『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

小岩の『世界』12月例解は、2名で!

2020-12-23 14:00:00 | 日記
 小岩の『世界』、12月例会の報告(櫻井さんから)です。
 
 12月17日に開催した、12月例会について報告します。
 参加者は片山、櫻井の2人でした。
 
1.山崎 憲『ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在』
 現役ビジネスマンの片山君と元ビジネスマン櫻井の対話で盛り上がり、明日は片山君が早くから出勤にもかかわらず、夜遅くまでこのテーマで大半の時間を費やした。
 ネットワークビジネスモデルという言葉とかメンバーシップ型雇用という自体あまり耳慣れないのでそこから読み解き年代の違う者同士での認識レベルを確認した。
 ネットワークビジネスモデルの原型が日本の場合元請けと下請けの関係とあるように親企業を中核とした子会社、協力会社または下請け企業という問題視されていた日本経済の二重構造の企業群が1980年代(Japan as No. 1の時代)に欧米を席巻したという。日本の場合終身雇用やジェネラリスト的な職務区分(この論稿ではメンバーシップ型雇用)が中核的雇用形態なのに対して、周辺部に行くにしたがってより職務範囲が狭められた職務区分(この論稿ではジョブ型雇用)なっていることは昔も今も変わっていない。しかしネットワーク型ビジネスモデルでは後発の欧米では専門的な労働者が所属する部門が競争するほどいうかたちでネットワークをつくってキャッチアップしたという。だから日本では一向に実現しない同一労働同一賃金が欧米では実現しているということを確認。そして働く人の間でも強い人と弱い人の立場の差が以前よりも固定化されている。
 ではこのネットワーク型ビジネスモデルによる企業競争とそこで働く労働者の働き方の問題では、国連のSDGs(持続可能な開発目標)を参照する。
 SDGsの他にもESG(環境・社会・ガバナンス)があると片山君が指摘。投資家サイドから財務諸表に現れない面を評価する考え方・指標とのこと。
 SDGsは全部で17項目の開発目標があって多岐にわたり総花的だが、中心的な考え方はなんだろうかとの櫻井の問いに対して、片山君は「環境・人権・平和」だとの即答にスッキリと腑に落ちた。
 では競争力の源泉をどのように変えて、今の資源を枯渇させ、環境破壊、気候変動そして貧富の格差拡大を産み続ける止むことのない経済成長と競争に歯止めをかけるか?
 お金の成長と競争を人間の成長と競争に変えようと若者らしい片山君の意見。
 経済のパイを考えれば限界は明らかでローマクラブの「成長の限界」にまで遡る。
 今日こそ声高く非難される新自由主義も富の形態をお金に据えた逆立ちした人工的価値観が問題で、アダムスミスやマルクスの基本的考えである労働価値説に立ち返れと櫻井が言えば、片山君もお金買えないものも投資の基準に置く必要があると語る。
 半就労・半年金生活者の櫻井は働き方改革だけにとどまらず、ライフスタイルも変えようと個人的には努めていると語る。使い捨ての消費主義から壊れたら直して使う、また要らなくなったものを転用や再利用する修繕生活が生活技術の向上と助け合いにつながって行けば循環と連帯の経済にもなる。
 今日の資本主義を考えると、資本でも金融資本が産業資本を大きく上回る時代になっている。そしてレバレッジを効かしたお金が世界中を覆っている。世界の借金の総額は2京7000兆円という天文学的金額で政府、家計、金融機関を除く企業の債務でも1京5000兆円を上回る。わたしたちはいつの間にかこの途方もない借金を返済するためにあくせく働くようになってしまい、お金にこき使われているのが普通の人達の生きる姿ではないのか?
 まさにミヒャエル・エンデが小説「モモ」の時間泥棒の話しが思い起こされるねと意見の一致を見た。
 そしてこの膨張・肥大するマネーを抑制するには、富裕税と金融取引き税が必要とのことでも意見の一致を見た。
 
2保坂正康✖️上野千鶴子『ファッショの構図を読み解く』
 学術会議問題で菅首相の地金が出て怖いけど、コロナでレイムダック状態にっている。
 次の首相は河野太郎?何だか人物像が小さく見えるけど石破茂はどうかなという問いに、あの人は最近いい人ぶっているけれど地金は同じではないか。
 
3.今田由紀子『異常気象が異常でなくなった世界』
 なぜ50年に一度の大雨がなぜしょっちゅうこるかというデータの取り方は勉強になった。
 他の論稿も含めて以前にも取り上げられたアフリカのサバクトビバッタの大繁殖による農作物の被害による食糧危機の恐ろしさとそれに対して昆虫食が今後来食糧難に備えて実用化されていることも話題になった。陸だけでなく海での温暖化で食卓が変わるかもしれないことを確認。
 以上最初のテーマであらかた時間を取られて残りの2題は駆け足でしたが、2名とはいえ有意義な話し合いだったと思いました。小岩の灯はこの日も夜遅くまで灯りました。
 
