『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

高浜原発3・4号機運転差し止め仮処分判決を読もう!

2015-05-28 19:05:59 | 日記

● 河合弘之×海渡雄一×鹿島啓一 「山動く日、来たる」を読んで
   (『世界』6月号)を読んで                  須山敦行

◎ 四月十四日福井地裁の「高浜原発3・4号機運転差し止め仮処分」の成果についての当事者達の評価の対談です。

◎ この判決のもつ非常に重要な沢山の内容について、解説になっています。

◎ 各論の中で、私が特に重要だと思ったのは、判決が「原子力規制委員会の新規性基準」を不十分と批判していることです。

◎ 画期的なこの判決は、これからの全ての再稼働を止める力を持つ、という。

◎ 「私たちは今回の決定と昨年五月の判決を各裁判所に提出していますが、これらを読んで心を動かされない裁判官はいないと確信します。
   そして重要なことは、その人たちが自らの良心にしたがって判決を出していける情勢を私たちの手で作っていくことです。」        〔p.127〕

※ というので、四月十四日の判決文(理由の要旨)をネットで入手して読んでみました。
  この判決文の意味を解説しているのが、『世界』の対談の内容だったのです。

    http://adieunpp.com/karisasitome/150414decabstract.pdf
   ここで、読めます。


※ 以下、判決文を学ぶ
※ 《基準地震動》
   「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない。」
   「平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある。」(入倉孝次郎教授)

   地震の平均像を基礎として万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を策定することに合理性は見い出し難いから、
   基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っている

※ 《多重防護の考え》
   基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあることは債務者においてこれを自認しているところである。
   外部電源と主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿である。
   安全確保に不可欠な第1次的設備を安全上重要な設備でないとする債務者の主張は理解に苦しむ。
   多重防護とは
   堅固な第1陣が突破されてもなお第2陣、第3陣が控えているという備えの在り方を指すと解されるのであって、
   第1陣の備えが貧弱なため、
   いきなり背水の陣となるような備えの在り方は
   多重防護の意義からかずれるものと思われる。

※ 《冷却機能の維持》
   日本国内に地震の空白地帯は存在しない。
   基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、
   そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険である。

※ 《使用済み核燃料》
   使用済み核燃料は我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼす可能性があるのに、
   格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められていない。
   深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。
   使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性もBクラスである。

※ 《具体的な方策》
   ①基準地震動の策定基準を見直し、基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた耐震工事を実施する。
   ②外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする。
   ③使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む。
   ④使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスにする
という各方策がとらえることによってしか解消できない。

※ 《原子力規制委員会の新規性基準は緩すぎる》
  ・使用済み核燃料プールに係る計測装置がSクラスである必要性
   耐震性及び放射性物質に対する防御機能が高い免震重要棟の設置の必要性
   を 規制の対象としていない
   免震重要棟に「猶予期間」を設けている

   地震が人間の計画、意図とは全く無関係に起こるものである以上、かような規制方法に合理性がないことは自明である。

  ・新規制基準に求められるべき合理性とは、
   原発の設備が基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような
   厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。

  ・しかるに
   新規性基準は、緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。
   新規性基準は合理性を欠くものである。

※ 《人格権、被保全債権》
   本件原発の事故によって債権者らは
   取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり
   保全の必要性も認められる。

 

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今、ここから、民主主義に生きる

2015-05-22 17:18:26 | 日記

● 上村達男 「NHKの再生はどうすれば可能か」を読んで
     『世界』6月号                          須山敦行
                                                                       
※ 籾井会長のあれこれを巡って報道を受け止めていたが、ここに書かれているようなことは全く知ることができていなかった。
  まさに、『世界』が素晴らしい点だ。
  世の中に起きていることの、真実と本質をつかむことが『世界』で可能になるのだ。

◎ 筆者は、民主党推薦?の元NHK経営委員で、監査委員、委員長職務代行者を務めたという、経営委員会の内部の当事者である。専門は会社法、商法の早稲田大学の学者である。

◎ 日本の民主主義にとって大切な、NHK、放送法という位置づけで、そのあるべき姿を考え探っている。民主的な政府がどのような、放送、放送法を持つべきか。それはどのように選ばれ、運営され、監査されて、民主主義を保障されるのか、という問題である。

◎ その中で、籾井会長がいかに、会長にふさわしくなく、あってはならない存在であることが、具体的な事柄として述べられている。

◎ その背後には、これまで重んじられてきた「中立性」を担保するための慣行が、安倍政権によって変えられてしまったことが批判されている。

 《「国会同意人事」と「政府任命人事」》
  国会同意人事は、時々の政府の意向に左右されてはならない独立性の強い人事、
  具体的には
  国家公安委員、公正取引委員会委員、中央労働委員会公益委員、人事院人事官、日銀総裁
  等に関する人事をいい、
  NHK経営委員もこれに含まれる。

