『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

富岡の『世界』を読む会・12月例会は、3名で。

2024-12-21 18:35:15 | 日記
富岡の『世界』を読む会・12月例会の報告
 富岡『世界』を読む会・12月例会は、12月19日14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティ・センターにて、3人の参加で開催された。
 テーマは、1.特集Ⅰ「視えない中国」の4論考と、2.①諸富徹×広井良典・対談『これからの時代の税の考え方』および②片山善博『歳出と歳入のバランスを考える国柄へ』だった。
 
Ⅰ.特集Ⅰ.視えない中国
 日本人学校児童殺傷事件の背景に何があるのか? 𠮷岡桂子はまず、不動産バブルの崩壊による経済の失速を背景に、失業した出稼ぎ労働者等の弱者によるより弱い者に対する殺傷事件の増加を挙げている。そして、「反日デマ」や「反日愛国コンテンツ」のネット空間での拡散によって、ターゲットが日本人に向けられている、と指摘する。これまでの日中関係は、歴史認識や安全保障分野で対立が厳しいときにも、経済は常に接着剤になって貿易を拡大し続けてきた。しかし、蘇州、深圳の事件は、ビジネス界の意識を変え、日中関係の分岐点になりうると警告する。在中日本人の数も対中投資額も、大幅に減ってきていることが、そのことを物語っている。
 中国の経済失速の内実はどうなっているのか。梶谷懐は、「中国経済は日本化するのか」と問いかけ、不動産不況と過剰生産の実態に迫っている。不動産バブルの崩壊は深刻な不動産不況となり、国内の消費需要は低迷を強いられている。これに対して中国政府は、実質経済成長率目標5%を維持するとし、それを「新しい質の生産力」=「イノベーション駆動型の経済成長」(新エネ車・太陽光パネル・リチゥムイオン電池)によって達成しょうとしている、という。国内需要が低迷している中での生産力増強政策は、過剰生産能力問題を発生させる。欧米や日本は、中国からのダンピングによる輸出攻勢に警戒を深める。梶谷は、消費需要の底上げが必要だとし、そのためには、高齢者の生活保障の充実化や、教育費の政府負担の拡大などが必要だと主張する。
 斎藤淳子は、右肩上がりの発展段階が終わり新局面を迎えた中国社会の市井の人々の暮らしの変化を、はやり「ことば」から表現している。①「焦慮」=競争に淘汰される恐怖に裏打ちされた焦りと思慮、②「重要な時」=幼稚園・中高校・大学・大学院・就職・結婚・子育てと、競争「=重要な時」は止むことがないと若者は嘆いている。③「i人」=「内向的な人」。例、一人焼き肉店ではセルフサービスで店員とのコミュニケーションも不要でi人に福音だ。④「社畜」から「牛馬」へ=24時間対応の激務とどんな要求にも笑顔での対応が強要される尊厳のなさ、等々。
 「これは日本の現実ではないか!」と参加者一同、唸ってしまった。
 
Ⅱ.税と社会保障に関する対談
 「税や社会保障の問題は難しい」との予見をもって対談を読んだ。豈図らんや、難しいことが易しく語られていて、いい勉強になった、との感想を共有した。中でも、税金の歴史を語った「経済社会の進化と税金」の項は、説得的だ。①農業社会→土地が富の源泉=土地課税、②工業化社会→労働が富の源泉=所得税・法人税、③大量消費社会→消費が主導=消費税、④ポスト工業化社会→フロー<ストック=相続税・金融資産課税、⑤環境負荷加重→自然資源消費・環境負荷への自然課税。④⑤はこれからの課題だ。
 この対談の中では、繰り返し高市早苗批判が展開されている。安倍路線を踏襲する高市が自民党総裁にならなかったことに、両者はともに安堵しているようだ。高市が親米反中の成長至上主義者であり、じゃぶじゃぶの金融緩和策の継続を訴えるアベノミクス信奉者であるからだ。しかし広井が、ポスト安倍路線をとる岸田・石破路線を、「サステナブルで公平性も担保された社会への兆し」と思いたいと遠慮がちに語っているが、出席者一同首を傾げた。今後の成り行きを見守りたい。
 
