なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

認知症の勉強

2012年10月07日 | Weblog

 最近は内科新患に認知症の患者さんが受診することは少なくなった。おそらく神経内科や精神科を受診するようになってきたためと思われる。物忘れ外来を開設している病院もある。どうしていいか分からず、とりあえずの内科外来受診が減って、認知症ならそれなりの外来を受診させるという意識が一般の人たちに広まっているのだろう。

 診断の鑑別としては正常圧水頭症などの脳外科疾患や甲状腺機能低下症などの全身疾患を否定しておく必要がある。その上で、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、ピック病、脳血管性認知症を鑑別していく。頭部MRIやSPECTまで行った方がいいので、一度は専門外来で診察を受けて、方針が決まれば、かかりつけ医で継続して診てもらうという流れがいいのだと思う。しかし認知症の専門外来が少なく、内科新患を直接受診する患者さんはそれなりにいるので、認知症の勉強が必要だ。今回河野和彦先生が「コウノメソッドでみる認知症診療」を出されたので、さっそく買ってきた。これまで河野先生が出した本も持っているが、これは今までの集大成になる本だ。この本に加えて認知症の画像診断をおさえておけば一般内科としては十分だろう。

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穏やかな日直

2012年10月06日 | Weblog

 今日は病院の日直だった。朝から病院に来ていて、救急外来を受診する患者さんと救急搬入される患者さんを診るのだが、今日は受診数が少なかった。2歳女児が熱性けいれん(初発)で来たが、搬入時には治まっていて、経過観察のため小児科に入院になった。内科は90歳女性が突然の高熱で運ばれてきた。肺炎はなく、急性腎盂腎炎だった。内科病棟に入院させて、病棟で入院患者さんの指示を少し出した。あとは発熱の子供が数人来ただけで、珍しく楽な日直だった。もっとも夜間も内科の当番になっていて、入院があれば診に来ることにはなるので、明日の朝にならないと何とも言えない。

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すでにアリセプトは出ていた

2012年10月05日 | Weblog

 75歳女性が3日前に高齢の男性と一緒に外来を受診した。時々発熱があって体が震えるという訴えだった。てっきり感染症と思ったが、肺炎も尿路感染も胆道感染もなかった。炎症反応は白血球数もCRPも血沈もまったくの正常域だった。関節痛も筋肉痛もなかった。膠原病らしい症状もない。CEAとCA19-9が軽度に上昇していた。胸部X線と腹部エコーは異常なし。消化管の内視鏡検査を上部(胃)から始めることにした。

 ご本人はニコニコしていて、特に困っているようには見えない。どうも物忘れがかなりあって、見えないものが見えたり、いない人がいるように見えたりするらしい。認知症の検査として、長谷川式をすると17点(30点中)だった、頭部MRIでは前頭葉の委縮、海馬に委縮があった。パーキンソン症状はない。認知症には違いないが、さてどうしようかと思っていると、ふだん飲んでいる薬を見せられた。初診時にはそんな話はなかったが、息子から朝の分の薬を検査が終わったら飲むようにいわれていたという。アリセプト5mgだった。精神科クリニックから処方されていた。息子夫婦と孫といっしょに住んでいるが、以前から息子夫婦は認知症と判断してちゃんと治療を受けさせていたのだった。

 夫はかなり若いころに亡くなっていて、病院に連れてきた男性は夫ではなく、いとこだという。日中自宅にひとりになるので、その男性の家で過ごしているそうだ。いろいろなことが前後してしまったが、内科としては胃腸の悪性疾患がないかどうか検査を勧めることにした。

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食欲がない慢性閉塞性肺疾患

2012年10月04日 | Weblog

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で通院していた85歳男性が、2週間前から食欲がなくなり、息苦しさもあるという。血液ガスではPaO2が63、PaCO2が41と以前と変わりなかった。胸部X線で肺炎もない。家族は兄が亡くなって、お葬式などがあり、疲れたのと気分的な落ち込みがありそうだという。老妻と二人暮らしだった。COPDの増悪というよりは、気分障害のようにも思えるが、何か腹部の悪性疾患が隠れている可能性も否定できない。入院して点滴をしながら抗うつ剤で経過をみることにした。

