『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

小岩の『世界』を読む会・7月例会はzoomで、4名で。

2022-07-28 14:15:03 | 日記
小岩の『世界』7月例会の報告
 
 小岩の『世界』を読む会・7月例会は、コロナ感染急拡大の事情でzoomでのオンライン開催となりました。22日(金)に、4名の参加で行われました。
 
■ 第一テーマ・藤原帰一「抑止とその限界」
・核抑止が通常兵器での戦争を抑止できないことが、不安定化に繋がっていることを、抑止には限界があることを述べている。
・抑止論が破綻した現状で、抑止論に頼る議論が起きていることに、「奇怪な現象」と見ているが、それが日本などを覆っている。抑止論は根強い。
・抑止力にならなくても、戦争になれば軍事力は必要なので、軍拡論者にとっては、抑止力論はそんなに重要ではないのかも知れない。抑止力論に拘わらず軍拡論は成り立つのでは。
・軍拡論者の本音はそうだが、抑止力を軍拡の論拠にして国民に訴えている現状がある。
・軍拡は認められないので、抑止力論をロジックとして利用している。
・具体的には軍事費2%問題であり、敵基地攻撃能力問題、核共有問題で、議論されている。
・筆者は、パワーポリティクスのリアリズム(=現実主義)に反対して、リベラリズムの観点から批判している。あえて相手の土俵に上って論じてみて。現実主義が現実的でないのだと。
・〔p.84〕筆者の中国の通常戦力に対して通常戦力の抑止が必要だというような議論は疑問だ。
・そのための方策が軍事力の問題だと言っている訳ではないと思うが。
・ウクライナが九条の国だったら、世界は圧倒的にウクライナ支援になっただろう。九条の抑止力を重視すべきだろう。
・侵略の口実(=大義名分)を与えないということは、戦争を防ぐ大きな力だ。
・外交と国際司法と国際公法の確立が、本当の戦争を防ぐ力だろうが、まだ世界はその力を確立していない。先進国がそれを阻害している現実がある。
・民主主義だ、立憲主義だと国内で言っている国が、国際政治の場では、それを推進すべきだと動いていないどころか、妨害している現実がある。
 
※ 藤原さんを無視して(乗り越えて)、大切な本質的な議論が行なわれた気がしました。
 
■ 第二テーマ・松井芳郎「多国間主義の危機」
・日本は「多国間主義」から、「普通の国」、「単独行動主義」の方へ後退していると述べている。
・アメリカは、二つの間を行き来している。政権毎に。
・筆者は、国連(軍)中心をmultilateralism、 日米安保条約の日本やNATOをunilateralismと捉えるような把握をしている。かつて小沢一郎がmultilateralismを主張した。
・停戦後をmultilateralismで国連軍が動くことがあるが、戦争事態ではほとんどunilateralismが働いている。
・日本の「核共有」論は、NPT違反で、単独行動主義で国際的に認められないものだ。
・国連総会決議が力になった例を二つ挙げている。〔p.181〕〔p.184〕
・市民に何ができるか、ということで、それぞれの議会を動かすことも説いている。オバマの核の先制不使用を、日本の政府の動きでつぶしてしまったという逆の例もある。
 
※ 話しは、ウクライナ戦争の長期化、見通しの無さについての話しへ流れました。世界の経済状況の悪化など、困った状況が深まっています。
 
●7月号のその他のお薦めは
 片山 ・「ロシア正教という要素」    寺島実郎
 大塩 ・「沖縄半世紀の群像 牛島貞満」 渡辺 豪
     でした。
 
◎ 小岩の『世界』を読む会、8月例会 の予定
 ●日 時 8月25日(木) 午後7時
 ●zoomによるオンライン開催
 ※ 参加希望の方は連絡ください。
 ●持ち物 雑誌『世界』8月号
 ○共通テーマ
 ・「メディアは自らを改革できるか」        南  彰
 ・「大学の解体、民主主義の解体」         駒込 武
 ・「新たな歴史を紡ぐアメリカ新世代の労働運動」  松元ちえ
 ●連絡先 須山
             suyaman50@gmail.com
 
