東久留米の『世界』6月例会の報告
東久留米の『世界』を読む会・zoomの6月例会は、8日(水)に、2名で行なわれました。
極少人数で心ゆくまで語り合いました。
■ 第一テーマ・川崎 哲「核兵器禁止条約という現実的選択」
・川崎さんは厳しい現状の中でも、少しでも理想に近づこうと努力していて嬉しい気持で読んだ。
・〔p.119〕「世論調査では、七割以上が日本は核兵器禁止条約に加わるべきだとし、オブザーバー参加については八五パーセントが賛同している」とあるように、民意が示されているのに、日本は核兵器禁止条約に加わらないのか、もどかしく思う。
・この点を選挙の争点に持って行くことはできないかな、と思った。
・安倍氏が「核共有」を言い始めたとき、みんなはもっと「反対」の声を挙げるべきだったのでは。
・〔p.122〕「「核には核を」の先には、際限のない核軍拡競争しかない。」というような状況へと人々の生活を犠牲にして社会資源を投入するようなことをやめさせるための努力をしなければいけないと思った。
・〔p.115〕停戦後のウクライナを考えたら、核を置かないという処置しか考えられない。世界に「核を置かない」「核を置けない」という答えが出ている。
・NPTは今回大きく傷つき、核兵器禁止条約の必要性、有効性が高まった。
・六月の核兵器禁止条約締約国会議、その前日の非人道性会議(従来から日本も参加)の動向に注目したい。
・「武」を「文」で押さえ込むことが、まだ出来ていないが、それが人類の課題だ。
・〔p.122〕殺人罪があっても殺人はなくならないから、殺人罪は要らないとはならないように、戦争を防げないから国際法は要らないとは言えない、という喩えは面白い。
■ 第二テーマ・佐々木隆治「「新しい資本主義」とはなにか」
・〔p.145〕「レント」の徴収体制に対抗して、民主的な社会を作っていくには、どうしたらよいのだろう。市民の連帯を図っていくのがいいのかも。SNSもうまく使えばその手段になり得るのかも。
・〔p.149〕「反資本主義的想像力を喪失」とあるが、支配者に操られないで、想像力を失わないでいたいな、と思った。
・〔p.150〕「金融部面は社会的富を生産しない」とあるが、ダイベストメントなど投資による企業のコントロールなどは、社会によい影響を及ぼすことだ。
・〔p.154〕「巨大資本のデータ独占に抗う人々の闘い」に、自分も加わりたく思った。実際はやられっぱなしだが。
・資本論体系の中心は「物象化」だとして、「物象化」が、レント資本主義の解明に役立つとしているが内容を理解するのが難しい。
・現状把握として「帝国的生活様式」という説明は、なかなか意味深く大切なものだ。
・ビッグデータを市民の手に取り戻せば、市場に支配される資本主義から脱出する道を開くかも知れない(市場任せにしないで社会的分業を合理的にコントロールできる)ということも言っているのは、どうなんだろう。
・もっと分かりやすく説明できないようでは、資本主義は乗り越えられないかな。
・こんな世界を考える根本問題を『世界』が載せることは、面白いし、嬉しく思う。
・データを私たちの道具にしてしまうためには、どうすればいいのか、考えたい。
・根本的な変革を、「暴力革命」とかではく、システムのバージョンアップ的に感じ取ることが出来る気がした。
■ 第三テーマ・杉田敦×齋藤純一「リベラル政党の「可能性」と「不可能性」」
・リベラルという概念がややこしく摑みにくいと思った。「保守」対「リベラル」というのが分かりやすいかな。
・自由民主党、英語ではリベラル、デモクラティック、となるが、名は体を表していない例もあるんだな。と笑った。
・岩波の「広辞苑」では、「リベラル」は、「個人の自由、個性を重んじる様、自由主義的」とシンプルな説明だった。
・そこからどうすればいいのか、ということはあまり言っていないので、行動につながらない。
・〔p.188〕の女性コメンテーターの「若者論」は傾聴に値すると思った。追い詰められて「より安全」を求めての消極的選択としての自民党選びだということ。
・残念だが、若者は想像力を奪われて批判精神を欠いているように感じる。
・〔p.188〕「安定したそれなりの規模のリベラル系の野党が出てくれば」とあるが、市民連合が共闘を呼びかけて結集するような野党の勢力が、リベラル系として育つものではないか。
・〔p.188〕「まともな野党があれば、それでいい」。〔p.189〕「無理をせずに、きちんとした監視・批判政党と自己規定しながら、徐々に支持を拡大して行くほうがいい」ということだろう。その勢力が安定感を持って見えるような力強さが見えると、若い人が付いてくるようになるかも知れない。
・読売、産経などは、野党は「国会での追及が決め手を欠いている」とか、これに任せるのは心細いという情報を伝えている。
・若い人は新聞はあまり読まないようだが、どのようなチャンネルで政党の情報を得ているのか気になる。
◎ 最後に、素晴らしい提案がありました。
清瀬の社会事業大学は、社会に貢献しようという気持を持っている学生がいるだろうから、ああいうところへ「世界」を読む会を広げることに取り組んだら、という素晴らしい提案がありました。「今、『世界』を読まないでどうする?」というポスターを貼ろう。
◆6月号のその他のお勧めは
○ 須山 「「批判する」とはどういうことか」 小河原 誠
「岩波俳句 恥じ入る」 池田澄子
でした。
◎ 東久留米の『世界』を読む会、7月例会のお知らせ
●日 時 7月13日(水) 午後7時
●zoomでのオンライン開催
参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
●持ち物 雑誌『世界』7月号
○共通テーマ
・「香港からの通信 第1回」 林寒盡
・「抑止とその限界」 藤原帰一
・「多国間主義の危機」 松井芳郎
※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com
日本社会事業大学付属日本社会事業学校研究科を40年前に卒業した古谷高子より
当時、日本社会事業大学は、元陸軍病院、戦後GHQの部門が置かれた原宿にありました。払下げで、清瀬に移転しました。