読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

大道商人のアジア

2011年06月07日 20時34分47秒 | ■読む
和賀正樹著、小学館刊
東南アジアの国々、中国、韓国、モンゴル、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ、ビルマ、カンボジア、マレーシア、インドネシアの11ヶ国で取材した110人の大道商人の人々を紹介しています。類書の中での本書の特徴は、短い紹介の中に、一人ひとりの人生や生活を感じさせる事だと思います。
文字通り老若男女が、実に様々な物品やサービスの対価を得ています。真っ当なものもありますが、賭け事や大道芸人の人々、更には、都市の中新部へ車が進入する際、乗り合い人数が三人以上でないと許可されないため、手前から車に乗り合わせて謝礼を稼ぐ人や、オートバイの駐車中、盗難に遭わないように見張り、合わせて灼熱の熱帯の太陽光線から、オートバイのシートを段ボール遮るサービスで謝礼を得る、あるいは、スーパーなどで、スコールの際に、車から店の入り口まで傘を差すサービスで謝礼を得るなど、実に様々なです。
社会全般が貧しい時代には、人々は必死になって生活の糧を得る為に、その日その日を生きています。そうした悲惨さばかりが頭をよぎってしまいますが、紹介されている人々のひたむきで謙虚な在り方が、大変美しいように感じました。紹介されている多くの人々が、身近な地域で生きることに自足しており、欲望に駆られることなく生きています。豊かさの対価として私達が失ったものの貴重さを実感されられる一冊でした。
評価は4です。

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