なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大人の手足口病

2022年09月20日 | Weblog

 先週土曜日の日直をしていた内科の若い先生(自治医大の義務年限)が、発熱で受診した34歳女性を入院させていた。当院の入院患者は高齢者ばかりなので、30歳代は目立つ。

 9月12日に1歳の子供が手足口病を発症して、16日に3歳の子供も手足口病を発症していた。患者さんも16日から39℃の発熱があり、17日(土)には顔や四肢のしびれも自覚していた。

 高熱で動けませんということで入院になった。胸部X線で肺炎はなく、尿路感染症の可能性は否定できないという結果だった。白血球8100・CRP4.2と炎症反応は上昇していた。セフトリアキソンと点滴で経過をみていた。

 19日も同じ先生が日直だった(他の週と交換したので連休のうち2日入っていた)。その日には解熱して、手足口病の発疹(水泡)が出ていた。予想された通り手足口病が子供から感染したのだった。

 重症というほどではないが、子供よりも症状が強く出たのは小児に多いウイルス性疾患らしい。痛みや皮疹も子供より長引くそうだ。

 母親が入院して、1歳と3歳の子供の面倒は夫がみていたのだろうか。祖母の協力がないと難しいと思うが。昔研修医のころ、消化器科の指導医が子供からうつって手足口病になって休んだことがあった。大人がかかるとひどいんだよ、と言っていたのを思い出した。

 

 

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春日先生宅

2022年09月19日 | Weblog

 精神科医の春日武彦先生のファンで、著書は大抵持っている。「鬱屈精神科医 お祓いを試みる」は鬱屈シリーズ第2弾で、鬱々として楽しめないことが、書かれている。母親に認めてもらたい、という思いで生きてこられたが、果たせないままに亡くなられたそうだ。

 

鬱屈精神科医、お祓いを試みる

 

 春日先生は「亡くなった両親のマンションを相続して、リノベーションをして、自分が住むことになった」。設計担当の人に伝えたのは、「ブルックリンの古い印刷工場を改装して住んでいる辛辣なコラムニストの棲み処」だった。

 自慢のできらしく、工務店「ゆくい堂」のホームページに写真と設計図が載っている、と記載している。

 

 当方は特に家にこだわりはないが、できるだけ多くの時間を喫茶店で過ごすことにしているので、改装するならスターバックス風とかベローチェ風になる。

 

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血液培養を出しましょう

2022年09月18日 | Weblog

 腎臓内科の若い先生が、地域の基幹病院からリハビリ目的で転院していた74歳男性を担当していた。家族にリハビリの様子をみてもらって退院を予定していた。

 先月の入院後から発熱があり、レボフロキサシン内服を使用して解熱軽快していた。その後再度発熱があり、その時の尿培養からEnterococcus faeciumが検出されたので、バンコマイシン点滴静注を開始していた。

 その後も発熱が続き、レボフロキサシンで解熱したことから、また内服で併用を開始したところだった。AST(抗菌薬適正使用チーム)の薬剤師から発熱が続いている患者さんがいて、と報告されたばかりだった。(バンコマイシンを使用すると薬局でTDMを行う)

 ASTとしての活動機会があまりないので、貴重な患者さんになる。関節リウマチがあるが、活動性は低いようだ。リウマチ肺(間質性肺炎)があるが、呼吸器症状はない。慢性腎臓病もある。

 熱源検索として胸腹部CTを行っていた。間質性肺炎は特に変わりないようだ(転院時に画像添付はなかったので比較できない)。右胸水が軽度にあり、肺炎・胸膜炎の可能性はある。尿所見は改善していた。

 カテーテルの挿入はなく、発熱が続いている割には食事摂取は多くはないがしていた。尿カテーテル留置もない。

 

 培養検査を出しませんかと勧めるつもりだったが、病棟でこんな患者さんがいてと言われた。胸部CTで認める右胸水くらいしか発熱原はなさそうですが、血液培養を出しましょうと伝えた。

 その後に、先方の病院に入院中に何本か歯が抜けてしまい、食べる時にしみるという話が出た。口腔内の菌かもしれないとなって、血液培養・心エコーがオーダーされた。(心エコーは経胸壁だが疣贅はなし)

