● 西谷修×中野晃一 「『この道しかない』はずはない!」を読んで
『世界』3月号
須山敦行
◎ 対談している二人は、リベラルと左派の連合によって、これからの日本をより良い社会へと変革する道を探ろうという視点に立っている。まさに、雑誌『世界』に私が期待する立場である。
◎ 《政治の新自由主義化》
現状の政治状況を、「政治の新自由主義化」と捉えている。
国民が主権者ではなく、公共サービスを享受するお客様(消費者)になってしまっている。
◎ 《社会の新自由主義化》
企業、あるいは経済をモデルとした論理や組織のあり方が各分野に持ち込まれてきた
サービスを供給する企業 と それを享受する消費者 という構図 が
教育、医療、政治の場に
企業の最高経営責任者(CEO)になぞらえる総理大臣への権限の集中
によって 異論の封殺がなされ
民主主義の ボトムアップのプロセルとは真逆の組織論理が 浸透
※ 公立学校に押し付けられた一連の「改革」に、ピッタリ当てはまる
◎ 《民主党内の「松下政経塾」批判》
松下政経塾の発想は「ポリティクス・アズ・マネージメント」
つまり企業経営と国家運営を同一視する政治イデオロギー
◎ 《情念や欲望を煽る政治マーケティング》
PR会社 が 仕切る 政治
政治家は人々の欲望や情念をマーケティングのノウハウを駆使して煽ることで権力を占めようとする
◎ 《新自由主義を覆い隠す国家保守主義の幻影》
草の根保守とは違う、国家の規範や権力に主軸を置いた保守
その中で、進む「階層化」
「階層化」は、長い時間をかけて周到に準備されたもの
教育の差別政策 と 雇用政策=階層的雇用システム
「グローバル人材」と「使い捨て労働力」
みなが同じ教育を受ける必要はない
◎ 《新自由主義は自由主義ではない》
「企業主義」と表現すればよい
企業の自由の最大化を掲げる
個人がなく 個人も労働力を売る法人だとみなす
「革命が足りないから革命がうまくいっていない」
「改革が足りないから改革がうまくいっていない」
↓
法人の支配を貫徹させ、法人以外のアクターを排除し従属させていく
合理的選択論
自己利益を追求する有権者と政党が構成するマーケットによって政治が決められるべきだ
◎ 《展望を開くために》
左翼は、個人を重んじることだ
リベラル派は、新自由主義と決別することだ
他者性、異質性を前提にした連帯を作る。
未来像を語ること
「コンクリートから人へ」
「国民の生活が第一」
「新しい公共」
「出番と居場所のある社会」
※ リベラルが「反共」を克服し
左翼が、リベラルを重んじれば 連帯が出来るし、出来なければ、どうしようもないと思う。