なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腹部腫瘍

2022年09月13日 | Weblog

 月曜日の午後に、内科医院から食欲不振・体重減少・貧血(Hb10g/dl)の72歳女性が紹介されてきた。何年も医療機関を受診したことはなく、その医院も初診だった。

 午後の内科外来は大学病院総合診療科の先生の担当だった。最初は救急要請・発熱外来・通常の受診を全部診ていたが、遅くまで走り回っていた。最近は常勤医をうまく使っている。

 発熱外来を診ていたので、紹介をみてもらえるかと連絡がきた。症状からは腹部の悪性腫瘍と思われた。こちらで診ますと答えた。

 

 患者さんは今年の1月に夫が亡くなって、その後から食欲低下・体重減少があったそうだ。本人も周囲も夫が亡くなったことによる精神的なものと思っていたらしい。

 1か月前からさらに症状がひどくなり、春から半年で13kg体重が減少していた。嘔気も腹痛もないという。Hb10g/dlよりももっと貧血様に見える。腹部は平坦・軟で、臍部の左に腫瘤を触知した。明らかな圧痛はない(そういわれれば、というくらい)。

 血液検査では、CEA・CA19-9は正常域だった。LDHが1000と上昇しているが、他の肝機能は正常域だった。脱水のためか血清クレアチニンが上昇していた。できれば造影CTを行う予定だったが、無理せずまず単純CTでみることにした。

 膵癌かと思ったが膵臓は異常がなかった。下行結腸が全周性に肥厚していたが、内腔は保たれている。その内側に7X8cmの腫瘤があった。結腸と接しているが、連続はしていないのだろうか。部位的に小腸なのか、腹部のリンパ節がここまで腫大するか、わからなかった。

 消化器科医と当院で大腸検査をするか相談したが、そのまま直接紹介した方がいいとなった。大腸癌にしては変で、リンパ腫なのかもしれない。地域の基幹病院消化器内科に紹介することにして、外来予約をとった。

 

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