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練馬の『世界』を読む会・7月例会は7名で。

2022-07-24 16:13:53 | 日記
練馬の『世界』を読む会・7月例会の報告
 
 練馬の『世界』を読む会は、21日(木)、午後1時から5時まで、練馬図書館の会議室で行われました。参加は7名でした。
 
◎今月のテーマは
「抑止とその限界」     藤原帰一
「戦争と憤激」ユルゲン・ハーバーマス
 でした。
 
 長期戦に突入して、収束の見えないウクライナ戦争を巡って、「抑止論」をテーマに話し合いました。
 憲法九条こそが「抑止」力だ、という意見が、強く胸に残りました。
戦争の実相(残虐に殺し合う)から離れた机上の軍事力論議をしている日本、世界だな、と。
今回の話し合いの中で最も皆さんが強く発言したのが、安倍元首相暗殺事件の報道の仕方。統一教会問題。そして、国葬に対しては、強い批判が交わされました。日本の言論状況は危ない。思想統制も相当、権威主義国家並みだ。と。
 
■ 7月号のその他のお勧めは
 ○宮崎 ・「警察国家に向かわぬために」 青木 理
 ○須山 ・「台湾有事と集団的自衛権」  宮﨑礼壹
 ○巻  ・「ルポ 保育で儲ける企業」  小林美希
     ・「沖縄・半世紀の群像 牛島貞満」渡辺豪
            でした。
 
◎ 練馬の『世界』を読む会、8月例会 の予定
 ●日 時 8月18日(木) 午後1時~4時
※ 毎月け、第三木曜日が定例です。
 ●場 所 光が丘図書館・視聴覚室
 ●持ち物 雑誌『世界』8月号
 ○共通テーマ
  ・「ジャーナリズムはどこに息づくか」      依光隆明
  ・「メディアは自らを改革できるか」       南  彰
  ・「「静かな活性期」を迎える女性労働運動」  竹信三恵子
 ● 連絡先 須山
             suyaman50@gmail.com
 
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富岡の『世界』を読む会・7月例会は5名で。

2022-07-24 15:45:57 | 日記
富岡『世界』を読む会・7月例会の報告
(郡山さんから)
 
 富岡『世界』を読む会・7月例会は、7月20日午前、5人の参加で開催されました。
 今月のテーマは、『世界』7月号から藤原帰一『抑止とその限界』とユルゲン・ハーバーマス『戦争と憤激』の二つの論文でした。ともにロシアのウクライナ侵攻に関する論考でした。
 
 Ⅰ.藤原帰一『抑止とその限界』について
 ロシアによるウクライナ侵攻の直前、ロシアはウクライナ国境に20万人に及ぶ軍を配備した。他方、西側諸国は大規模な経済制裁とウクライナへの武器供与、およびNATOの兵力の動員・配備で対抗していた。しかし米国・NATOのロシアへの抑止にかかわらず、プーチンはウクライナへ侵攻した。つまり、「ウクライナ侵攻は抑止の破綻だった」。
 読む会では、こうした藤原氏の論考に対して、相反する意見が出された。
 「説得力があった」と肯定する人は、藤原氏が後段で指摘した「核抑止の安定が通常兵力による力の均衡を不安定にしてしまう」(核兵器によって通常兵器を用いた軍事行動を抑止できない)という「安定・不安定パラドクス」の指摘と、論文最後の「抑止の破綻を前に中国への核抑止力強化を求めることに意味はない」等の主張を、この論文の肝だと述べた。
 一方、「抑止が破綻した」という言説に疑問も出された。ウクライナが核武装しておれば、あるいはNATOに加盟しておれば、つまりウクライナ側に相応の抑止力が備わっておれば、ロシアのウクライナ侵攻は防げたのではないか、という疑問だ。これはウクライナ侵攻直後から広く交わされてきた議論である。核抑止依存ではなく核兵器削減・廃絶を求め、軍事的抑止よりも軍縮と外交努力を主張する立場から、核抑止論や軍事的抑止論の破綻を期待して藤原論文を読んだのだが、叶わなかった。
 停戦や終戦を願う参加者からは、藤原論文の中にそれへの糸口を見出したいと思って読んだが、戦争を終える道筋が曖昧で見えなかった、と感想を述べた。
 ウクライナ戦争がますます深刻と混迷の度を増すにつれ、参加者の苛立ちとやるせなさが募っていく。
 
