なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

PCP予防のバクタ

2022年09月25日 | Weblog

 好中球減少でSLEとして治療することになった患者さんは、プレドニン30mg/日を開始して継続している。リウマチ膠原病科の専門医の先生から、ニューモシスチス肺炎(PCP)予防でバクタも投与するようにと指示されていた。

 バクタの副作用である、血球減少に注意ともされたが、投与してみないとわからない。バクタの投与は正確にはエビデンスはないらしいが、推奨はある。

 バクタの予防的投与は他院での投与を継続するくらいだった。感染症の治療でたまに使用している。

 

 亀田総合病院のホームページにバクタ投与について記載されていた。中島啓先生の、「胸部X線・CTの読み方 やさしくやさしく教えます!」(羊土社)と「レジデントのための呼吸器診療最適解」(医学書院)は購入している。

 

プレドニゾロン20mgを1ヶ月以上投与する場合はニューモシスチス肺炎予防を考慮する

 ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii pneumonia:PCP)は、ニューモシスチス・イロヴェチ(Pneumocystis jirovecii)によって引き起こされる肺炎です。

 当初は1980年代にHIV患者において頻度の高い肺合併症として認められましたが、ST合剤などによるPCP予防が確立されたため、HIV患者においては減少しております。対照的に、非HIV患者におけるPCP(非HIV-PCP)が増加し、問題となっております。

 血液疾患においても、近年は、PCP予防が確立されたため減少しましたが、化学療法中の固形癌患者や、膠原病の患者、その他、免疫抑制剤使用中の良性疾患の患者において、PCPは増加しております。

しかも、非HIV-PCPは、HIV-PCPと比較すると、進行が急速で重症化し、致死率が高いと報告されています。
(J Infect Chemother (2012) 18:793-806)

 非HIV-PCPに関するPCP予防については、1つの基準として、プレドニゾロン換算20mgのステロイドを1ヶ月以上内服する場合は、PCP予防を考慮すべきであると考えられています。
(Am J Respir Crit Care Med. 2011 Jan 1;183(1):96-128.)

 PCP予防の推奨薬はST合剤 1錠/日(もしくは2錠×3回/週)になります。
(日本感染症学会 編 感染症専門医テキスト 南江堂 2011年東京)

 また代替薬としては、ダプソン 100mg/日、ペンタミジン吸入 300mg 1〜2回/月、アトバコン 1500mg/日も使用可能です。ただし、アトバコンは高価であるため、現実的には、予防薬としての使用は難しいかもしれません。

 プレドニン換算20mgのステロイドを1ヶ月以上投与する場合は、PCP予防を考慮するのが大切です。

監修者 亀田総合病院呼吸器内科部長 中島 啓

胸部X線・CTの読み方やさしくやさしく教えます!

 この本は研修医向けの院内の講義をまとめたもので、本当に良書。

 

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