富岡の『世界』を読む会・1月例会の報告
富岡『世界』を読む会・1月例会は、1月23日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターにて、6人の参加で開催された。久々のメンバー全員そろっての参加だった。
テーマは、Ⅰ.「特集2 そしてアメリカは去った」から、①岡真理『ナクバという《ジェノサイド》」と②鴨志田郷『正義はどこに』の2稿と、Ⅱ.「103万円の壁」関連の、③宮本太郎『「103万円の壁」引き上げは若者を救うか』と、④片山善博『「103万円の壁」から見える政治の病理』の2稿だった。
Ⅰ.特集2「そしてアメリカは去った」
いまガザで起こっていることは、イスラエルによる大量虐殺であるだけではなく、生の基盤の全般的・組織的破壊であると岡真理は指摘する。住宅・インフラの破壊、拉致・拷問・虐待、飢餓、メディコサイド(医療破壊)、エコサイド(環境破壊)、教育の破壊、文化の虐殺、ジャーナリストの殺害。そしてそれは、23年10月7日に始まったことではなく、1948年のナクバから絶えることなく続いてきたことだ、と歴史をふりかえる。今ガザで起こっていることの歴史的背景や意味を、分かりやすく説いた論考だと感想が述べられた。パレスティナの諸々の文化施設への正確なピンポイントの攻撃は、まさに文化的ジェノサイドだ。
米国大統領選におけるハリスの敗北の一因に、彼女のイスラエルよりの言動が民主党左派に失望感を与え、彼らがハリス陣営から離脱したことにあった、との指摘があった。
「シオニズムがパレスティナの荒れ放題の砂漠を、開墾・農耕によって肥沃な農地へと転換させ、現在の繁栄を築いた」と漠然と思っていたが、史実は、イスラエル人植民者が、豊かなオリーブの木を燃やし、松やユーカリを植樹して自然環境を一変させ、パレスティナ農民の多様な自給自足の農耕を破壊した、ということだ。イスラエルがパレスティナ農民を駆逐、従属化したのだ。
Ⅱ.「103万円の壁」について
「103万円の壁」引き上げは必ずしも若者支援にならないと宮本太郎は指摘し、国民民主党が「財源手当てを考えるのは与党の責任」としたことに、片山善博は「この能天気にはあきれるほかない」と嘆息した。読書会メンバーも、「103万円の壁」と政界・メディアともに大騒ぎする割に、どってことない問題提起だと、やはり呆れた。
◎ 2月例会の予定
1.日程・場所:2月20日(木)14.00-16.00時、
吉井町コミュニティセンター学習室(2F)
2.テーマ:
(1)特集1から
①林香里『「敗北」の意味』、
②成原慧『ソーシャルメディアが問い直す選挙の形』、
③伊藤昌亮『「オールドなもの」への敵意』、
(2)韓国戒厳令関連
①趙慶喜『韓国 女性たちの「消えない光」』、
②緒方義広『大統領の「内乱」』、
③金承福『本とチェック 戒厳令の夜』、
④編集部『ドキュメント激動の南北朝鮮』。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます