『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

zoomの『世界』を読む会・11月例会は、5名で。

2024-11-30 16:54:20 | 日記
zoomの『世界』を読む会・11月例会の報告
 
 zoomの『世界』を読む会・11月例会が、11月29日(金)、午後7時半~、5名の参加で行われました。
 
■ 今月のテーマは
 ・兼子 歩「アメリカン・ストロングマン」
 ・玉置敦彦「「アメリカの時代」の終わりと日本外交」
 ・橋本陽子「労働者・自営業者・フリーランス」
   の3本でした。
 
◎ 第1テーマ・兼子 歩「アメリカン・ストロングマン」
 筆者の主張である、ジェンダー、人種への差別へのバックラッシュが進むのでは、という見立てには、納得するものの、トランプの圧勝という結果を受けて、論議は、どうしても選挙結果を巡る意見に傾きがちでした。日本のマスコミもアメリカの報道機関も、予想を違えた結果だった。大きくは「アメリカの落日」の中でのナショナリズムの台頭という背景がある。敵を作って陰謀論に巻き込む手法が力を持っていること、選挙制度を使って犯罪者が正統性を得るというパターンが進んでいること。弱肉強食の無秩序な世界への突入を感じて恐ろしい。トランプの政策は早晩破綻するだろうが、今後が見通せない。筆者が主張するようなアメリカの民主主義の復興、覚醒が、目に見えるように捉えられないのが苦しいところだ。
◎ 第2テーマ・玉置敦彦「「アメリカの時代」の終わりと日本外交」
 現状肯定で、日本政府はうまくやってきたというような見方だが、そうだろうか。軍拡と軍事同盟を強化することと、外交で平和を構築することを、同時に進めるということが出来るのだろうか。安全保障のジレンマは現実に重要な問題点だろう。軍事費の増大は、税負担を強いることになり財源的に不可能ではないか。習近平の中国のあり方が非常に大きな問題だが、軍事挑発はしても、戦争に踏み出す可能性は迫ってはいないのでは。
◎ 第3テーマ・橋本陽子「労働者・自営業者・フリーランス」
 フリーランスの拡大は、キラキライメージとは違い、その実態は「雇用の調整弁」としての利用にあるだろう。正規雇用から非正規雇用、派遣労働者の職種を製造業にまで広げたことなどの延長にある。形式的に経営者の立場に立たされているが、契約当事者間での力関係の非対称性が問題だ。弱者の保護の観点で、欧米に倣って法の充実が待たれるだろう。
 などと、話し合われました。
 
◎ ZOOMの『世界』を読む会、12月例会 の予定
 ●日 時 12月20日(金) 午後7時半~9時半
 ※ 月末の金曜が定例ですが、今月は一週間前にしました。
 ○共通テーマ
 ・「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」    毛利亜樹
 ・「アメリカ「オルタナティブな現実」が覆う未来」竹田ダニエル
 ・「これからの時代の税の考え方」    諸富 徹×広井良典
 ○参加ご希望の方は連絡下さい。案内を差し上げます。
 ● 連絡先 須山
             suyaman50@gmail.com
 
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富岡の『世界』を読む会・11月例会は5名で。

2024-11-23 12:57:45 | 日記
富岡の『世界』を読む会・11月例会の報告
 
 富岡『世界』を読む会・11月例会は、11月21日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターにて、5人の参加で開催された。
 
 テーマは、1.特集1アメリカという難問から①三牧聖子『ガザが問う、カマラ・ハリスの真価』、②井上弘貴『「右派進歩主義」の台頭』、③兼子歩『アメリカン・ストロングマン』の3稿と、2.袴田事件関連の①藤原聡『再審無罪「袴田事件」の58年』、②ディビッド・T・ジョンソン『冤罪は、ただ一つの誤りの結果ではない』の2稿だった。
 
