なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝硬変・肝性脳症

2014年11月18日 | Weblog

 肝硬変・肝性脳症で入院している79歳女性は明日退院予定となった。3年前に両下腿浮腫で内科医院から紹介になった。画像では明らかに肝硬変だった。B型・C型感染ウイルスは陰性で、女性であることから自己免疫性肝炎が疑われた。抗核抗体は80倍で、有意ではなかった。肝機能は胆道型酵素優位ではなくて、抗ミトコンドリア抗体も陰性で、原発性胆汁性肝硬変ではない。アルコール性という印象は受けなかったが、若いころからかなりワインを飲んでいて、アルコール性と判断された。

 利尿剤内服で浮腫は軽快して、利尿剤の量を多少変更するくらいで病状は安定していた。近くの内科医院に戻そうと思ったが、夫が慢性腎不全で当院の腎臓内科に通院していたので、当院通院を希望された。いつも付き添ってきた夫は一見して元気そうだったので、そんなに腎臓が悪いとは思わなかった。

 この夫婦は東京の方で、当地の温泉付き別荘地に夫婦で引っ越してきていた。今時お手伝いさん付きというのは、経済的に相当裕福なのだろう。そのうちに、夫の腎不全が悪化して腎臓内科に入院して、亡くなってしまった。透析導入はしないという方針になっていたそうだ。夫が亡くなってからも、ひとりでお手伝いさんの世話を受けて生活していた。軽度に認知症があり、常時見守りを要する。昨年から肝性脳症の増悪で入退院を繰り返すようになった。増悪の原因は、感冒罹患や便秘と思われた。アミノレバン点滴1週間ほどで改善して退院できるので、治療には困らなかった(内服の肝性脳症の処方はフルで入っている)。

 今回入院して息子さんが東京から来た時に、以前にも勧めてはいたが、東京に戻って息子さんと同居するか近くの老人ホームに入所することを勧めた。考えてみますということだったが、東京に連れて帰ることになった。近くの施設への申込書を持ってきたので、記載した。明日退院して、現在住んでいる別荘で数日いっしょに過ごして(荷物の整理)、その後はいっしょに東京に帰る予定だ。施設にはすぐに入れるらしい。

 院内処方で3か月分ずつ薬をもらっているが、そのうちの1剤だけがなくなってしまった。他の薬はあと1か月分ずつあるので、薬局で間違えたようだ。まあ、処方薬の数を確かめないこちらもうっかりだが。足りないのは尿酸の薬のフェブリクだ。この薬はシートが14個になっていて、大抵の薬が1シート10個になっているのと違うので、単純に数を間違えたのだろう。薬局で事情を話すと、1か月分のフェブリクをくれた。

 この前、一包化の処方を9週間分(63日分)処方した患者さんがいて、多数の薬のうち1剤を56日分で処方してしまった(前回全部56日だったので1剤だけ直さなかった)。処方されて自宅に帰った後に、家族が足りないことに気づいた。午後に薬を取りに来て処方ミスに気付いた。日数を合わせなかった私が悪いのだが、一包化の処方で1種類だけ少なくなっているのを薬局は不思議に思わなかったのだろうか。院外の調剤薬局ならすぐに疑義照会で電話が来るところだ。

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