 今回の共通テーマは、
 ○「ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在」  山崎 憲
 ○「ファッショの構図を読み解く」     保阪正康×上野千鶴子
 ○「異常気象が異常でなくなった世界」       今田由紀子
       でした。
 
◎ 小岩の『世界』を読む会、1月例会 の予定
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ●日 時 1月21日(木) 午後7時
 ●場 所 南小岩8丁目21の8
        小岩駅から徒歩約3分
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 今回は2名だけの参加でしたのでここで決めず、共通テーマは各自3、4題選んでもらい投票の多いもの順に3題選ぶようにしようと決めました。
 ● 連絡先 須山
              suyaman51@mail.goo.ne.jp
 
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練馬の『世界』12月例会は、4名で。

2020-12-18 14:21:57 | 日記
 練馬の『世界』
 多忙のために二人欠席。体調が悪くて一人欠席で、男2人、女2人、計4人の参加でした。
 今日は広い洋室で、長い机を正方形に並べて、一人ずつ贅沢に座っての開催になりました。
 いつものように、巻さんの寒天とブルーベリージャムとコーヒーを頂きながら、ゆっくりと始まりました。
 じっくりと自分の発言を前もって用意して話さなくても、その場で思ったことをそのまま口にして話し合う。4人程度だとこうした話し合いが可能です。
 Nさんが丁寧な説明を加えながら、巧みに進行役を務めてくれます。心地よいゆったりとした、それでいて勉強になる時間を過ごすことができました。
 Nさんに感謝。
 
 今月のテーマは
・「コロナ災害のもとのSOS」         雨宮処凜
・「任命拒否問題 わたしはこう考える」
          杉田敦/大沢真理/前川喜平/古川隆久
・「進む「海の温暖化」」             山本智之
            でした。
 12月号のお勧めは、
 ● 西  ・「権謀の人(上)」        斎藤貴男
      ・「ファッショの構図を読み解く」
                  保阪正康×上野千鶴子
 ● 巻   ・「ネグロスからの手紙」
                クラリッサ・シングソン
      ・「日本の入管政策は国際法違反」
             駒井知会、申惠丰、安田菜津紀
        でした。
 
◎ 練馬の『世界』を読む会、1月例会 の予定
 ●日 時 1月21日(木) 午後1時
 ●場 所 光が丘区民センター5F会議室
(地下鉄大江戸線「光が丘駅」下車 改札を出て、案内表示に従ってエレベーターに乗って5階)
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 ・「瀬戸際の地方自治」          岡田知弘
 ・「ペンと権力」              吉岡 忍
 ・「バイデンは安全な選択ではない」 ナオミ・クライン
 ● 連絡先 須山
        suyaman51@mail.goo.ne.jp
 
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富岡の『世界』12月例会は、4名でした。

2020-12-18 13:56:30 | 日記
 郡山さんから、富岡の12月例解の報告です。
 参加者は、4名でした。
 
1.特集2学術会議任命拒否問題
ことの本質はパージであり、異端狩りの始まりだ(保阪正康)。菅政権の狙いは、「学術会議つぶし」(上野千鶴子、前川喜平)である。なぜ学術会議をつぶしたいのか?
学術会議のこれまでの活動、とりわけ軍事研究や核のゴミ問題についての政権への批判的提言が背景にある(上野、杉田敦、大沢真理)。
科学技術・イノベーション基本法(2020/6改正)との関連も注目される。これまで除外されていた人文科学系を対象とすることで、人文科学系が「「役に立たない」から廃止というより、是非ともお上の役に立つよう総動員される領域」となる、と見立てている(大沢、神保太郎)。今後、「学問の自由」や「大学の自治」への、人事・予算等を通した干渉・支配が懸念される(杉田、前川、古川隆久)。
以上のような論点を整理しながら、参加者から「会員たちは一様に不気味な感覚を持った」「穏健な人々をもランダムの拘束することによって、人々を疑心暗鬼にさせる」(平田オリザ)という指摘への暗い共感が、出されました。
片山善博の「(首相は)こんな展開になるとは予想しなかった・・・お粗末な経過」という見解に対して、「すこし甘いのではないか」との批判がありましたが、一方で「菅内閣の深刻な欠陥面」である、という感想もありました。
しかし、メディアの報道は必ずしも十分ではなく、政府の「学術会議改革」プロパガンダが一定の世論の支持を得ていることに、一様に危機感を持ちました。
また、松浦さんは、図書館におけるコロナ感染対策として入館者名簿(氏名・住所)作成が問題となっているが、これについてメディアが全く報道していない、と指摘しました。
身近に迫る「暗い罠」のようなもの、マルティン・ニーメラーの「そして彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる人は一人もいなかった」という言葉を、あらためて噛みしめました。
2.坂上香『プリズム・サークル』
TC(回復共同体)は、コミュニティーの力を借りてエモーショナル・リテラシーを発達させ、個人の回復を手助けする。
エモーショナル・リテラシーとは、感情の読み書き能力のことで、自分の心の動きや感情を感じ取り、それを認識し、表現する力。TCは、この力を共同体の中でともに鍛えていくことで、自らの最も深い傷に直面することを求めている。
こうした手法を講じて、刑務所の被収容者たちが、自らの被害経験を言語化し、その上に加害経験と被害者に向き合っていく様子が、丁寧かつ執拗に描かれている。
しかし、日本の現在の刑務所は「沈黙の矯正文化」といわれるように、外部との「面会」「交流」は限定され被収容者間の世間話も禁止、リテラシーそのものが禁止されている。そうしたなかでのTCの試行錯誤に、驚きと期待を持った。
「刑務所化する社会」(フーコー)を地で行くような、日本の学校教育の中で行われている「黙食」「黙働掃除」の指摘には、全員、深くうなずきました。コロナ禍の学校が、「静かに」の呼びかけが「黙れ」(命令)になっていることを、懸念します。
3.海の変調・海水温の気温上昇
森さやか『いま、この惑星で起きていること』:記事の最後に、やや肯定的に紹介されている「気候工学」(宇宙に遮蔽板を浮かべて太陽光を遮る構想)について、ナオミ・クラインの厳しい批判が紹介されました。「地球工学そのものは詐欺的な提案である」「地球の基本的な生命維持システムをいじくりはじめるより前に、自分たちの行動を変えて、化石燃料の使用を減らすほうがよくないだろうか?」(『地球が燃えている』)。森さやかが無批判的・肯定的に紹介した地球工学(気候工学)について、ナオミ・クラインはきっぱりと、「詐欺的である」と切って捨てている。日・加間の気候変動についての認識の差の反映といえるかもしれません。
少数参加での例会でしたが、だいたい以上のようなことが話題になりました。
 