◎ 1月例会の予定
 1.日程・場所:1月23日(木)14.00-16.00時、
   吉井町コミュニティセンター学習室(2F)
 2.テーマ:
 Ⅰ.特集2「そしてアメリカは去った」から
  ①岡真理「ナクバという《ジェノサイド》」
  ②鴨志田郷「正義はどこに」
 Ⅱ.「一〇三万円の壁」関連から
  ③宮本太郎「「一〇三万円の壁」引き上げは若者を救うか 」
  ④片山善博「「一〇三万円の壁」から見える政治の病理」 
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zoomの『世界』を読む会・12月例会は、4名で。

2024-12-21 17:59:08 | 日記
zoomの『世界』を読む会・12月例会の報告
 
 zoomの『世界』を読む会・12月例会は、12月20日(金)、午後7時半~、4名の参加で行なわれました。
 
■ 今月のテーマは
 ・毛利亜樹「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」
 ・竹田ダニエル「アメリカ「オルタナティブな現実」が覆う未来」
 ・諸富徹×広井良典「これからの時代の税の考え方」
   の3本でした。
 
◎ 第1テーマ・毛利亜樹「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」
 日中関係を考えるときに、米中関係を視野に入れて考える必要がある。中国の研究者としては、もう少し突っ込んだ中国の実相が伝えられるのでは。反対党が存在しないという中国独特の事情が生んでいる状況だ。国家とは異なる個人の反応はあるだろうが、いざ戦争に入ってしまうと、個人も国家に流される。そうならない為に、個人の交流を促進することが課題だろう。
◎ 第2テーマ・竹田ダニエル「アメリカ「オルタナティブな現実」が覆う未来」
 陰謀論は、不死身の理論というように、否定することに難しさがある。陰謀論とそれを批判する側との間には、非対称な力関係がある。懐疑することのない陰謀論は強く発信される。ファクトチェックが必要だという状況が「新ノーマル」となった。戒厳令を出した尹大統領、やプーチンも陰謀論に取り込まれている。イギリスのEU離脱が、最たる例だろう。不利益の代償を伴って目覚めるというのでは、被害が大きすぎる。主要メディアへの不信は、権力への忖度ということへの不信だろう。
◎ 第3テーマ・諸富徹×広井良典「これからの時代の税の考え方」
 論者は、低負担・低福祉の経済成長路線に反対し、高負担・高福祉の持続可能で財政規律を重視する立場だ。逆進性をなくすのには、富裕層への金融所得課税などが考えられるが、タックスヘブンへの逃避など、簡単ではない。西欧の消費税は、生活必需品などは避けている。MMTは、アベノミクスの日本で、日銀が壮大な実験をしたのだが、果たして正解が見えたのか。
 などと話し合われました。
 
◎ ZOOMの『世界』を読む会、1月例会 の予定
 ●日 時 1月31日(金) 午後7時半~9時半
 ※ 月末の金曜が定例ですが、今月は一週間前にしました。
 ○共通テーマ
 ・「「一〇三万円の壁」引き上げは若者を救うか」 宮本太郎
 ・「「力の支配」に向かう世界」        藤原帰一
 ・「悪法と戦争」               奈倉有里
 ○参加ご希望の方は連絡下さい。案内を差し上げます。
 ● 連絡先 須山
            suyaman50@gmail.com
 
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東久留米の『世界』を読む会・昼の部・12月例会は7名で。

2024-12-20 17:31:20 | 日記
東久留米の『世界』を読む会・昼の部、12月例会の報告
 
 東久留米の『世界』を読む会・昼の部・12月例会が、12月19日(水)、4時~、生涯学習センター集会学習室4で行なわれ、7名が参加しました。
 
■ 今月のテーマは、
 ・水島朝穂「「軍事オタク」首相の思考法を読み解く」
 ・斎藤淳子「圧縮型発展の曲がり角で」
 ・毛利亜樹「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」
 ・朱喜哲「「われわれリベラル」を再考する」
   の4本でした。
 