Ⅰ.特集1.アメリカという難問
 大統領選挙前に書かれた論稿だったが、トランプ勝利に終わったアメリカ社会を鋭く分析していて、「なぜトランプか」の疑問に答えるものだった。
 三牧聖子は、カマラ・ハリスが「ガザでの人道危機を終わらせなければならない」という一方で、バイデン・ハリス政権が、パレスティナ市民虐殺を支えている武器をイスラエルに送り続けている欺瞞性を指摘する。パレスティナ支持を鮮明にする若者や民主党左派の人々が、ハリスから離れていったと推測する。
 井上弘貴は、「ハイチ移民が猫を食べている」というトランプ発言が、アメリカだけではなく世界中に広がり、「悪名は無名に勝る」としてマスメディアの注目を集め、トランプは得るものがあった、と述べる。トランプの発するSNSに、ライフルで武装した猫たちの生成AI画像が登場し、「ハイチ移民の猫」暴言を徹底的に選挙戦に利用しょうとするトランプ陣営のしたたかさを痛感した、との感想が出された。そこには正義も良識もなく、ただただ移民排斥の強烈な意志を読み取るばかりだ。
 トランプ勝利後のTV映像には、トランプに寄り添うイーロン・マスクの姿が目立つ。マスクは最先端のテクノロジーの担い手であり、科学・技術進歩の信奉者であるはずだ。およそ非科学的な言動を止めないトランプとは対極の位置にあると思いきや、熱烈なトランプ支持者として登場し、トランプ勝利の立役者の一人となった。井上は、こうしたマスク等の動向を、右派進歩主義として括り、彼らが今後、共和党を根本的に変えていく可能性を示唆している。
 トランプを理解するためには、アメリカの歴史を知らなければならない。兼子歩は、トランプがカウボーイ的「男らしさ」とストロングマン的権威主義者の系譜の交差が生んだ指導者だと看破している。
 トランプ勝利後のアメリカ論議は、重苦しくいやな感じを払しょくできなかった。
 
Ⅱ.袴田冤罪事件
 藤原聡は、袴田冤罪事件にかかわった警察官や裁判官にフォーカスし、実名を挙げて彼らの役割と責任を追及している。この冤罪の出発点は、静岡県警のベテラン刑事たちによる自白の強要と証拠品の捏造だ。彼らは袴田事件とは別に4件の冤罪事件を引き起こしている。当事者である警察官、切羽平一と紅林麻雄の名前は、冤罪の歴史に名を留めるべきだ。
 そして更に罪深いのは、袴田さんに死刑判決を下した裁判官たちだ。一審の静岡地裁は、裁判官の2対1の合議で死刑判決を出した。無罪心証のまま死刑判決文を書いた熊本典道は、生涯苦悩しつづける。東京高裁の横川敏雄裁判長は、証拠評価を見誤って控訴棄却し、死刑判決を維持した。のちに彼は、有罪を無罪にした誤判はあったがその逆はなかった、と語った。最高裁上席調査官・渡部保夫は、警察による証拠品捏造なんてありえないとして、上告棄却の判決文草案を書いた。のちに北大教授となった渡部は、誤判防止に積極的に発言し、「無罪にすべき被告人は無罪に」と著書に記した。これら裁判官たちの罪も重く、やはり冤罪の歴史に名を留めるべきだ。
 参加者からは、冤罪事件はただ被告人に過酷な人生を強要するばかりでなく、真犯人の追及をスポイルしたことにあると指摘された。被害者家族の気持ちに寄り添うことの重要性も、同時に語られるべきだ。
 ドイツ社会が追及するホロコーストの記憶は、被害者と加害者の実名を伴っている。袴田冤罪事件の首謀者を実名で記録したことは、評価されるべきだとの意見が出された。
 冤罪事件に関連して、富岡市議会が国民救援会による「国に対し『再審規定の改正』を求める意見書提出の請願」を採択したことが、報告された。小さな地方都市での、冤罪防止に向けた小さな、しかし貴重な一歩だ。
 
◎ 12月例会の予定
  1.日程・場所:12月19日(木)14.00-16.00時、
         吉井町コミュニティセンター学習室(2F)   2.テーマ:
   a.特集1 視えない中国
    メイン①𠮷岡桂子『日本人学校男児殺害事件-日中関係の転機か』
    サブ ②梶谷懐『中国経済は日本化するのか』
       ③斎藤淳子『圧縮型発展の曲がり角で』
       ④毛利亜樹『日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ』
   b.税と財政関連
      ①諸富徹×広井良典・対談『これからの時代の税の考え方』
      ②片山善博『歳出と歳入のバランスを考える国柄に』
 
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練馬の『世界』を読む会・11月例会は5名で。

2024-11-21 19:11:20 | 日記
練馬の『世界』を読む会・11月例会の報告
 
 練馬の『世界』を読む会・11月例会は、11月21日(木)、午後1時より、光が丘図書館第一会議室で、行われました。参加は5名でした。
 
■ 今月のテーマは
 ・兼子歩「アメリカン・ストロングマン」
 ・玉置敦彦「「アメリカの時代」の終わりと日本外交」
 ・明田川 融「基地国家・日本の現在」
 ・水町勇一郎「世界最大の労働問題をどう解決するか」
   の4本でした。
 
◎ 第1テーマ・兼子歩「アメリカン・ストロングマン」
 トランプ現象を歴史的に考察することは良いが、1964年の公民権運動の大きな役割についての叙述が欠けている。「敵」を作って分断を煽る手法が蔓延しているが、そういう思考に陥りやすいものだ。アメリカが世界をリードする面がほとんど見られなくなっている。
◎ 第2テーマ・玉置敦彦「「アメリカの時代」の終わりと日本外交」
 日本の政権与党や野党でも安保容認の人々の思考法はこんな風ではないか、という点で参考になる。抑止力論が安全保障のジレンマに陥ることについての判断が、所々で矛盾している。現実主義として軍事同盟と軍事拡大は必要で、長い目で対中外交を進めるというスタンス。
◎ 第3テーマ・明田川 融「基地国家・日本の現在」
 日本はほとんど植民地状態といえる「全土きち方式」の基地国家となっている。「相互運用性」の強化により、日本中がアメリカの基地となり得る状態だ。「事前協議」という最近使われなくなったことを、安全性の維持のために使う手がある。「軍備制限地帯」構想という、平和への一つの提案は考察に値する。
◎ 第4テーマ・水町勇一郎「世界最大の労働問題をどう解決するか」
 フリーランス、ギグワーカーの問題は、労働者が安く使われるだけでなく、アルゴリズムの支配によって、人間がAIなどに支配されるような怖さを感じる。闇バイトなどもこの動きの結果である。フリーランスだけの問題ではなく、全ての労働者に関わる問題である。
 などと話し合いました。
 
■11月号のその他のお勧めは
 ・実川 「国家神信仰を批判する」    森本あんり
 ・吉田 「労働者・自営業者・フリーランス」橋本陽子
 ・須山 「韓国軍脱走兵の社会史にむけて」 森田和樹
   でした。
 
◎ 練馬の『世界』を読む会、12月例会 の予定
 ●日 時 12月13日(金) 午後1時~4時
 ※ 第三木曜日が定例ですが、12月は、第2金曜です。
 ●場 所 光が丘図書館・第一会議室
 ●持ち物 雑誌『世界』12月号
 ○共通テーマ
 ・「「軍事オタク」首相の思考法を読み解く」 水島朝穂
 ・「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」 毛利亜樹
 ・「「われわれリベラル」を再考する」    朱喜哲
 ・「〝脱炭素〟という名の原発延命策」    大島堅一
 ・「再エネに吹く向かい風」          茅野恒秀
 ● 連絡先 須山  suyaman50@gmail.com
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東久留米の『世界』を読む会・昼の部・11月例会は、8名で。

2024-11-21 18:59:41 | 日記
東久留米の『世界』を読む会・昼の部、11月例会の報告
 東久留米の『世界』を読む会・昼の部、11月例会は、11月20日(木)、午後4時~、生涯学習センター集会学習室3で、8名の参加で行われました。
 
■ 今月のテーマは
 ・森本あんり「国家神信仰を批判する」
 ・兼子歩「アメリカン・ストロングマン」
 ・水野勇一郎「世界最大の労働問題をどう解決するか」
   の3本でした。
 
◎ 第1テーマ・森本あんり「国家神信仰を批判する」
 イスラエルの軍事侵攻について、キリスト教の教義から批判するという内容でしたが、神学の専門領域の考察が難しい読書でした。ユダヤ人が「選ばれた」という意味は、「諸国民の光」となるために選ばれたということで、倫理的な正義を求められているのであって、イスラエルの拡大のために何をしても良いという意味ではない。ヤハウェは普遍的な神であって、国家神ではない。国家に仕える祭司ではなく、世界を救う預言者が求められている。
◎ 第2テーマ・兼子歩「アメリカン・ストロングマン」
 トランピズムを歴史的に把握すると、黒人や女性の進出への反動という意味を持つという把握に対して共感する意見と、それよりも白人労働者層の待遇の低下などの方が重要だという意見がありました。ストロングでもグレイトでもない、弱い落ち目のアメリカが見える。話はどうしても、今回の選挙結果の原因を探る方向に行きました。
◎ 第3テーマ・水野勇一郎「世界最大の労働問題をどう解決するか」
 時間が足りなくなってしまい、少ししか話されませんでしたが、フリーランス、ギグワーカーの問題は、世界を覆う新しい労働問題である。
 などと話し合われました。
 