◎ 富岡の雑誌『世界』を読む会、1月例会 の予定
 ●日 時 1月13日(水)
 ●場 所 吉井町西部コミュニティセンター
       吉井町長根174-6
 ●時 間 午前9時半
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 Ⅰ 特集2 ポスト・トランプの課題
 ・「ドナルド・トランプの危険な嘘」        村松太郎
 ・「犬笛政治の果てに」              兼子 歩
 ・「バイデンは安全な選択ではない」    ナオミ・クライン
 Ⅱ 小特集 ツーリズム激変
 ・「新たなツーリズムの構築へ」          富川盛武
 ・「観光のパラドクスと地域コミュニティ」     堀川三郎
 ・「観光の根源とは何か」             山本理顕
      です。
 
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東久留米の12月例会は、7名でした。

2020-12-10 12:15:27 | 日記
 東久留米の『世界』が9日行なわれました。
 温暖化とはいえ冬で、体調を悪くされる方も多く、7名の会でした。
 
 特集1の「コロナ災害下の貧と困」で、大半の時間を使うことになりました。
 コロナ対策と経済対策との関係がどうあるべきか。コロナ禍が最貧層や弱者を直撃するものになっていることを教えてくれる論考であり、話し合いでした。のんびりしていては見えない状況ですが。コロナ対策で経済を止めることが、最弱者を追い詰めている現状にどう対処すべきか、熱く討論されました。
 その話題の中で、11月号で登場している斎藤幸平の名前が出てきて、「成長」、「脱成長」に関してもそれぞれの意見が主張され、世界のあり方を問う議論の場に斎藤幸平が一石を投じていることは確かなようです。
 もう一つのテーマの、入管政策の課題は、あまり時間を取れませんでしたが、「難民問題」と「外国人労働者問題」という、似た所があるが別々の問題があるのだということで、どちらにも日本の対応は大きな課題を抱えているのだなということでした。『世界』は継続的に「入管」問題を取り上げていますが、世間的には見逃されがちなことが問題なだ、と。
 
 今回の共通テーマは、
 ○ 「コロナ災害のもとのSOS」        雨宮処凜
 ○ 「脆弱化した日本経済」          山家悠紀夫
 ○ 「極貧がつくられる社会と雇用」       後藤道夫
 ○ 「キャッシュレス社会のワナ」        笠井哲也
 ○ 「女性を直撃するコロナ災害」       竹信三恵子
      でした。
 その他のお薦めは、以下のモノでした。
 ● 須山 「但馬日記 第20回」       平田オリザ
      でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会、1月例会のお知らせ
 ●日 時 1月13日(水) 午後6時
 ●場 所 市民プラザ会議室(市役所1階)
 ●持ち物 雑誌『世界』1月号
 ○共通テーマ
 ・「瀬戸際の地方自治」            岡田知弘
 ・「深き分断 アメリカのこれから」   久保文明×古矢 旬
 ・「バイデンは安全な選択ではない」  ナオミ・クライン  
 ・「権謀の人(下)」             斎藤貴男
 ※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
 ● 連絡先 須山
            suyaman51@mail.goo.ne.jp
 
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