私は普段あまりアカデミー賞には興味がないのですが(以前受賞作を見てうんざりした経験もあるし)、さすがにノミネート作品はタイトルなどが目に触れることも多く、今回はその中で気になっていた2つを見ました。
まず「メッセージ」。
予告編からなんとなく「2001宇宙の旅」とか「コンタクト」みたいのかな?と、私の未知の意識に目を向けさせてくれるものを期待してました。
・・・だけど期待ほどじゃありませんでした。
嫌いなところもないですし、私が興味のある言語学から未知の存在に切り込むというストーリーも好きなのですけど、テーマである時間の捉え方の新しい領域を提示されても、あまり感動しなかったんです。
うーん、あと主人公たちのことを好きにもならないで終わってしまったし。決して嫌ではなかったのですが、愛着も感じないと言うのか。
よくできてるとは思いますので、これは個人の好みの問題でしょう。
そして「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
こちらはとても良かったです!!
あ~ホッとしました。これももし好きじゃなかったら、今後アカデミー賞にノミネートされた映画は見なくなるかと思いましたもの。
だいたいマンチェスターってイギリスでしょ?と思ってたくらい前知識無しに見たので、
こちらも「メッセージ」と同じく時間軸の断片が細切れに淡々と見せられるので、なんだかその点が似てるな、と途中までは思ったくらいでした。
が、
今の私には4次元の世界よりも3次元の世界の中のいろいろなピースを組み合わせて、というか、
ピースをつながないで、ただバラバラのまんま持って生きるということを提示された感じがしました。
アメリカのお話なので、もともと主人公の家族は兄弟とその妻たちと親と仲良しに見えますし、
田舎なのにアル中からキリスト教に改心する元兄嫁とか、主人公が薬物をやってたり(あれはアメリカでは合法なの?警察にもお咎めなしだったけど・・・)のあたりが日本よりもワイルドだなあと思いました(私が日本の田舎を知らないだけなのかもしれないけど)が、
辛さを感じるところは同じでした。
それでも過去の辛い経験から大人しくなったはずの主人公がやたらと喧嘩っぱやかったり、
ティーネイジャーの甥っ子が女の子に二股かけてるのは許せんなぁ、そんなにモテそうにも見えないのになあ、やはり田舎だから狭い組み合わせになるのかな、なんて余計なことも考えたのですが、
そういうちょっと賛成しかねる男達もいろいろと使うべきところでは気を使っていて、自分が傷付いても人を傷つけまいという心は保っていて、
敬遠なクリスチャンで良き人間を演じてる主人公の甥の母親のフィアンセなんかは、自分を守ってるだけでちっとも弱った人を助けやしないクズなのと言い対象でした。
ちょっと私の中では「トレインスポッティング2」も思い出す、自分を生きるためのサンプルの一つを提示されたような映画でした。
俳優の中では、主人公の元妻を演じたミッシェル・ウィリアムズが好きでした。妻だった頃は俗っぽくて洗練されてないけど可愛らしく、再開した時には髪をショートにしてこざっぱりと、でも内面に秩序がある感じがして、乗り越えた人物像がチャーミング。
彼女は「マリリン七日間の恋」のマリリンだったのですね。エディくんばかり見ていたので顔を覚えてなかったかも(汗)。白人の女優さんで顔が平たい印象の人って好きなんですけどね。