■11月号のその他のお勧めは
 ・須山 「韓国軍脱走兵の社会史にむけて」」    森田和樹
 ・豊泉 「革命家・孫文に揺さぶられた日中関係の位相」寺島実郎
    でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会(昼の部)12月例会のお知らせ
 ●日 時 12月18日(水) 午後4時
 ●場 所 生涯学習センター・集会学習室4
 ●持ち物 雑誌『世界』12月号
 ○共通テーマ
 ・「「軍事オタク」首相の思考法を読み解く」 水島朝穂
 ・「圧縮型発展の曲がり角で」        斎藤淳子
 ・「日中「平和・協力・友好の海」のゆくえ」  毛利亜樹
 ・「「われわれリベラル」を再考する」     朱喜哲
 ※ 第3水曜が定例です。ご承知ください。
 ※ この他に、zoomでの『世界』を読む会が、第2水曜の、午後7時からで開催されています。参加希望の方は、メールで申し込んで下さい。
 ● 連絡先 須山
            suyaman50@gmail.com
     
 
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東久留米の『世界』を読む会・zoom、11月例会は4名で。

2024-11-14 18:51:53 | 日記
東久留米の『世界』を読む会・zoom、11月例会の報告
 
 東久留米の『世界』を読む会・zoomの11月例会は、11月13日(水)、午後7時~、4名の参加で行われました。
 
■ 今月のテーマは
 ・森本あんり「国家神信仰を批判する」
 ・水町勇一郎「世界最大の労働問題をどう解決するか」
 ・北 健一「生身の働き手としての権利」
 ・若林 恵「メタ・ゲーム時代のノンフォクション」
 の4本でした。
 
◎ 第1テーマ・森本あんり「国家神信仰を批判する」
 神学というものに遠い生活をしている私たちには、難しい文章でした。イスラエルの戦争には、宗教が色濃く影響していて、宗教の論理からの、その正統性の否定が必要だということで書かれている。神がイスラエルを選んだのは、「わたしの契約を守り」「諸国民の光」となるという条件下のことで、イスラエルは選民思想を勘違いしている。神の名において自らを絶対化して批判を許さないのは、国家主義に似ていて、プーチンのロシア正教と似ている。
◎ 第2テーマ・水町勇一郎「世界最大の労働問題をどう解決するか」
◎ 第3テーマ・北 健一「生身の働き手としての権利」
 両方とも、フリーランスという働き方が広がっている状況での問題だ。その労働者性が曖昧で、その保護が遅れている。日本の場合は、フリーランス法が、下請法ベースで労働法ベースでないので、ことに遅れが目立つ。アルゴリズムによる管理などは、一般の労働者にも通底する問題でもある。フリーランスに相応しくない職種でも、安い労働力、労働の調整弁として、フリーランス扱いにされている実態が多い。好きな時間に好きな場所で働けるなど、理想の働き方になりうる要素も持っている。
◎ 第4テーマ・若林 恵「メタ・ゲーム時代のノンフォクション」
 七〇代の二人には、全く意味不明の文章だったが、若い参加者のために、意味を汲みとることができた。仮想通貨の世界というのは、ゲーム感覚の株取引のようなものなのだ。バズる(SNSで流行する)ことで、利益が上がる。価格の上下が頻繁に激しく、手軽に手を出せるので、若い人が惹きつけられている。こういう世界に頭を突っ込んでいる若者の状態。昨今の政治状況との関係を考えてしまう。
 というような、話し合いをしました。
 
■ 11月号のその他のお薦めは
 ・須山 「アメリカン・ストロングマン」   兼子 歩
     「基地国家・日本の現在」     明田川 融
     「韓国軍脱走兵の社会史にむけて」  森田和樹
   でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会、12月例会のお知らせ
 ●日 時 12月11日(水) 午後7時
 ●zoomでのオンライン開催
 参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
 ●持ち物 雑誌『世界』12月号
 ○共通テーマ
 ・「「われわれリベラル」を再考する」    朱喜哲
 ・「「会計年度任用職員」という大問題」   和田靜香
 ・「〝脱炭素〟という名の原発延命策」    大島堅一
 ・「人口減少を乗り切るための財政戦略」   田中秀明
 ※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
 ※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
 ● 連絡先 須山
           suyaman50@gmail.com
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