『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

池田賢市・大森直樹・平山瑠子 「安倍政権の一五教育法と教育現場」を読んで

2014-12-07 16:13:18 | 日記

●  池田賢市・大森直樹・平山瑠子 「安倍政権の一五教育法と教育現場」を読んで

 『世界』11月号                                              須山敦行

◎ 教育は、もともと自分の職業だったので、色んな情報を既知のこととして、進んで読む気持ちはあまりなかった。
  この論考を読むと、教育を巡るあれこれの嫌な現象の本質をズバリ突いていて、改めて物事がよく見えるようになる気がした。

◎ 教育を巡る問題は、すぐれて人間、民主主義と関わる生き方の問題であり、フロムの言う資本主義によって疎外された、物を買うことによって生きる人間からの解放の視座がここでも重要になると思った。


事実

星条旗が掲げられ、出征する兵士に手紙を書く米国の幼稚園、小学校
     ↓
「格差社会(米国)でくらす人々の不満を
 戦争と愛国心に『解消』する仕組み」
 のなかに、ある

◎ 日本の政府による執拗な教育破壊の提案も、このような本質を持っているものであると把握すると理解可能になる。


第一の特質 財界のグローバル人材要求

財界のグローバル人材要求に直線的に対応

元新日鉄社長三村明夫(元中央教育審議会会長)
「成長の可能性のあるところは海外しかない。
 企業は海外に出て行かざるをえない。
 これに対応できる人材を求めている

《法案審議と教育現場における実態との隔絶》
現実の小・中・高・大における学生と子どもたちの圧倒的多数は、
グローバル人材となるために日々の生活を生きているのではない。

そうした学生と子どもたちの取り組みを応援するための議論が国会ではほとんど行われていない。

◎ 父母に語ろう。「あなたたちは、お子様を〈グローバル人材〉に育てて欲しいんですか?」と。


《小・中・高・大における日々の取り組みの劣化》
安倍政権下の教育政策が、
あまりにも直線的に財界の要求を受容することによって、
小・中・高・大における日々の取り組みを根底から劣化させていることだ。

◎ ずっと、学校は、教育を劣化させる悪法にさらされて、苦労し続けてきた。
  (入試制度、学力テスト、観点別評価、道徳、選択教科、授業時数確保、などなど)

劣化1 小学校英語
   「会話の英語」は使わなければすぐ消えてしまう

劣化2 学校の株式会社化
    ピラミッド構造化 校長・副校長・主幹教諭・指導教諭
    学校に求められているのは
    管理職の権限の強化ではなく
    (そういうことは、学校から、真面目な教育論からは全く出てこない。いつも、外部から圧力として出てくる)
    学校を子ども中心の創造的な学習の場とするうえで、
    鍵となるのは、教職員と子どもの決定権だ。

劣化3 グローバル人材養成に特化した教育政策 が
    多数の人々を対象とした基本的な教育制度を劣化させることと引き換えに進められている
    
    「複線的」選択機会の確立 「競争原理」
    公立小・中の学校選択制の解禁
    公立の中高一貫教育の制度化

 

第二の特質 ノンエリートへの愛国心教育

安倍政権が愛国心教育を重視しているのは、
軍事力を強化する施策との関連もあるが、
第一義的には、
格差拡大と能力主義がもたらす人々の不満が体制への批判に発展することに危機感を抱き、
体制を維持するイデオロギーの役割を愛国心に期待しているからだ。

ロータレントのレッテルを貼られた者は被差別意識をもち、体制に批判的になる恐れがある。
これらの人たちを従順に、分に従って生産に参加させ、経済成長のにない手に」するため

「いじめへの対応」を前面に掲げて、世論の批判をかわしながら、
道徳教育と愛国心教育の強化が進められている。

◎ なかなかずるいが、その通りだ。

戦前日本の愛国心教育の検証 は 重要だ

◎ 戦前日本の愛国心教育の検証を怠ってきたことを、問題視している。確かに、大切な視点だ。教育学者、がんばれ!

 

第三の特質 公立学校の民間委託

1「速く小さく進める」動き

 「構造改革特区法」を利用した、株式会社化

2「遅く大きく進める」動き

 教育委員会改革

◎ 注目していかなくてはいけない、重大な変化である。


第四の特質 原発災害下の子どもの軽視

安倍政権の教育関係の立法の中に、原発災害下の子どもの窮状の改善に係わる法は一つもない。

 

教職員・保護者・市民・マスコミはどうしたらよいか

1 教育再生実行会議(安倍政権下の教育政策の発信源の一つ)
  の動向を押さえることだ。

2 中教審の動向についての現状把握と世論喚起が必要だ
  今、世論の反対がおきなければ、財界の要求を受容した学習指導要領の第八次改訂が戦後最大規模で行われるだろう。

◎ という危機意識が、今、感じられないのが、危機である。

3 教育政策の基調となっている
  「選択」「競争」「自己責任」の価値観が、
  多くの人々に内面化され
  安倍政権の諸政策を下支えしている事実
  についても直視することだ
    ↓
  いま人々の意識は、
  教育を消費行動の枠組みでとらえること
  親和性を持ち始めている。

◎ この「教育を消費行動の枠組みでとらえること」という人々への視点は、重要だ。
  フロムにあった。人間を、消費行動の主体に過ぎないようにとらえることへの批判。
  教育の根底に、人間論、民主主義論が、ずしりとあるのだ。
  教師としても、保護者や子どもに浸透している、損得で教育を考える「現実主義」に対して、明るい無限の未来へ進む、子どもの成長を喜ぶことで、対峙してきた自分を思う。

4 だが、
  安倍政権の教育政策よりも、
  教職員・保護者・市民が
  眼前の子どもたちと発見してきた事実と言葉の方が、
  実際のに教育史のなかで果たしてきた役割は大きい。
  国家が定めた目的から教育を始めるのではなく、
  子どもの生活の現実を教育の原点に据えること。

  子どもたちが生活の事実から
  詩や作文や物語をつくるとき、
  人間が生きることを励ますこと。

  教育現場の事実をふまえて
  今を生きている子どものための教育論と教育政策を
  提起することが、
  今日ほど必要とされているときはないと私たちは考えている。

◎ 高らかな呼びかけで、文は終えているが、苦しいが、進むしかないだろう。

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2月からはHさんが参加してくれそう!

