読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

史上最高の航空機設計者 ケリー・ジョンソン 自らを語る

2024年05月04日 10時30分04秒 | ■読む

クラレンス・L・ケリー・ジョンソン、
アメリカのジョット戦闘機「F-104」、偵察機の「U-2」と「SR-71」の開発を主導したことで有名な著者が、自らの人生を振り返る著作です。

スエーデン移民の子として、貧しい生い立ち故に家計を助けて成長しましたが、旺盛な好奇心と冒険心に持ち利発で勉学に励み、少年期から飛行機の技術者を目指したそうです。
持ち前のまっすぐな性格に加え、両親の敬虔で実際的な人柄が、ケリーを自立心旺盛で一流の技術者になる基盤となった性格を形成したのかもしれません。

軍事機密に該当する数々の機体の設計に携わったことから、開発の第一線で活躍していた期間は知名度が高くなかったようですが、生み出した機体の成功によって数々の賞を受賞し、度重なる社長就任要請を断り、設計の最前線にいることを選択したそうです。

今日の重要な技術であるステルス性を、1950年代後半から開発した機体で実現していたというのは驚きでした。
その機体であるSR-71は、巡航速度:マッハ3.2+(フルアフターバーナー)と巡航高度:25,000m+ (84,000ft)を誇り、この二つを実現する機体は、現在に至るまで他に存在しないそうです。

機体の技術面に関する内容を期待していましたが、本書は、著者が関わった主要な機体の開発経緯と、著者自身の開発への取り組みが主な内容です。
しかし、主な技術的課題と解決に至る道筋が簡潔にまとめられており、期待を裏切らない出来の著作でした。

1990年に亡くなられた様ですが、本書の終盤の「第19章 技術の進歩と将来の展望」は、著者の炯眼がよく現れていることが、30数年後の現在では良く分かります。
そして、スカンクワークスを設立し成功に導いたのは、著者の卓越した見識と技術的能力に他なりませんが、その根底には、無駄を省く為に、最短の時間と費用で機体を開発することを目指した精神であったと思います。
それは、著者を育んだ両親の教育と宗教的感化の結果なのではないでしょうか。
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クラレンス・ケリー・ジョンソン  ○SR-71  ○カンクワークス
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評価は4です。

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カメラまかせ 成り行きまかせ  〇カメラまかせ 成り行きまかせその2


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