  NHK経営委員およびNHK予算については、
  政府も謙抑的姿勢を維持し続けてきたのであるが、
  安倍内閣になって以来、
  NHK経営委員の人事は政府任命人事と同視され、NHK予算も政府予算と同等の扱いを受けるようになった。

◎ 《自民党の情報通信戦略調査会のNHKとテレビ朝日の呼びつけ》

 NHKとテレビ朝日としては、
 まずは聴取の法的根拠について質した上で、
 「自律の保障」により表現の自由を確保するという放送法の規定を掲げることで、聴取に応じるべきではなかった。
 そのうえで、放送法に則り、十分な調査を自律的に実施し批判を仰ぐという姿勢を示すべきだったように思われる。

※ 素晴らしい! 具体的な提案だ!

◎ 文末に、「退任にあたっての挨拶 NHKで働く皆さんへ-独立の気概と民主主義について」という文章が載せられているが、内容が深く、感動的である。

 早稲田大学の建学の精神は、「学の独立」である。
 「独立」「独立自尊」
 これは常に、「強い者に対する独立」を意味しています。
 弱い者に対する独立とは意味不明であります。
 これは強い者からみると「少数意見の尊重」を意味しています。
 「表現の自由の保障」とは、そうした少数意見に対する保障を意味する

 「私は、あなたの意見に反対だ。しかし、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ヴォルテール
 
 民主主義というのは、
 少数意見に対する寛容の精神と、強い者への独立の気概によって支えられるもの

 民主主義は寛容なものだが、「しかし、不寛容に対して寛容ではない」ラートブルッフ

 「空気を読むな」「匿名の世界に関心を持つな」
 民主主義の市民や人間に「匿名」というのはないのです。

※ 民主主義は、未来の問題ではなく、現在の今生きている、今活かすべきもののことである。私の明日の行動の一つ一つが民主主義の実践であり、学習である。
  努力することによって、私から、ここから、一人の所から、民主主義を生きることができる。

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戦争、「戦後」の総括で、未完の「戦後」の完成を!

2015-05-21 14:51:19 | 日記

● 渡辺 治 「『戦後』日本の岐路で何をなすべきか」を読んで
   『世界』6月号                    須山敦行

◎ 筆者は、「戦後」とは何か、ということから説き起こす。
  私なりに、その内容の中心を受け止めると、

 「戦後」とは、我々のことだ。「戦争」の反省をし、不戦を誓い、民主主義と人権の確立を成し遂げようとした。我々のことだ。
  そして、戦後の歴史は、「戦後」を清算しようという勢力との闘いの歴史であった。
  「戦後」を清算する勢力から、「戦後」を守るのが、我々の任務だ
 ということになる。

◎ 集団的自衛権も特定秘密保護法も、安倍の思いつきでもなく、安倍はその提案者でもない。
  それは、新自由主義改革勢力であり、アメリカや保守支配層である。
  安倍とその背後の勢力の目的は、グローバル競争大国である。

  それが、「戦後」を清算しようとする勢力だ。

◎ 日本の保守政権は
  軍事力保持を否定する戦後体制を否定し、軍事大国を目指したいが、そのためには、軍事大国であった戦前日本を肯定せざるを得ない。

  そこに
  「日本会議」、「新しい憲法をつくる国民会議」、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が出てくる。安倍にとって、単なる「お友達」以上の存在なのである。

  安倍政権は、「戦後」体制打破=軍事大国化の切り札である。

◎ 筆者は、戦後の、三つの岐路で、それぞれの陣営がどのような動きをしたのか、その質を問うている。それは、歴史を振り返らせ、参考になる。

◎ 《改憲をどのように阻止するか》
 ということで、筆者は提起する。

 一 立場、思想の違いを自覚しつつ結集すること
  ① 「武力によらない平和」を求める立場
  ② 自衛隊がアメリカに加担し海外へ行く、戦争する国づくりに反対する立場
  ③ 立憲主義に反するから反対する立場

 二 沖縄・辺野古の新基地反対を課題にすること
 
 三 改憲に反対する政党の参加
   民主党の態度決定

 四 安倍の構想する「日本」への対抗構想の構築
   
   知識人の責務
   ・東北アジアと日本の平和構想の探求
   ・植民地支配と侵略戦争を繰り返した日本の近現代史への国民的総括
                             国民的議論
            の 知識人による呼びかけ

※ 「立て!知識人!」
  みんなで『世界』を読もう! という わけだ。

◎ 「戦後」は未完である

  日本国民は、「憲法」を選びなおし、海外で戦争をしない「戦後」をつくってきた

  「戦後」清算勢力に打ち勝ち 「戦後」を築き直す闘いで
  未完の「戦後」を実現させよう
  
  という呼びかけで、文は終えている。

※ 「戦後」(平和、民主主義、人権)を守り、「戦後」の精算勢力を打ち破る闘いを、再構築することで、未完の「戦後」を成し遂げよう!
  そのためには、戦争、戦後の学び直し、真の総括 が 必要だ!

