富岡の『世界』を読む会・2月例会の報告
富岡『世界』を読む会・2月例会は、2月20日14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティセンターにて、3人の参加で開催された。
テーマは、『世界』2月号から、Ⅰ.韓国の非常戒厳宣布関連 ①趙慶喜『韓国 女性たちの「消えない光」』②緒方義広『大統領の「内乱」』③金承福『本とチェック 戒厳令の夜』④編集部『ドキュメント激動の南北朝鮮 157分の非常戒厳』、Ⅱ.特集1マスコミはなぜ嫌われるのか ①林香里『「敗北」の意味』②成原慧『ソーシャルメディアが問い直す選挙の形』③伊藤昌亮『「オールドなもの」への敵意』だった。
Ⅰ.韓国非常戒厳宣布関連
尹錫悦大統領による非常戒厳宣布に対する弾劾デモは、20,30代の女性がアイドルの応援棒をもって多数参加したことで世界の注目を集めた。デモ参加者のうち20,30代男性は8.6%だったのに対し、同年代の女性は29.7%も占めた。こうした現象を趙慶喜は、若い女性による「ファンダム文化と共振する民主主義」と語っている。緒方義広は「日本から見る今回の事態」を、日本国憲法に「非常事態条項」が加えらた時の危険性を想起するとともに、「親日派」の尹弾劾が日韓関係に及ぼす悪影響を指摘する。事件の夜光州に滞在していた金承福は、兄弟たちとともに非常戒厳宣布のニュースに直面し、光州民主化抗争のことを話題にしながら、不安な夜を過ごしている。これは「韓国のほとんどの家庭で起こった光景」だと報告している。
弾劾審判も大詰めとなり、3月中旬には結審する見通しだとメディアは伝える。今後しばらくは、隣国の民主主義を守る戦いに気が抜けない。
Ⅱ.特集1.マスコミはなぜ嫌われるのか
若者の平日の新聞閲読時間は、10代1.4分、20代1.7分、30代1.9分。SNSを見る時間と比較もできないぐらい寡少(過小)だ。林香里は「ネットは戦わずしてマスメディアに勝つ、不戦勝の状況」と断じているが、兵庫県知事選の結果は「メディアの敗北、ネットの勝利」だけでは説明できないとし、兵庫県民の「県政刷新」を求める声に注目する。斎藤候補が「パワハラ・おねだり」イメージよりも「改革派」イメージが勝り、対抗馬の稲村候補がその豊富な実績ゆえに「既得権益側の人物」と目されるともに、ネット環境が女性政治家に不利な状況を作り出している、と指摘する。
伊藤昌亮の『「オールドなもの」への敵意』は、東京都・兵庫県の知事選結果やトランプ勝利の背景を分析し、きわめて説得的だ。高齢者への過度な再分配で現役世代が過度な負担を強いられ、高齢者への配慮が日本のイノベーションを遅らせている。こうして問題意識をもって、高齢者=「オールド連合」は、「既得権益層」であり「規制権力」とみなされ、一方若者世代=「ヤング/ニュー党」は「生活苦と将来不安」を抱えながら「イノベーション」を訴求する。「オールド連合」批判は、リベラル批判へとつながっていくとの指摘に、はっとさせられる。
Ⅲ.3月例会の案内
1.日程・場所:3月20日(木)14.00-16.00時、
高崎市吉井町西部コミュニティセンター
2.テーマ:
特集1から
山本美里『あなたは私で、私はあなた』、
シリーズ夜店 二階堂裕子『出生前検査と「生きられる障害」の時間』、
特集2から
永瀬伸子『子どもを産み育てられない社会―ジェンダーが埋め込まれた日本の働き方』

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます