『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

zoomの『世界』・10月例会は5名でした。

2021-10-31 18:51:10 | 日記

 zoom『世界』を読む会・10月例会の報告

 
 10月29日(金)、7時より、zoomの『世界』・10月例会が開かれました。参加は5名でした。
 
 第一テーマ 斎藤幸平「気候崩壊と脱成長コミュニズム」
 須山の問題提起で、話し合って、次のような意見が交わされました。
・明日香壽川と斎藤幸平は、違いはほとんどないのではないか。
・斎藤は、選挙への関心が薄く、選挙を過小評価しているのでは。日本を変える道筋を示すという点では疑問だ。アメリカのプログレッシブでは活動が選挙とつながっている。
・政策提示としては、上村雅彦「グローバル・タックス、GBI、世界政府」のグローバル・タックスは具体的提案として有効なものに感じられるし、一部はすでに現実化している。
・経済成長というとき、お金で測った成長を言っているが、具体的生活財などで考えるべきではないか。
・ゼロ成長では投資が成り立たない、経済は収縮していくので、政党はゼロ成長とは言えない。
・脱成長は、お金にこき使われるのは嫌だということでは。
・脱成長と言えるのは、ある程度豊かさを手にした者の言えることで、食べられない状況の人々の存在する中で政党には言えないことだ。
・今のアベノミクスの成長は、株価ばかり上げるもので、実体経済の成長ができていない。成長の中身を考える必要がある。
・格差を生んでいる金融中心の経済のあり方が問題だ。
・株の(意図的な)大衆化によって、国民と大資本が共犯関係にさせられている。
・トリクルダウン理論は、株を持たない人には関係なく、大衆化された株式市場の中におけるトリクルダウンである。
・持ち家政策も、大衆を不動産所有者に囲い込む政策の結果で、相続税や不動産税に反対するようにさせられている。
・各政党は、ハウジング・ファーストで、住宅政策を第一に押し出すべきだ。
・家を持てないもっと下の層の人が問題だ。若い人は生まれた時からこの事情の中で、この姿しか見ていないので、反発力を見出せないでいる。
・ドイツなどと比べると、極端な政治教育の欠如が問題だ。
・アメリカの教育事情などはもっと厳しいが、歴史的に闘いの伝統がものを言っているのでは。
◎ 今回は、出された発言を並べました。実は、会議の内容を録画してあって、見直すことが出来たのです。zoomの会議の便利さです。
 
第二テーマ 李哲「それでもなぜ、希望を抱き続けられたのか」 
 郡山さんから、李哲の闘争の背景になっている、1960年~1990年の韓国の民主革命史を中心とした丁寧な報告の後に話し合いました。
 李哲が、獄中で共になった人たちが民主・統一のために闘っているのに、自分が「何もしていない」ことを恥ずかしいと思ったこと。
 当時の韓国内には、韓国在住者から在日韓国人への差別ということがあり、妻の閔さんがそれと闘ったこと。
 李哲は、在日韓国人として、自らの民族的なルーツを捉え直し、真の韓国人になろうとして高麗大学に留学していたこと。
 日韓、韓国と在日の架け橋となろうとしていること。
 などが解説されました。
 また、「TK生」について、当時『世界』に連載された「韓国からの通信」のこと、その筆者が池明観という東京女子大の教授で、2003年に「TK生は自分だ」と発表し、『TK生の時代といま』一葉社、2004年で、当時の事情を書いていることが紹介されました。
・TK生を巡って、興味をそそられる討議が行われ、CIAの存在は、ということから謎の究明が試みられました。
 その中で映画『KCIA 南山の部長たち』が紹介されました。
・この在日同胞留学生スパイ団事件はTK生の「韓国からの通信」でも触れられていない。これまで韓国内でもあまり知られていなかったが、今年の光復節でのドキュメンタリー番組で紹介された。その意義を、ハンギョレ新聞で評論家ファン・ジンミは、光復節でこれまで清算すべき過去に対する境界線として取り上げてきた日本統治の残虐、独立運動史、在日朝鮮人差別という日本対韓国という民族による境界線ではなく、日本であれ韓国であれ誤った国家権力対人権という新たな境界線を引くものであるという評価が紹介されました。
・最後に、韓国の民主運動における、民主と祖国統一の関係は、左翼に対する評価など複雑な事情を抱えているだろう、ことが話し合われました。
 
◎ 話に熱中して予定の時間を超えて、10時までの会になりました。
 
    
◎ ZOOMの『世界』を読む会、11月例会 の予定
  ●日 時 11月26日(金) 午後7時~9時半
   ※ 月末の金曜を定例とします。
  ○共通テーマ
   決定次第連絡します。
    
