「肝炎の診かた、考え方」中外医学社を読んでいる。肝機能検査の読み方と肝炎の基本的な知識がコンパクトにまとまっていて、肝臓病を専門にしていない医師には十分な内容だ。肝機能障害の診かたを分かりやすく記載した本は意外にない。
それにしても、急性肝炎を見ることはほとんどなくなった。肝炎ウイルスによる急性肝炎を最後に診たのは、10年前に仕事で中国に派遣された40歳代男性が、現地でA型急性肝炎になって日本に戻ってきたというものだった。入院を希望しなかったので、外来で経過をみて治癒した。ここ数年はEBウイルス感染による急性肝炎が数例あった。B型肝炎の無症候性キャリアで半年おきに経過をみている40歳代男性がひとりいるくらいだ。昔、消化器病棟といえば、数人のB型慢性肝炎の患者さんが強力ミノファーゲンンCの静注をして1ケ月入院していたものだ。当院消化器科の外来でも、B型肝炎で通院している患者さんはほとんどない。C型肝炎は何人かいるが、いずれもかつてインターフェロン治療を行ったが、ウイルスが消えなかった人たちだ。70歳以上になっていて、対症療法で経過をみるのみになっている。