 Ⅱ.ユルゲン・ハーバーマス『戦争と憤激』について
 ハーバーマスは、ウクライナ戦争がドイツの国内、とりわけ左派・リベラルに引き起こした対立と論争について、苦渋の気持ちを込めて概観している。それは、ウクライナへの武器支援についての積極派と慎重派との論争だ。
 積極派は、自由・権利・生命を求めるウクライナ国民の願望に共感し、その英雄的・自己犠牲的抵抗を賞賛、ウクライナの勝利に賛同している。一方慎重派は、冷戦の経験から「核保有国との戦争に『勝利』はない」と教訓をくみ取った人びとで、国際紛争は原則として外交と制裁を通じて解決するしかないと認識し、出来るだけ早い終戦が重要であると主張する。  
 慎重派であるハーバーマスは、「熟考とためらい」の態度をとるショルツ首相の立場に共感しつつ、ドイツのウクライナ支援が、大変に苦労の末に獲得してきたドイツ人の戦後のメンタリティである平和と対話の維持という政治の在り方を放棄する歴史的転換となることに、警告を発している。
 参加者は一同に、ドイツ・リベラル派の長老ハーバーマスの苦悩に、強く共感した。また、日本のウクライナ戦争言説と較べ、地理的近さゆえのドイツの言説の切実感を感じた、との感想も出された。
 論文最後の「EUの軍事的自立論」については、唐突の感があり、理解困難の感想が出された。米国の対外非干渉政策が単にトランプに限定されるのではなく、今後の民主党を含めた米国外交の基調となっていく予感の中、ドイツおよびEUの選択が試されているのかもしれない。そして、われわれ日本の未來はどうなるのか、どうあるべきか。ウクライナ戦争は、私たち日本人に鋭く問いかけている。
 
◎冨岡『世界』を読む会・8月例会の予定
  ■開催日・場所:8月17日(水)9.30-12.30
   吉井町西部コミュニティ・センター  
  ■テーマ
 (1)寺島実郎『能力のレッスン 特別篇 近代史におけるロシアと日本の相関-ウクライナ危機とロシアの本質 その3』
(なお、6、7月号の『-ウクライナ危機とロシアの本質(その1)(その2)』も読んできてください。
 (2)重延浩×テッド若山・対談『マスメディアがニューメディアに脱皮する-アメリカのテレビ界で何が起きているか』
                     以上
 
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東久留米の『世界』を読む会・昼の部・7月例会は四名で。

2022-07-20 20:16:22 | 日記
東久留米の『世界』昼の部、7月例会の報告
 
 東久留米の『世界』を読む会・昼の部・7月例会は、20日(水)、4時~、生涯学習センター集会会議室3で、4名で行われました。
 
 今月のテーマは
 ・藤原帰一「抑止とその限界」
 ・松井芳郎「多国間主義の危機」
 ・渡辺豪「沖縄・半世紀の群像 牛島貞満」
 でした。
 
 ウクライナ戦争が長期化する中で、戦争の見通し、解決への見通しを求めて模索する議論が行なわれました。
 「抑止の破綻」の中で、逆に「抑止論」がせり出している状況ですが、通常兵器による「抑止」、「核抑止」について、明確な論理を持った批判ができるか、議論を闘わせました。「力」を制する「文」への努力が単に理想主義だと軽視すべきではないとはいえ、「力」が跋扈する現実の前で、「文」は悪戦苦闘の現実を感じました。
 参議院選挙を終えた政治状況は、憲法九条がいよいよ正念場を迎えそうで、『世界』の9月号は、きっと「憲法」「憲法九条」がテーマになるだろう、との声、安倍事件もあって「統一教会」もテーマに出てくるのではとの声がありました。果たして?
 「牛島満と沖縄戦」講師:牛島貞満・8月7日(日)・立川アイムホール、の紹介もありました。
 