  ○参加ご希望の方は連絡下さい。案内を差し上げます。
  ● 連絡先 須山
           suyaman50@gmail.com
 
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小岩の『世界』を読む会・10月例会は、4名で。

2021-10-24 20:17:53 | 日記
小岩の『世界』10月例会の報告
 
 10月22日(木)、7時より、小岩の『世界』を読む会・10月例会がzoomで開催されました。
参加は、4名
 
 第一テーマ 豊下楢彦「日米安保70年の本質」
 前月号の古関論文と共通するテーマのように思いました。安保を巡って、再軍備、軽武装などの問題でなく、主権、植民地的扱いの問題としての視点で、当時の経過を外交文書から解明したもの。安保体制は天皇のための安保体制と言えるような天皇の政治参加の実態。安保を「主権」の問題として取り上げる、そのための「改訂」「廃棄」が課題だという話でした。ドイツ、イタリアに出来たことを、放置している現政権の姿勢はいかなるものか。
 
 第二テーマ 斎藤幸平「気候崩壊と脱成長コミュニズム」
 コミュニズムという言葉を現代に復活させたことの意義を評価する発言。資本主義って何だという当たりから、結構根本課題にグリグリ食い込む討論が行われました。とても整理できるものではありませんが。気候危機の緊急性に対して、日本の意識の遅れは重大だと思いました。この選挙でも、問題の切迫性にほど遠い対応ではないか。
 
 第三テーマは、上野千鶴子、高橋純子、本間龍のお三方のオリンピック関連の文章
今大会は、商業主義や勝利至上主義、政治利用など問題が露わになったオリンピックでしたが、団体競技が増える中でナショナリズムは中でも手強い問題だということで、ナショナリズムの議論を。自国を応援するのは自然なことだが、排外的なものでなければ、という視点も。財政面でもその他の面でもきちんとした総括をすることを見守らなければいけないな、と。
 
 11時までの熱い論議でした。
 次回も、コロナが不安定要因としてあるので、zoom開催とします。
 
 10月号のお薦めは
  ■ 片山、大塩 ・「フランスの気候変動対策法」  永田公彦
  ■ 大塩 ・「関西生コン弾圧と産業労働運動、そしてジャーナリスト・ユニオン」
                            花田達朗
      ・「寄宿学校の遺体と植民地国家の罪」  小笠原みどり
  ■ 須山・「農と食をめぐる感染症の世界的流行500日」
                          谷口吉光
      ・「グリーンでスマートな農業?」    関根佳恵
                    でした。
 
 ◎ 小岩の『世界』を読む会、11月例会 の予定
  ●日 時 11月18日(木) 午後7時
  ●zoomによるオンライン開催
   ※ 参加希望者は連絡下さい。
  ●持ち物 雑誌『世界』11月号
  ○共通テーマ
   ・「対テロ戦争の時代を超えて」        栗田禎子
   ・「対テロ戦争とは何だったのか」       谷山博史
   ・「9・11から二〇年」           中村 佑
   ・「タリバン復権とアフガニスタンのゆくえ」  山本忠通
   ・「平等と公平はどう違うのか」        新村 聡
   ・「関西生コン弾圧と産業労働運動、そしてジャーナリスト・ユニオン」
                          花田達朗
 
 ● 連絡先 須山
            suyaman50@gmail.com
 
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練馬の『世界』を読む会・10月例会は、7名で。

2021-10-24 19:14:49 | 日記
 練馬の『世界』を読む会・10月例会の報告
 
 10月22日(木)、午後1時より、練馬の『世界』を読む会・10月例会が、団地の中の光が丘パークタウン「大通り南団地管理事務所つどい館」貸し切りで行われました。参加は、7名
 
 例によって、巻さんの手作りレアチーズケーキとコーヒー。青木さんからチョコ。レアチーズケーキは本格的で、皆さんベタ褒めで、次回からも期待できそうです。
 
 今回のテーマは
    ・豊下楢彦「日米安保70年の本質」
    ・斎藤幸平「気候崩壊と脱成長コミュニズム」
    ・本間龍「可視化された日本の宿痾」
の三本でした。
 いずれも活発な討論が続いたのですが、とても整理できないので割愛させていただきます。
 安保、気候危機、オリンピックの三課題ですが、日本の民主主義の遅れということが共通に語られたように思いました。
 日本は構造的に変わっていないな、「日本人のメンタリティー」「官僚の対応」などが。
 西さんからの「対英戦争強行とオリンピック強行」を整理したレポートは、私の理解を深めてくれるもので、納得でした。
 戦前の国民は、臣民=公民=皇民であって、市民は少数であった。
 現代は、市民(主権主体・人権主体)と公民(統治主体・統治客体)が拮抗している?
 この選挙でも、一番の問題は、政権お任せという状況の克服では、と思ったりしています。
 
 次回は、光が丘図書館です。
 
  10月号のお薦めは
  ・宮崎 「関西生コン弾圧と産業労働運動、そしてジャーナリスト・ユニオン」 
                        花田達朗
          でした。
 
  ◎ 練馬の『世界』を読む会、11月例会 の予定
   ●日 時 11月18日(木) 午後1時~4時
   ●場 所 光が丘図書館
   ●持ち物 雑誌『世界』11月号
   ○共通テーマ
   ・「コロナ戦記 最終回」        山岡淳一郎
   ・「対テロ戦争の時代を超えて」      栗田禎子
   ・「反平等という想念」          酒井隆史
   ・「関西生コン弾圧と産業労働運動、そしてジャーナリスト・ユニオン」
                        花田達朗
   ● 連絡先 須山
           suyaman50@gmail.com
 
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富岡の『世界』を読む会・10月例会は、5名で。

2021-10-22 15:37:42 | 日記
 富岡『世界』を読む会・10月例会の報告
(郡山さんから)
 
 富岡の10月例会は、10/20吉井町西部コミュニティ―センターにて、5人の参加のもと次のテーマで開催しました。
 
 特集1.脱成長
1.斎藤幸平氏の「脱成長コミュニズム」実現の道筋として、山本論文は「下から=ローカル」からの、そして上村論文は「上から=グローバル」からの構想を展開します。読書会は2本セットで議論をしました。
 
2.山本論文の「余剰エネルギー」をキーワードにした現代文明批判「近い将来、社会が利用できる余剰エネルギーが恒常的に減少し始めるという現代文明はじまって以来の未体験ゾーンが顕在化してくる可能性は高い」との指摘は、「原油埋蔵量の枯渇」以前の「余剰エネルギー」の減少による文明崩壊を警告するものです。多くの気候変動問題の論者が、エネルギー消費の結果としての温室効果ガス排出と地球温暖化を論じていることからすると、エネルギー供給からアプローチした古典的な問題提起ですが、逆に新鮮に感じられました。しかし、エネルギーの定義が広汎すぎて曖昧だとの感想も出されました。
 
3.「電話モデル」=中央集権的・集中型と「インターネット・モデル」=自律・分散・協調型のアナロジーから、国家システムの東京一極集中型と地方分散・自立協調型を描こうとしているのは、説得的。そして「ニュー・ローカル」。今後、「松本市基本構想2030」を素材に、山本氏には、具体的・実践的な「ニュー・ローカル」論を展開してほしい。
 
4.上村論文の「世界政府」の評判が悪い。「2045年までに世界政府を設立」と言われると、一同に「眉唾」と反応しました。編集者のいう「政治的想像力を磨くため」と思っても、過去の世界政府設立の議論や運動が、ことごとく失敗し雲散霧消してきたことから、「世界政府」という言葉自体に、うさん臭さを感じるようです。
 
5.グローバル・タックス国際連帯税については、EU先行による航空券連帯税や地球炭素税の実現、法人税率15%の国際課税ルールの合意達成など一定の前進があり、「世界政府」とは違って現実感が極めて強い。上村論文の言う「グローバル・タックスを財源とする国際機関は拠出金を財源としないので、純粋に地球公共益を追求できる。さらにそれは自主財源を持つことを意味するので、政治的にも、財政的にも国家からの自立性が高まる」との指摘は、説得力があり希望を持つことができます。「国連+国際連帯税」での未来構想こそが、胸躍らされわくわく感のある方向性ではないか、と思います。
 
 
東大作『アフガン政権崩壊―失敗の教訓と平和つくりへの課題』
1.アフガニスタンにおける英・ソ・米の歴史的敗北と、米国のベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争とつづく敗北の歴史。「民主主義を守る」とか「社会主義を守る」といった旗を掲げても、侵略戦争は失敗する、という歴史的教訓。
 
2.「タリバン=野蛮なテロリスト」というメディアが流し続けてきたイメージにとらわれ、米国=アフガン政府の統治能力の低さと、タリバンのアフガン伝統に根差した統治能力の高さの側面を、私たちは見失っていた。国連要員の立場からの筆者の証言は、タリバン理解にとって貴重。
 
3.緒方貞子氏「02アフガン復興会議」日本主導「12アフガン復興会議」中村哲「ペシャワール活動」などのの貴重な遺産を継承し、「現地の「人間の安全保障」に配慮しながら、その国の人々自らのオーナーシップによる統治の改善と、持続的な平和づくりを息長く支援していくこと」は、 平和憲法をもつ日本ならではの貢献として自信をもってすすめるべきです。
 
4.しかし、日本がインド洋上にて米軍への原油の補給活動という兵站を担い、間違いなくアフガン戦争へ加担していたことを記憶にとどめるべきだと指摘されました。日本社会における平和主義と軍国主義のせめぎあい、あるいは二面性。
 
 今回の共通テーマは、
  ○(1).脱成長
    ①山本達也「ニュー・ローカルの設計思想と変化の胎動」
    ②上村雄彦「グローバル・タックス、GBI、世界政府」
  ○(2)東大作『アフガン政権崩壊―失敗の教訓と平和作りへの課題』
             でした。
 
 
◎ 富岡の雑誌『世界』を読む会、11月例会 の予定
 ●日 時 11月17日(水)
 ●場 所 高崎市吉井町西部コミュニティセンター
        吉井町長根174-6
 ●時 間 午前9時半
 ●持ち物 雑誌『世界』11月号   
 ○共通テーマ
 (1)特集1反平等
  メイン 酒井隆史 『反平等という想念』
  サ ブ 新村 聡 『平等と公平はどう違うのか』
      大沢真理 『生き延びるためにジェンダー平等』
 (2)国谷裕子 『人が人らしく生きていける社会を』
 
       です。
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東久留米の『世界』昼の部・10月例会は、2名で。

2021-10-20 19:30:14 | 日記
 東久留米の『世界』昼の部、10月例会の報告
 
 10月20日(水、4時~、東久留米の『世界』を読む会・昼の部、10月例会がスペース105で行なわれました。参加は、2名。急に冷え込んで風邪を引いたり、体調不良になられたり、欠席連絡が次々と。
 二人で、じっくり話し合いました。
 
 豊下楢彦「日米安保70年の本質」
 安保締結の一九五一年には、新聞報道で朝鮮戦争の一進一退が報じられる中でのことだったなあという歴史を振り返る発言。吉田首相の対米交渉についての評価。この文章にある吉田首相の「全権固辞」問題とか、総理の内奏問題とかは、全く知らないことだった。天皇の政治関与が露骨なことに驚く。日本の植民地的な基地貸与の歴史は勉強だった。
 現状では中国の軍拡という事態の中で、筆者の言うように「脅威があるから軍拡だ」ではなく、「軍拡こそ脅威」という認識に立った平和構築への努力を日本はどうしたら果たせるだろうかと議論しました。
 理想に向かって、でも現実的な対応を十分考慮しながら、事態を良い方向に向けていく力が必要だなと。
 
 齋藤幸平「気候崩壊と脱成長コミュニズム」
 気候危機は一刻の猶予もない切迫した事態だということが、国際的には認識が進んでいるが、日本の現状は、この総選挙でもその切迫感は感じられない。齋藤はインパクトの強い表現をしているが、それは切迫した事態から来るものだが、それを実際の政策や対策に結実させるにはどんなことが必要なのだろうか。明日香壽川との対比なども論じました。 ここでも、理想に向かって、現実的な対応の具体化を進めるという態度の重要さを話し合いました。
    
 本間龍「可視化された日本の宿痾」
 五輪に対する賛成、反対の二人だったので、五輪賛成側としてはインパール作戦というような喩えは疑問だということ。一方反対の側は、やりかけたからやめられない、ということは日本の欠点だと。いずれにせよ、オリンピックは大きな曲がり角に来ているな、と話し合いました。
 
 だんだん寒くなってきて、年齢が行っているメンバーには体調管理が難しい季節ですが、次回は大勢集まりましょう。
 
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会(昼の部)11月例会のお知らせ
  ●日 時 11月17日(水) 午後4時
  ●場 所 生涯学習センター集会学習室3
  ●持ち物 雑誌『世界』11月号
  ○共通テーマ
  ・「対テロ戦争の時代を超えて」       栗田禎子
  ・「対テロ戦争とは何だったのか」      谷山博史
  ・「日本経済・再生への道筋(中)」      寺島実郎
  ※ 第3水曜が定例です。ご承知ください。
  ● 連絡先 須山
            suyaman50@gmail.com
 
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