 胸部X線で右下肺野の陰影が少し増えているようで、胸水貯留なのか浸潤影なのかわからないが、気になった。3日前にCTを撮影したばかりなので、経過が思わしくなければ連休明けにCTを再検します、といっていた。

 

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プラケニル

2022年09月17日 | Weblog

 好中球減少の87歳はプレドニン30mg/日投与で解熱していたが、好中球減少は変わらなかった。G-CSF製剤(グラン注)で反応したが、休止するとまた好中球は低下した。

 骨髄穿刺で骨髄異形成症候群は否定できないが、積極的に診断する所見はなく、白血病・血球貪食症候群の所見もなかった。

 抗核抗体・抗dsDNA抗体陽性があり、右胸水貯留が漿膜炎の所見とすると、発熱・血球減少もあるのでSLEの分類基準を満たした。

 リウマチ膠原病科の先生に相談すると、SLEでしょうということだった。プレドニン30mg/日は1か月継続して、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)を開始することになった。

 眼科(非常勤医)で眼底検査を行って、投与には問題はないとなった。臨時薬としてプラケニルを取り寄せて、200mg/日を開始した。

 血球減少だけが目立つという像もあるそうだ。骨髄像では(G-CSF投与ではあるが)骨髄球系の産生は十分されているが、末梢に出る前に壊れるということらしい。

 右胸膜炎が片側だけだったので、漿膜炎の所見としてどうかと思ったが、片側のみもあるという。プレドニンで軽快消失した点も合うのだった。

 大学病院で引き取るべきでしょうがといわれたが、入院事情が厳しくてともいう。経過をみて、連絡をくださいと言ってくれた。ヒドロキシクロロキンを使用するのは初めてだ。

 

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多発血管炎性肉芽種症

2022年09月16日 | Weblog

 日曜日に81歳女性がめまい(ふらつき)で受診した。以前から歩行障害(痙性歩行?)もあったようだ。

 日直は大学病院からバイトで来ている外科医だった。外来で休ませて、帰宅とする予定だったが、東京から来た息子さんが入院させてほしいと希望して、入院とした。

 血液検査で炎症反応が高く、画像検査を行うと、両側肺に奇異な浸潤影を認めた。入院の時点では単なるめまいではないとなった。

 内科当番だった別の内科の先生が担当となったが、月曜日に肺の画像を見せられた。両側肺の肺尖部と右下肺野上側に浸潤影を認める。通常の肺炎にはみえない。

 いつも相談している呼吸器外来に来ている大学病院の先生に相談することにした。まずはそのまま抗菌薬を継続しておくしかない。

 火曜日にまた相談された。6月から難聴で耳鼻咽喉科に中耳炎で通院していたという。生検もしていて、(非特異的な)肉芽腫性炎症とされていた。

 耳鼻咽喉科医は滲出性中耳炎ではなく、ANCA関連血管炎性中耳炎を考えて、ANCAを測定していた。MPO-ANCAが陽性だった(PR3-ANCAは陰性)。再発時は内科紹介へと記載していて、紹介はしていなかった。

 

 とすると、奇異な肺病変もそれに関連していることになる。多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は本来はPR3-ANCAだが、MPO-ANCAのこともある。

 水曜日に来ていた大学病院のリウマチ膠原病科の先生に相談した。GPAの診断で間違いない。治療はどうしましょうかといわれたので、ぜひ大学病院でお願いしますとお願いした。直接大学病院の病棟に連絡してくれて、転院が決定した。

 

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大腸菌ESBL

2022年09月15日 | Weblog

 施設入所中の95歳女性が、土曜日の当直の時に救急搬入された。呼吸器症状はなく、症状は発熱だけだった。

 胸部X線・CTで肺炎はなく、尿混濁が中等度で、尿路感染症(急性腎盂腎炎)と判断された。尿培養・血液培養2セットを採取した。

 入院して、セフトリアキソンで治療を開始した。施設入所なので純粋な市中感染とはいえないが、これまで入院歴もなく、起炎菌は大腸菌を想定していた。

 入院翌日には解熱して、食事摂取も良好だった。水曜日の検査で炎症反応も軽快していた。抗菌薬の投与期間だけの問題と思われた。

 検査室から連絡があり、尿培養から大腸菌ESBLが検出されましたという(単独菌)。血液培養は途中だが、菌の検出はない。

 尿は無症候性細菌尿で、他の感染症にセフトリアキソンが効いたというのでもないようだ。尿路感染症で起炎菌は大腸菌ESBLでいいのだろう。

 岸田直樹先生の本(「風邪」の診かた)に、抗菌薬の感受性がRでも症状改善の理由として、①「感染症と戦っているもの=抗菌薬のみ」ではない。(免疫力で治している)、②「R=体制=抗菌薬無効」ではない。MICは無難な値(高め設定)になっている、という記載がある。

 岸田本には、大腸菌ESBLをST合剤内服で治した症例が載っていた。抗菌薬をどうするかだが、セフメタゾール点滴静注やST合剤が感受性だったが、メロペネムにしてしまった。

 血液培養が陰性ならば、必ずしもカルバペネムを使用する必要はないのだろうが、無難な教科書通りにしたのは弱気だったか。

 

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上部消化管出血の原因が

2022年09月14日 | Weblog

 透析で通院している60歳代後半の男性にタール便があり、腎臓内科の若い先生が地域の基幹病院消化器内科に紹介した。血圧が94/54と低下して、Hb4.8g/dlになっていた。

 緊急内視鏡検査が行われて、胃前庭部に腫瘤があり、中心部に潰瘍形成していた。内視鏡的処置は要さない状態だったので、生検のみ行っていた。

 腹部CT(単純)で確認すると、膵体部癌があり、多発性肝転移を認めた。腹水もあり、癌性腹膜炎になっている。胃の腫瘍も転移性と判断されていた。(肝左葉に転移があり、そこから連続性に胃に伸展していったようにも見える)

 内視鏡所見をみると胃前庭部に腫瘍は粘膜下腫瘍様で中心部に陥凹形成しているという形態だった(原発胃癌の形ではない)。濃厚赤血球6単位が輸血された。

 腫瘍内科と相談したが、抗癌剤治療の適応はないと判断された。家族に病状説明されて、緩和ケアの方針となった。紹介したのが、9月6日で9月8日には当院に転院となった。(先方は維持透析はしていない病院)

 

 月曜に腎臓内科の先生から、こんな症例がという話があり、輸血をどこまでするかと相談された。正解がないことですが、と言っていて、他の人にも話してみたかったということらしい。

 断続的に輸血をしていって、病状が悪化した段階であきらめることになるのだろう。

 

 透析患者さんは年に1回胸腹部CT(単純)で癌検索をすることになっている。今年の5月にCTが行われていて、放射線科の読影レポート(大学病院の遠隔診断)は「以前と変化なし」だった。

 今回のCTと比べて見ると、ここがそうかもと思われないこともないが、腫瘍を指摘するのは無理だった。進行が早い癌なのだろう。

 

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腹部腫瘍

2022年09月13日 | Weblog

 月曜日の午後に、内科医院から食欲不振・体重減少・貧血(Hb10g/dl)の72歳女性が紹介されてきた。何年も医療機関を受診したことはなく、その医院も初診だった。

 午後の内科外来は大学病院総合診療科の先生の担当だった。最初は救急要請・発熱外来・通常の受診を全部診ていたが、遅くまで走り回っていた。最近は常勤医をうまく使っている。

 発熱外来を診ていたので、紹介をみてもらえるかと連絡がきた。症状からは腹部の悪性腫瘍と思われた。こちらで診ますと答えた。

 

 患者さんは今年の1月に夫が亡くなって、その後から食欲低下・体重減少があったそうだ。本人も周囲も夫が亡くなったことによる精神的なものと思っていたらしい。

 1か月前からさらに症状がひどくなり、春から半年で13kg体重が減少していた。嘔気も腹痛もないという。Hb10g/dlよりももっと貧血様に見える。腹部は平坦・軟で、臍部の左に腫瘤を触知した。明らかな圧痛はない(そういわれれば、というくらい)。

 血液検査では、CEA・CA19-9は正常域だった。LDHが1000と上昇しているが、他の肝機能は正常域だった。脱水のためか血清クレアチニンが上昇していた。できれば造影CTを行う予定だったが、無理せずまず単純CTでみることにした。

