zoom『世界』を読む会・10月例会の報告
zoomの『世界』を読む会・10月例会は、10月28日(金)、7時半から、新しい方1名を加えて、5名で行われました。
■ 第一テーマ・藤原帰一「壊れる世界 第2回 大国の戦争」
・朝鮮戦争以下の戦争で大国が勝てずに撤退したという見方は新鮮だった。
・大国は勝つことを目標としていたのか。相手を弱体化させる、懲らしめる、その中で軍事産業が育ち、武器が開発されるという意味では大国は目的を達成しているのでは。
・「戦争は国際政治を変えるのか」〔p.174〕の答えとして「安全保障政策と体制の再編や教化が進んでいる」〔p.181〕ということなのだろう。北欧でのNATOの拡大とか軍事同盟化の結果をもたらしている。
・群雄割拠のような、「世界が壊れる」という状況に見舞われるのか。
・冷戦期とは違うどのような国際秩序をもたらすのか。
・世界全体の軍事化の方向での変化が問題だし、日本の市民にとっても大きな懸念だ。
・朝鮮戦争の評価が、当時の自分たちの把握とは違ってスターリンの主導によって始まったという評価が定説になっている。
・これらの戦争の終結は、それぞれ指導者の死去によって国益を考慮して休戦がもたらされた歴史があるが、ウクライナ戦争はどのような終結への道が考えられるだろうか。
・長期化するんだという悪い見通しが述べられているが、何によって終わらせられるのか。
・どこかの国がイニシアチブをとってこの戦争を終わらせることを考えていかなくてはと思うが、その国が見えてこないで、泥沼化しつつある。
・当事国の国民にとっては、暢気に長期化するだろうと評していられることではない。
・日本が停戦のイニシアチブを取るくらいであってほしい。
・大国の撤退は、大義のないエゴの押し付けは最終的に勝てないということでは。
・アレクシェーヴィチの『亜鉛の少年たち』、『戦争は女の顔をしていない』などを読んでいるが、人々が、戦争の実相から見て考えるということが欠けている議論をしているように感じる。
・大国の国内での反戦運動、反戦の機運の高まりが大きく働く。
・かつてのベトナム戦争反対の声のようなものが現状、極めて弱い。
・アメリカが長期化を避けて、より強い攻撃に出て終わらせようという声もあるが、それは追い詰められたプーチンが核を使わないという前提だが、そこが不明で踏み切れない。・戦争は起こしてはいけない、というのが最大の教訓だ。
・戦争の終わらせ方が大切だ。武力の重視が結論ではいけない。
・9月号から分かることは、ウクライナ戦争は、冷戦後の世界をどう作るのかのつまづきだ。西側が、どういう世界を構築するのかという課題を持っているということだ。
・戦争は誰にも利益にならない、のではなく、それで儲ける人が必ずいて軍産共同体がそれだ。
・ロシア批判に回りにくいアフリカなどの対応は、頼るべきもののない、世界の流動化といえるのかも。
■ 第二テーマ・山本龍彦×小嶋麻友美「兵器化する「表現の自由」とアテンション・エコノミー」
・「兵器化する」という言葉に、納得した。
・SNS上の「言葉」が、極めて表層的なものに感じて、問題に感じる。
・プラットフォームの問題がクローズアップされているのは時宜を得ている。
・「今や国家よりもプラットフォームのほうが私たちの日常的な行動に影響を与えている」〔p.210〕ということが重要だ。
・NHK党などが議席を得て、社民党以上になってしまうようなことが生じている。
・表現の自由が、アメリカとヨーロッパで異なるものになっているが、今度どうなっていくだろうか。
・言論の自由を守るということは、権力を持たない弱者の言論の自由を守るという意味だ。
・匿名性も弱者を守るためのものだ。強者に匿名性を認めるということはおかしい。
・アテンションエコノミーが人間の関心をターゲットにするために、正義感や快楽を一方的に増幅させて燃え上がらせる傾向が絡んでいて問題を生んでいる。
・イーロン・マスクがツイッターを買収したので、表現の自由を守るのだと、トランプのアカウント削除が解除されるようで、注視する必要がある。アメリカの政治、国際政治の動きにも影響してくるだろう。
・Qアノンのプラットフォームを提供したのは、「ひろゆき」で、Qアノンをやっていたのは「ひろゆき」の会社の社員だということだ。
https://webronza.asahi.com/national/articles/2021030500011.html?page=2
■ 10月号のその他のお薦め
・須山「新自由主義の覇権の終焉」 菊池恵介
・針谷「袋小路のマイナンバーカード」 片山善博
・井内「歴史の一部としてのロシア=ウクライナ戦争」
末澤恵美
◎ ZOOMの『世界』を読む会、11月例会 の予定
●日 時 11月25日(金) 午後7時半~9時半
※ 月末の金曜が定例です。
○共通テーマ
・「壊れる世界 第3回 権力闘争としての国際政治」
藤原帰一
・「戦後民主主義という経験」 山本昭宏
○参加ご希望の方は連絡下さい。案内を差し上げます。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com