◎ 第1テーマ・水島朝穂「「軍事オタク」首相の思考法を読み解く」
 石破内閣への見方が、一方で石橋湛山を勉強する会という側面を示しながら、軍事オタクらしく軍事を突出させる面も見られ、要注意だ。憲法観に置いては、九条二項をなくす改憲案を持っている。軍事的合理性を重んじているというが、狭い範囲でのことで、大きく見たら軍事的合理性は重んじられていないのでは。
◎ 第2テーマ・斎藤淳子「圧縮型発展の曲がり角で」
 中国の短時間での急速な成長は、今様々な問題を生んでいる。筆者の並べる中国の言葉は、世相を描く臨場感のあるもので、面白い。このような困難を抱える中国政府が、日本敵視論で切り抜けようとする意図がある。
◎ 第3テーマ・毛利亜樹「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」
 かつての中国政府は、常務委員8名の派閥抗争で政策が決められるようなことがあったが、習近平体制では、独裁的な進め方になっている。「二〇〇八年六月合意」という立ち返り推し進めるべき道があるのだから、何とかそういう方向を求めたい。
◎ 第4テーマ・朱喜哲「「われわれリベラル」を再考する」
 リベラルとリベラリズムを分けて考えて、リベラルな態度の重要性を説いている。枯れた柿の木を燃やしてしまうのでは、「気が済まない」ので、観音像にした、という話があるが、相手が差し出してくれたものに対する「釣り合い」の感覚に、公正を求めるリベラルな態度の根拠があるのでは。分断と暴力が支配しつつある現代において、リベラルなあり方は重要な態度だ。
 などと話し合われました。
 
■12月号のその他のお勧めは
・須山 「「オフグリッド」から世界を発見する」 北川真紀
    「これからの税の考え方」     諸富徹×広井良典
    「アメリカ「オルタナティブな現実」が覆う未来」竹田ダニエル
    でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会(昼の部)1月例会のお知らせ
 ●日 時 1月15日(水) 午後4時
 ●場 所 生涯学習センター・集会学習室5
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 ・「戦争を止められるか」 川島 真×酒井啓子×三牧聖子
 ・「悪法と戦争」              奈倉有里
 ・「誰が大統領を選ぶのか?」       上村 剛
 ※ 第3水曜が定例です。ご承知ください。
 ※ この他に、zoomでの『世界』を読む会が、第2水曜の、午後7時からで開催されています。参加希望の方は、メールで申し込んで下さい。
 ● 連絡先 須山
          suyaman50@gmail.com
 
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練馬の『世界』を読む会・12月例会は、8名で。

2024-12-14 18:35:46 | 日記
練馬の『世界』を読む会・12月例会の報告
 
 練馬の『世界』を読む会・12月例会が、12月13日(金)、午後1時より、練馬区立光が丘図書館、第1会議室で、行なわれました。8名の参加でした。
 例によって、手作りの美味しい栗羊羹にコーヒー、八丈島物産展のお菓子という美味しい会でした。
 
■ 今月のテーマ
 ・水島朝穂「「軍事オタク」首相の思考法を読み解く」
 ・毛利亜樹「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」
 ・朱喜哲「「われわれリベラル」を再考する」
 ・大島堅一「〝脱炭素〟という名の原発延命策」
 ・茅野恒秀「再エネに吹く向かい風」
  の5点でした。
 
◎ 第1テーマ・水島朝穂「「軍事オタク」首相の思考法を読み解く」
 『軍事研究』という名の月刊誌が存在するということが驚き、憲法九条の日本はどうなっているの。軍事的合理性でものを考える人物が首相であることの恐ろしさ。幸いに選挙結果は憲法改悪の発議を遠のかせたが。注意して見守らねば。
◎ 第2テーマ・毛利亜樹「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」
 福田康夫と胡錦濤の間での「二〇〇八年六月合意」の「平和・協力・友好の海」という「戦略的互恵関係」の状態から、大分遠のいてしまっているが、そこに立ち返ることが大切だ。「戦略的」という長い視座でものを見ることが、今の政治家に欠けている。習近平の中国が、サンフランシスコ体制への異議申し立てをしているというのは初めての認識だ。
◎ 第3テーマ・朱喜哲「「われわれリベラル」を再考する」
 難しい。分かりにくい。いや面白い。「リベラル」という行き方、態度と「リベラリズム」という主義、イデオロギーとを分けることが大切。他という「個」を重んじる、共生の作法が大切ということだろう。世界をそれを見失って、権威主義から暴力、戦争という流れが強くなっている。けれど、長い目で見れば、「個」が重んじられる方向に進むだろう。
◎ 第4テーマ・大島堅一「〝脱炭素〟という名の原発延命策」
 良く分かる文章だ。「GX政策」は、石炭、原子力の延命策でしかない。再エネに将来性があることがますます明らかなのに、政府は逆行しようとしている。電力大企業の当座の利益にばかり目が行っているせいなのか。
◎ 第5テーマ・茅野恒秀「再エネに吹く向かい風」
 再エネを進めるためには、自治体や政府による「土地利用政策」に向けての議論が欠けていることが問題を生んでいる。具体的な提案などの内容があると良かった。
 などと、話し合われました。
 
