19日、小岩の『世界』11月例会が、いつもの5名で行われました。
窓からは、なにやら季節外れの生ぬるい風が吹き抜けて、コロナウィルスから守られた環境の中で、熱い話し合いが燃え上がりました。
例によって巻さん制作の甘ーいブルーベリーのゼリーと自家製のパンに、櫻井さんのジャムとコーヒーお代わり付き、という食べたり喋ったり口が休まない会です。
第一テーマの斎藤幸平『ジェネレーションレフト宣言』から。話し合いはいきなりヒートアップで、『群像』11月号の斎藤幸平の「マルクスる思考」という文章の中にあった「「中立的な」貨幣」という言葉のことから、貨幣論が問題に。「貨幣の保存価値」やら「価値形態論」やら「中央銀行の信用力」やら「諸国民の富」やら「仮想通貨」やら、すごかった。話し合っていると、最近『資本論』を読み直しているという人が複数いたり、なかなかお勉強でした。理解が進んだかどうかは別として、討論の熱さとしては過去最高潮であったことは確かでした。
話題は本題に戻って、『ジェネレーションレフト宣言』の主題の世代論へ、この話題は第三テーマの橋本健二の『誰が安倍政権を支えてきたのか』の投票行為の分析と関連があるということで、そちらの討議へ移りました。日本では『ジェネレーションレフト』登場という展望はなかなか見えない苦境をどう切り開けばいいのだろう。
第二テーマの岸本聡子『地域自治で……』に戻って、「再公営化」問題。お役所=公へ戻すというよりも、市民による自主的・民主的管理=自治ということが大切だ。「再」と言っても過去に戻るのではなく、新しい市民参加型のものを作るということなのだ。ここで諸外国の直接民主主義の裾野の状態と比べて、日本の「与えられた民主主義」の未成熟さが取り上げられました。この『世界』を読む会みたいなのが、増えなくてはという声も。 議論の中で、「ネオリベラリズム」を「新自由主義」と呼んでいるが、「ネオ」は「New」じゃなく、「復活」「反動」というわけで、福祉国家というような政策への「反動」という意味合いなのだ、ということは勉強になりました。
第四テーマ、酒井隆史さんの『そこで開かれた諸可能性は、二度と閉じられることはない』のころは、さすがの熱血メンバーも疲れが見えて、流行のグレーバーも皆さんを圧倒するようではありませんでした?
気がつけば、11時を過ぎて、11時半、最終電車に間に合うかという状況。
こんなに夜更けまでお勉強するおじさんたち、がこの夜も小岩にいたのです。
今回の共通テーマは、
○「ジェネレーションレフト宣言」 斎藤幸平
○「地域自治で、グローバル資本主義を包囲する」岸本聡子
○「誰が安倍政権を支えてきたのか」 橋本健二
○「そこで開かれた諸可能性は、二度と閉じられることはない」
酒井隆史
でした。
11月号のお薦めは
■ 片山 ・「揺れ動くアメリカの中道」 藤永康政
■ 大塩 ・「手記 東京福祉大学留学生「失踪」事件」
元東京福祉大学教員有志
・「ポストコロナの大学論 第4回」 吉見俊哉
・「台湾群像(下)」 高橋政陽
■ 櫻井 ・「「語り」から「対話」へ」 小川幸司
■ 巻 ・「BLMの想像力」 坂下史子
でした。
◎ 小岩の『世界』を読む会、12月例会 の予定
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●日 時 12月17日(木) 午後7時
●場 所 南小岩8丁目21の8
小岩駅から徒歩約3分
●持ち物 雑誌『世界』12月号
○共通テーマ
・「ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在」
山崎 憲
山崎 憲
・「ファッショの構図を読み解く」 保阪正康×上野千鶴子
・「異常気象が異常でなくなった世界」 今田由紀子
● 連絡先 須山
suyaman51@mail.goo.ne.jp