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「戦争」の歴史を学ぶ年に!

2015-05-17 14:01:16 | 日記

● 村山富市×河野洋平 「日本の歴史認識とアジア外交の未来」を読んで
   『世界』6月号                       須山敦行

◎ 《「談話」当事者の対談》
 安倍政権によって、亡き者にされようとしている、「村山談話」と「河野談話」。二つの談話の当事者の対談であるということで、注目して読ませていただきました。

◎ 《現状が突き付けていること》
 は
 歴史に向き合う姿勢の問題が起きている。
 そして
 戦後の教育がどうであったか、の反省を突き付けている。
 と語られる。

◎ 《根本的な対立》
 そして、私たちが向き合っている事態は、右と左の対峙ではない。
 「戦争という過ちを反省して進んでいこうという人々」と
 「戦争したことは誤っていなかったと考える人々
 との対峙、対立である。

※ この対立軸をはっきり認識し、示すことは、大事である。
  そのことで、現状を良くするための、国民ぐるみの多数派での一点共闘が成り立つ。


◎ 《重い教育の課題》
  あの戦争はいつどのようにして始まったのか、
  日本の当時の朝鮮支配やそれまでの対中政策がどのようなものであったのか
  を謙虚に受け止め、
  その反省と教訓を後の世代に教育を通じて伝えていくこと
  が肝要であろうと思います。     〔河野〕

  安倍政権の歴史認識は、対外的な面だけでなく、
  自由を圧殺し、戦争へと突き進んでいった戦前のありかたを
  どのように反省しているのか     〔村山〕

※ かつては、そういう人々が、自民党の中にも、保守勢力の中にも、沢山いて、最低の常識になっていたのだ。

◎ 《日本国憲法の学習》
 日本国憲法が平和主義、民主主義、基本的人権の尊重という三つの原則を掲げていることは誰でも知っていることで、  〔河野〕

※ 確かに、そう学んだ気がする。
  しかし、今、そう学んでいるんだろうか。その意味を学んでいるんだろうか。
  もしかしたら、そう教えることは、「偏向教育」の名で抑圧、排除されているのではないか。
  先生の責任は重い。

◎ 戦後七〇年の今年は、
  歴史が問われている時でもあり、
  戦争の歴史と戦後の歩みをきちんと学ぶ機会にしてほしい。〔村山〕

◎ だからこそ教育が大事です。 〔河野〕

※ 戦争を学ぶ、戦後を学ぶ、
  あらためて
  そういう課題が日本人の前に提起された年だ。

  そういう「学習」の一大ブームを起こしたい。

  様々な「学習」の中で、「戦争の歴史」を学ぶことが、一つの柱になるべきだ。

  『世界』を読む会 も そういうものの一つになりたい。

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5月例会は、充実!

2015-05-15 14:14:20 | 日記

当日、欠席の連絡が相次いで入り、どうなるかと心配されましたが、伊藤さんが初参加で、3人の会になりました。
これまでに、参加して下さった方、参加希望の方は、合計、8名です。
来月は全員参加で、8名以上の会になったらすごいな。

交流した結果、

それぞれのお薦めの三点は、以下でした。

● 伊藤亨    ・「沖縄はアジアと日本の架け橋となる」 翁長雄志×寺島実郎
         ・「学校を守り、地域の未来をひらく」 尾原浩子
          ・「メトロポリス東京の過去と未来」 槇 文彦
● 巻和泉   ・「現代日本の閉塞をつきくずす『地方』の価値と力」 内山節
         ・「沖縄はアジアと日本の架け橋となる」 翁長雄志×寺島実郎
         ・「学校を守り、地域の未来をひらく」 尾原浩子
● 須山敦行 ・「現代日本の閉塞をつきくずす『地方』の価値と力」 内山節
         ・「沖縄はアジアと日本の架け橋となる」 翁長雄志×寺島実郎
         ・「核なき世界は実現できる」 秋葉忠則


◎ 『世界』を読む会  
6月例会 の 予定

● 日 時 6月10日(水) 午後7時
● 場 所 喫茶アンデス 練馬区豊玉北5-17-9 井上ビル 2F
      電話 03-5999-8291
      練馬駅[A2]から徒歩約0分  
● 持ち物 雑誌『世界』6月号
● 連絡先 須山
      suyaman51@mail.goo.ne.jp

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