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胸水腹水の高齢者

2012年10月03日 | Weblog

 職員夫婦の母親(姑)の84歳女性。先月末から食欲が低下して体重も減少している。普段は職員である家族が薬だけもらっていたが、体調が悪いので久しぶりに連れてきた。胸部X線で著明な左胸水貯留を認めた。少ないが右胸水もあり、腹水もある。BNPは78で、心拡大も目立たず、肺野にうっ血もない。発熱はなく、白血球数は正常域でCRPが3だった。血清蛋白は7。うっ血性心不全でも細菌性の肺炎胸膜炎でもないようだ。癌性か結核性の胸膜炎・腹膜炎が疑われた。肺と腹腔内に明らかな腫瘍は指摘できない。入院で胸水穿刺して検査するしかないが、それで診断がつかない時はどうするか。

(その後の経過)放射線科医から腹部CTで胃体上部が全周性に肥厚しているのではないかと指摘された。上部消化管内視鏡検査を行うと、胃体上部の前壁から大弯にかけて不整な低い隆起性病変があり、その部位はふくらみが悪かった。消化器科医に診てもらうと、スキルスだという。生検を5個して検査を終了した。診断は胃癌、癌性胸膜炎、癌性腹膜炎と決まった。手術の適応はない。抗がん剤治療をするかどうかだが、腫瘍内科医に聞くまでもなく適応はないだろう。幸い癌性疼痛はいまのところない。このまま入院で対症的に経過をみることにした。

 

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心臓と体力の限界?

2012年10月02日 | Weblog

 施設に入所している93歳女性が、施設の嘱託医の紹介で内科外来を受診した。洞不全症候群(除脈頻脈症候群)で7年前に心臓ペースメーカー植え込み術を受けていた。心電図では心房粗動とペースメーカーリズムが混在していた。胸部X線は左肺が真っ白だった。胸部CTで確認すると、左側優位の両側胸水貯留があり、左肺は無気肺になっていた。循環器科に相談すると、心不全というよりはもう老衰じゃないのということで、内科入院となった。治療である程度改善しても、食事摂取できるかどうかわからない。最近はとろみを付けてやっと飲み込んでいたというので、このまま飲み込めなくなってしまう可能性が高い。

 内科新患外来に1か月咳が続く中年女性が受診した。内科医院と耳鼻咽喉科クリニックを受診していたが、咳が続いているという。関節リウマチで隣町の病院に7-8年通院しているという。メソトレキセートを内服していて、症状はほとんど消失していた。間質性肺炎を疑って、胸部X線さらには胸部CTを撮ってみたが、間質性変化はなかった。当初は微熱もあり、痰はうすい黄色だttが、今は無色透明になっていた。その後発熱はない。慢性咳の原因となる、胸やけ・後鼻漏・喘鳴症状もない、おそらく上気道炎後のいわゆる感染後の咳(postinfectious cough)と思われる。もう2週間ほど鎮咳剤で経過をみることにして、症状が続くときは再受診してもらうことにした。

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肝性脳症

2012年10月01日 | Weblog

 昨日の日曜日、外来に肝硬変・肝性脳症で通院している76歳女性が、意識障害で基幹病院に救急搬入された。慢性硬膜下血腫でそこの脳外科を受診した既往があったが、頭部CTでは異常なかった。血清アンモニアが200と高く、肝性脳症の増悪による意識障害と診断された。通院している当院へ入院依頼がきて搬送されてきた。救急で診たのは神経内科医で、その日当番の消化器科医に連絡したところ、通院している当院へ搬送するように言われたそうだ。当院の日直は循環器科医で、入院させていいかどうかと自宅に連絡がきた。すでにアミノレバンの点滴がされていたので、炎症反応の上昇と発熱、さらに脱水症による腎機能障害があり、点滴の追加と抗菌薬の指示をお願いしていた。

 今日患者さんを診にいくと、意識は戻っていた。血清アンモニアも正常域になっていた。発熱があり、感染症による肝性脳症の増悪だが、感染巣がはっきりしなかった、胸部CTで肺炎はなく、尿混濁もなかった。胆道系も問題なく、腹水がないので肝硬変による原発性細菌性腹膜炎でもなかった。細菌感染がどこかにおきているはずだが確定できない。アミノレバンの点滴と抗菌薬を継続して経過をみることにした。増悪の原因がなくて肝性脳症が悪化すればどうしようもないが、何らかの増悪因子があればそこを治療すれば改善する可能性がある。長期予後が悪いこと自体は変わらないが、今回はなんとか良くして退院にもっていけそうだ。ちなみに、この方の肝硬変はアルコール性。

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