2014-12-04 15:30:59 | 日記

2月からはHさんが参加してくれそう!

※ どうして、参加する仲間を広げて行けばいんだろう?
  困っている私ですが、呼びかけに応えてくれる人がいました。
  参加にたどるメール交換です。

● 須山から Hさんへ   11/25
 昨日はありがとうございました。おかげでいい取り組みになりました。
 ところで、『世界』を読む会ですが、木曜日以外ならいつでもいいようです。Hさんに是非ともご参加願いたいので、希望の曜日をお知らせください。発売日の関係で月の前半、第二週になると思いますが。
 翌日が休日の金曜日なんかはどうかな?と思いますが。
 いかがでしょうか?

○ Hさんから 須山へ  11/25
 昨日はありがとうございました。あの後で四人で有楽町線に乗り帰路につきました。Aさんは気持ち良さそうに寝ていました。Tさん兄弟と私は清瀬で降りましたが とりあえず寝ているAさんは起こしてから電車を降りましたよ。
 Tさんは火曜日と木曜日にH第二中学校で、教育ボランティアをしているそうです。さて「世界」を読む会へのお誘いですが、ありがとうございます。曜日の調整ですが 金曜日でしたら大丈夫かと思いますが、12月12日、19日の金曜日は所用が入っています。それで12月10日、17日の水曜日もダメなんですねぇ。12月は無理かと思いますが。ところで「世界」は難しくないですか?私にも読めますか?限りなく??マークがつくのですが。とりあえず試しに参加させていただいてもいいでしょうかね。
 本の購入方法や読む会の時間帯などいろいろと詳細を教えてください。12月は無理かと思いますので、年が明けてからになると思います。
 ではどうぞよろしくお願いします。
 昨日大変お世話になったお嬢さんに、ありがとうございましたとお礼をお伝えください。 冷え込んできましたのでお風邪などひきませんよう、お気をつけください。
  H   追伸 私はインターネットは全くやりませんので 連絡方法は携帯のメールがいいのですが、今時やっかいなアナログ人間なんです。あしからず。では失礼します。

● 須山から Hさんへ   11/25
 了解です。
 1月からお待ちします。1月9日ですね。『世界』は、岩波書店ブックオーダーへ電話すれば手に入ると思います。それが簡単だと思います。電話番号は 049-287-5721 です。

○ Hさんから 須山へ  12/2
 世界を読む会の件ですが、1月9日は 実は私の母の一周忌ですので 墓参などでおそらく気忙しくなりそうです。ですから出席が無理かと思います。本当に申し訳ないですが、1月は不参加ということでご了承いただきたくお願い申し上げます。
 大丈夫かと思ったのですが、やはり無理はしないほうがいいようです。
 すいませんよろしくお願いします。
 寒さが厳しくなるようですね お元気でいらしてください。  H

● 須山から Hさんへ   12/3
 了解です。2月にお待ちします。

○ Hさんから 須山へ  12/3
 1月は本当にごめんなさい。2月は是非とも参加させてください。気分転換にもなるかなあ。家族以外の方たちとの会話は大切だと思っています。退職後は極端にそのような会話が減りました。さて、「世界」、清瀬の駅前図書館で見ました。まだ読んでいません。結構分厚い雑誌なのですね。月刊誌ですものね。
 一ケ月に一冊読破するのは、私にとっては、わぁー驚きという事実(素直に大丈夫でしょうかと感じ、無理は禁物だとも感じてしまいました)まあ勉強と思うと負担に感じそうですので、そこは楽天的な私ですので、マイペースでいいですね。須山さんのお話を聞かさせていただくだけでも元気が出ますので。そんな調子で参加させてくださいね。
 では、どうぞお元気でいらしてください。  おやすみなさい。   H

● 須山から Hさんへ   12/4
 全部読むことはありません。興味のあるのを読みます。そして、良かったものを紹介し合って交流します。面白くない連載もありますから。全然読んでなくて、自分の考えや疑問を出し合うだけで、いいです。雑誌『世界』をきっかけにして、考える機会を設けたいというようなことです。2月は、1月号を持ってきてということになります。お待ちしています。

○ Hさんから 須山へ  12/4
 会の様子、わかりました。
 1月号を持ち参加ですね。
 後日、会を行う場所や時間などを教えてください。よろしくお願いします。

皆さんも、顔を出してみて下さい。
12月の予定は、下の要領です。

◎ 『世界』を読む会  12月例会 の 予定

● 日 時 12月10日(水) 午後7時
● 場 所 喫茶アンデス 練馬区豊玉北5-17-9 井上ビル 2F
      電話 03-5999-8291
      練馬駅[A2]から徒歩約0分  
● 持ち物 雑誌『世界』12月号
● 連絡先 須山
      suyaman51@mail.goo.ne.jp

コメント (1)
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