■ その他の7月号のお薦めは
 ・西崎 「ロシア正教という要素」     寺島実郎
 ・須山 「台湾有事と集団的自衛権」    宮﨑礼壹
               でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会(昼の部)8月例会のお知らせ
 ●日 時 8月17日(水) 午後4時
 ●場 所 生涯学習センター集会学習室5
 ●持ち物 雑誌『世界』8月号
 ○共通テーマ
  ・「メディアは自らを改革できるか」       南 彰
  ・「新たな歴史を紡ぐアメリカ新世代の労働運動」松元ちえ
  ・「サイバー警察局の設置は何を意味しているか」村井敏邦
 ※ 第3水曜が定例です。ご承知ください。
 ● 連絡先 須山
              suyaman50@gmail.com
 
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東久留米の『世界』を読む会・zoom、七月例会は3名で。

2022-07-17 14:53:49 | 日記
東久留米の『世界』7月例会の報告
 
 東久留米の『世界』を読む会・zoomの7月例会は、13日(水)3名の参加でした。
 
■ 第一テーマ・林寒盡「香港からの通信 第一回」
・ウクライナの陰に隠れて、香港やミャンマーのことが忘れられる傾向があるが、目を向けなくてはいけない。
・金融都市都市の香港の必要はもうないという扱いの中で、暗澹たる気持ちになる状況だ。
・香港のジャーナリストなどの闘いが続いていることを忘れないよ、という『世界』の連載の意義。
・中国内部にも豊かな知性があるのに、そういう動きが伝わってこないのが気になる。
 
■ 第二テーマ・藤原帰一「抑止とその限界」
・二月二四日の侵攻を前に、非常に危機を煽る発言が重ねられている状況に師岡カリーナさんが、こんなふうにしたら、侵攻しなければプーチンはチキン野郎になってしまう、侵攻をさせる挑発的な発言だと批判したのを記憶している。
・抑止の限界として、「電撃戦と瀬戸際政策」を取ったら、抑止論は効かないという説明に納得。〔p.79〕
・『世界』が主張するように、プーチンのような合理的判断をしない指導者がいれば「抑止論」は成り立たない、「抑止論は破綻した」といえるのだが、日本の政府や国民には抑止論へ傾く状態がある。
・「長い戦争」は、「危険な予測」に近付くという危険がある。このことは重大なのにあまり問題にされていない。
・文化力が非常に大きなロシアとの繋がりが世界中にはあるのだから、それを戦争を止める方向に生かすことができるのでは。
・8月号の「読書の要諦」で青木理が取りあげている、奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を-文学を探しにロシアに行く』が面白い。20年前ぐらいからジワーッと変わっていったロシアのことが窺えるものだ。その様子を考えると今の日本も危うい。
・〔p.84〕に、中国に対する通常兵器による抑止を否定しないようなことを言っているが、中国が日本を攻撃するというはあり得ず、アメリカの要請に従うものでしかない。
・「外交」と「国際法」だという、結論は良いと思う。
・抑止論批判を、もっと分かりやすく書くことが大切だなと思う。
 
■ 第三テーマ・松井芳郎「多国間主義の危機」 
・「多国間主義」(「単独行動主義」に対して)という用語は大切で使いたいものだと思った。現代の問題を切り分けられる。
・市民は議会を通じて政府を動かして多国間主義を実行する力となることができる。
・国連憲章と日本国憲法の関連と違いの話しは面白い。憲法九条の私たちは国連憲章と同じ平和追求の道に立ち、その一歩先にいるのだ。
『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ)を読んだが、素晴らしいものだ。これを読むと、とにかく戦争は駄目だ、ということが身に沁みて分かる。一人一人にとっての戦争が、体験そのものが書いてある。
 
◆7月号のその他のお勧めは
 ○ 巻  「保育で儲ける企業」       小林美希
 ○ 須山 「台湾有事と集団的自衛権」    宮﨑礼壹
       でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会、8月例会のお知らせ
 ●日 時 8月10日(水) 午後7時
 ●zoomでのオンライン開催
 参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
 ●持ち物 雑誌『世界』8月号
 ○共通テーマ
  ・「分断を超える「女性支援」へ」        戒能民江
  ・「ジャーナリズムはどこに息づくか」      依光隆明
  ・「新たな歴史を紡ぐアメリカ新世代の労働運動」 松元ちえ
 ※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
 ※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
 ● 連絡先 須山
            suyaman50@gmail.com
 
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