 膵癌かと思ったが膵臓は異常がなかった。下行結腸が全周性に肥厚していたが、内腔は保たれている。その内側に7X8cmの腫瘤があった。結腸と接しているが、連続はしていないのだろうか。部位的に小腸なのか、腹部のリンパ節がここまで腫大するか、わからなかった。

 消化器科医と当院で大腸検査をするか相談したが、そのまま直接紹介した方がいいとなった。大腸癌にしては変で、リンパ腫なのかもしれない。地域の基幹病院消化器内科に紹介することにして、外来予約をとった。

 

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コロナで熱性けいれん~ブコラム口腔用液10mg

2022年09月12日 | Weblog

 土曜日の日直は消化器科医だった。土日の日中は発熱外来として、午前10名・午後10名を5名ずつまとまって来てもらっている。病院の駐車場の発熱外来スペースで、コロナの検査(抗原定性試験)を行っている。

 5歳の男児が発熱で受診した。家族(母と姉)がCOVID-19に罹患していて、濃厚接触者になる。というか、当然うつっていると判断される。

 父親が車に乗せて受診してきていた。車内でけいれんがあり、意識混濁と父親から連絡があった。医師と看護師が外に出て、車に向かった。けいれんは治まっていて、呼びかけると開眼するが、ぼんやりしていた。酸素飽和度は96~100%だった。

 体重は19kgでダイアップ座薬10mgを使用した。使用する直前にまたけいれんがあった。

 消化器科医が、小児科医(73歳)に連絡して指示を訊いた。小児科医は翌日の日曜日は日直に入っていたが、土曜日は当地にいなくて、自宅に戻っていた。ブコラム口腔用液(7.5mg使用)を使うようにといい指示が出た。病院に来てくれることになった。

 小児科医が病院に来て診察した。患児は寝ていたが、呼びかけると開眼(薄目)して年齢を答えた。コロナに伴う熱性けいれん(脳症は否定的)と判断された。

 保健所の届け出て、けいれんが続く時は入院依頼することを伝えた。いったん帰宅したが、またけいれんがあり、小児科医が保健所と交渉して、小児の入院できる病院に搬送することになった。

 

 コロナに罹患した子供がけいれんで入院しているという話は聞いていたが、当院では始めてのケースだった。

 ブコラム口腔用液10mg(ミダゾラム)というものがあるのを初めて知った。ブコラム口腔用液10mg(10mg/2ml/1A)の適応は、てんかん重積状態。1歳未満で1回2.5mg、1歳以上5歳未満で1回5mg、5歳以上10歳未満で1回7.5mg、10歳以上18歳未満で1回10mgを使用する。シリンジ液の全量を片側の頬粘膜に投与(両側の頬粘膜に半量ずる投与も可)する。(要は小児科での使用になる)

 

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療養期間短縮

2022年09月11日 | Weblog

 COVID-19罹患者の療養期間と、濃厚接触者の隔離期間が短縮された。行政から配布された文書や図は見づらいが、倉原優先生のyahoo newsに見やすい図が載っている(院内に配っている)。

 有症状陽性者(症状がある患者さん)は入院と入院以外で分けている。入院と入院以外で、必ずしも重症度が違うわけでもないので、分ける根拠はなさそうだが。「ただし、10日間が経過するまでは」と但し書きがついている。

 

 

図2. 有症状陽性者の療養期間(筆者作成、イラストは看護roo!より使用)

 

 無症状陽性者も、有症状陽性者と同じになっている。発症した場合「有症状陽性者」の0日目へ、となっているが、軽度の症状の場合はたぶん気にしないだろう。そのまま検体採取日から7日間で解除すると思われる。

 

図1. 無症状陽性者の療養期間(筆者作成、イラストは看護roo!より使用)

 

 濃厚接触者は無症状陽性者となっても自分でわからないし、軽症(鼻汁、のどいらいらくらい)の有症状陽性者になっても、おそらく気にしないので、そのまま5日間の待機期間が過ぎれば終了となる。

 

図4. 濃厚接触者の待機期間①(筆者作成、イラストは看護roo!より使用)

 

 もうここまで来ると、経済活動・社会生活優先とするしかないので、医学的根拠をいっている場合ではないということだろう。いずれ、周囲にうつさないような対応をする、というだけの5類相当になるか。

 

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