■12月号のその他のお勧めは
 ・野口 「「会計年度任用職員」という大問題」  和田靜香
 ・須山 「「オフグリッド」から世界を発見する」 北川真紀
     「これからの税の考え方」    諸富徹×広井良典
 でした。
 
◎ 練馬の『世界』を読む会、1月例会 の予定
 ●日 時 1月23日(木) 午後1時~4時
 ※ 第三木曜日が定例ですが、今回は第四木曜です。
 ●場 所 光が丘図書館・第一会議室
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 ・「性暴力と女性たちの声」       古橋 綾
 ・「ナクバという《ジェノサイド》」   岡 真理
 ・「悪法と戦争」           奈倉有里
 ・「「トランプ時代」の科学の使命」高村ゆかり×江守正多
 ● 連絡先 須山  suyaman50@gmail.com
 
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東久留米の『世界』を読む会・zoom、12月例会は、6名で。

2024-12-12 17:35:25 | 日記
東久留米の『世界』を読む会・zoom、12月例会の報告
 
 東久留米の『世界』を読む会・zoom、12月例会は、12月11日(水)、午後7時~、フルメンバーの6名の参加で行なわれました。
 
■ 今月のテーマは
 ・朱喜哲「「われわれリベラル」を再考する」
 ・和田靜香「「会計年度任用職員」という大問題」
 ・大島堅一「〝脱炭素〟という名の原発延命策」
 ・田中秀明「人口減少を乗り切るための財政戦略」
   の4本でした。
 
◎ 第1テーマ・朱喜哲「「われわれリベラル」を再考する」
 文章が難しく読むのに苦労した。「われら/やつら」と分断している世界を、どのように「われ=われ」の世界へ導いたらよいのか、を問題にしている。態度や生き方の「リベラル」と「主義」として普遍性を主張する「リベラリズム」を分けて考えることが大切だ。「リベラリズム」の没歴史的な普遍主義は権威主義に通じる。「リベラル」な態度として、「距離を取る」という懐疑心の大切さ。「他」の「個」、「多元性」を重んじるという「共生」「配慮」の大切さ。文化人類学者のD・グレーバーの「釣り合い」の感覚が「公正さ」の根拠になる。
◎ 第2テーマ・和田靜香「「会計年度任用職員」という大問題」
 シングルマザーが最も虐げられる境遇にある。就職氷河期世代を狙い撃ちにしたようなことだ。女性を分断する制度でもある。大きくは、正規職を、非正規職にしていることに問題がある。教員を始め社会にとって重要な職が、非正規化しているのは、住民の不利益につながっている。
◎ 第3テーマ・大島堅一「〝脱炭素〟という名の原発延命策」
 何のために、政府はこんな原発延命策を続けるのだろう。今の電力会社のシステムの維持のためしか考えられない。RABモデルなど、国民に負担を押しつけるとんでもないやり方だ。廃炉問題という重大な問題に国は向き合っていない。
◎ 第4テーマ・田中秀明「人口減少を乗り切るための財政戦略」
 筆者の論は日本の現実に立脚していないし、本質的な問題把握をしていないように思う。財政の重点を「政府」から「市場」へと回すことが解決策だとしている。MMTについては、ハイパーインフレを招くだけだろう。
 などと話し合われました。
 
■ 12月号のその他のお薦めは
 ・野口 「二〇五〇年脱炭素への分岐点」     高村ゆかり
 ・須山 「「オフグリッド」から世界を発見する」 北川真紀
     「これからの時代の税の考え方」  諸富徹×広井良典
     でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会、1月例会のお知らせ
 ●日 時 1月8日(水) 午後7時
 ●zoomでのオンライン開催
 参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 ・「作られた「逆転のストーリー」」       松本 創
 ・「「一〇三万円の壁」引き上げは若者を救うか」 宮本太郎
 ・「悪法と戦争」                 奈倉有里
 ・「「トランプ時代」の科学の使命」 高村ゆかり×江守正多
 ※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
 ※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
 ● 連絡先 須山
            suyaman50@gmail.com
 
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