読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

消費するアジア

2012年01月22日 19時54分33秒 | ■読む
大泉啓一郎著、中公新書
昭和29年に生まれた私が属する世代は、戦後の貧しさをボンヤリと感じながら、中学生の頃から急速な高度経済成長を体験しました。そして、バブル期は30代半ばで、職場でも中堅となり、仕事に遊びに夢中でした。その頃は、アジアは貧困で開発の遅れた地域という印象でした。当時NIESという耳慣れない言葉が登場し、それが、新興工業経済地域という意味の英語の頭文字で、アジアでは韓国や台湾でした。これらの国々が日本を追って発展してきましたが、その後、ASEAN(東南アジア諸国連合)という枠組みも登場し、更に中国も含まれるようになり、近年のアジアの発展は驚異的です。
本書は、そうしたアジアの経済成長の現状を踏まえ、その諸相を様々なデータを元に分析しています。そして、国単位で考えるのではなく、メガ都市、メガ都市を含む経済的に関係性の緊密な地域を指すメガリージョンに着目すべきであるとしています。
この視点からすると、例えば、大国においては、バンコク周辺のメガリージョンとタイ北部や東北部との著しい経済格差を、中国においては、上海などのメガリージョンと奥地の諸地域との経済格差を解消することが喫緊の課題であり、それが両国政治の最も大きな課題であるとしています。更に、二酸化炭素排出に関しては、国毎の区分ではなく、メガリージョン単位に設定する方法を提示しています。
振り返って日本が抱える少子高齢化の課題こそは、アジアが今後直面するもので、日本がトップランナーであってみれば、今後のアジアの範となるもので、環境問題も含め、日本が貢献し活躍出来る余地が大きいとしています。
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URL => http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=2816
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全く独自の視点からの分析で、大変興味深く読みました。良書です。
評価は4です。

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