小岩の『世界』、12月例会の報告(櫻井さんから)です。
12月17日に開催した、12月例会について報告します。
参加者は片山、櫻井の2人でした。
1.山崎 憲『ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在』
現役ビジネスマンの片山君と元ビジネスマン櫻井の対話で盛り上がり、明日は片山君が早くから出勤にもかかわらず、夜遅くまでこのテーマで大半の時間を費やした。
ネットワークビジネスモデルという言葉とかメンバーシップ型雇用という自体あまり耳慣れないのでそこから読み解き年代の違う者同士での認識レベルを確認した。
ネットワークビジネスモデルの原型が日本の場合元請けと下請けの関係とあるように親企業を中核とした子会社、協力会社または下請け企業という問題視されていた日本経済の二重構造の企業群が1980年代(Japan as No. 1の時代)に欧米を席巻したという。日本の場合終身雇用やジェネラリスト的な職務区分(この論稿ではメンバーシップ型雇用)が中核的雇用形態なのに対して、周辺部に行くにしたがってより職務範囲が狭められた職務区分(この論稿ではジョブ型雇用)なっていることは昔も今も変わっていない。しかしネットワーク型ビジネスモデルでは後発の欧米では専門的な労働者が所属する部門が競争するほどいうかたちでネットワークをつくってキャッチアップしたという。だから日本では一向に実現しない同一労働同一賃金が欧米では実現しているということを確認。そして働く人の間でも強い人と弱い人の立場の差が以前よりも固定化されている。
ではこのネットワーク型ビジネスモデルによる企業競争とそこで働く労働者の働き方の問題では、国連のSDGs(持続可能な開発目標)を参照する。
SDGsの他にもESG(環境・社会・ガバナンス)があると片山君が指摘。投資家サイドから財務諸表に現れない面を評価する考え方・指標とのこと。
SDGsは全部で17項目の開発目標があって多岐にわたり総花的だが、中心的な考え方はなんだろうかとの櫻井の問いに対して、片山君は「環境・人権・平和」だとの即答にスッキリと腑に落ちた。
では競争力の源泉をどのように変えて、今の資源を枯渇させ、環境破壊、気候変動そして貧富の格差拡大を産み続ける止むことのない経済成長と競争に歯止めをかけるか?
お金の成長と競争を人間の成長と競争に変えようと若者らしい片山君の意見。
経済のパイを考えれば限界は明らかでローマクラブの「成長の限界」にまで遡る。
今日こそ声高く非難される新自由主義も富の形態をお金に据えた逆立ちした人工的価値観が問題で、アダムスミスやマルクスの基本的考えである労働価値説に立ち返れと櫻井が言えば、片山君もお金買えないものも投資の基準に置く必要があると語る。
半就労・半年金生活者の櫻井は働き方改革だけにとどまらず、ライフスタイルも変えようと個人的には努めていると語る。使い捨ての消費主義から壊れたら直して使う、また要らなくなったものを転用や再利用する修繕生活が生活技術の向上と助け合いにつながって行けば循環と連帯の経済にもなる。
今日の資本主義を考えると、資本でも金融資本が産業資本を大きく上回る時代になっている。そしてレバレッジを効かしたお金が世界中を覆っている。世界の借金の総額は2京7000兆円という天文学的金額で政府、家計、金融機関を除く企業の債務でも1京5000兆円を上回る。わたしたちはいつの間にかこの途方もない借金を返済するためにあくせく働くようになってしまい、お金にこき使われているのが普通の人達の生きる姿ではないのか?
まさにミヒャエル・エンデが小説「モモ」の時間泥棒の話しが思い起こされるねと意見の一致を見た。
そしてこの膨張・肥大するマネーを抑制するには、富裕税と金融取引き税が必要とのことでも意見の一致を見た。
2保坂正康✖️上野千鶴子『ファッショの構図を読み解く』
学術会議問題で菅首相の地金が出て怖いけど、コロナでレイムダック状態にっている。
次の首相は河野太郎?何だか人物像が小さく見えるけど石破茂はどうかなという問いに、あの人は最近いい人ぶっているけれど地金は同じではないか。
3.今田由紀子『異常気象が異常でなくなった世界』
なぜ50年に一度の大雨がなぜしょっちゅうこるかというデータの取り方は勉強になった。
他の論稿も含めて以前にも取り上げられたアフリカのサバクトビバッタの大繁殖による農作物の被害による食糧危機の恐ろしさとそれに対して昆虫食が今後来食糧難に備えて実用化されていることも話題になった。陸だけでなく海での温暖化で食卓が変わるかもしれないことを確認。
以上最初のテーマであらかた時間を取られて残りの2題は駆け足でしたが、2名とはいえ有意義な話し合いだったと思いました。小岩の灯はこの日も夜遅くまで灯りました。
今回の共通テーマは、
○「ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在」 山崎 憲
○「ファッショの構図を読み解く」 保阪正康×上野千鶴子
○「異常気象が異常でなくなった世界」 今田由紀子
でした。
◎ 小岩の『世界』を読む会、1月例会 の予定
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●日 時 1月21日(木) 午後7時
●場 所 南小岩8丁目21の8
小岩駅から徒歩約3分
●持ち物 雑誌『世界』1月号
○共通テーマ
今回は2名だけの参加でしたのでここで決めず、共通テーマは各自3、4題選んでもらい投票の多いもの順に3題選ぶようにしようと決めました。
● 連絡先 須山
suyaman51@mail.goo.ne.jp