎりぎりの処方らしい。カリウムの上昇する薬と徐脈になる薬を減らせばいいのはわかるが、心不全の悪化とを天秤にかけながらの調整になる。

コメント
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