読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

闇の華たち

2009年08月21日 19時45分14秒 | ■読む
乙川優三郎著、文藝春秋刊。
久しぶりの乙川さんの著作です。本作は、5つの短編からなる珠玉の短編集です。
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●花映える:理不尽な言いがかりで命を落とした友の仕返しをした主人公は・・・。
●男の縁:縁あってある藩に召し抱えられた主人公は、藩士の家々の歴史を記録する仕事に取り組むが・・・。
●悪名:幼馴染みの男女二人がそれぞれ人生を歩むようになり、女は恵まれない境涯に落ち込む。ある日堕落してしまった幼なじみが・・・。
●笹の雪:嫁ぎ先の夫は出奔してしまい、家のために年下の婿をもらうことになるが、そんな折に、出奔したかつての夫が現れて・・・。
●面影:幕末の佐倉藩の藩士二人は藩命で水戸藩の動向を探索していたが、やがて大きな時代の波によって歩む道を分かつが・・・。
●冬の華:蘭学を学ぶために長崎へ遊学し帰藩した主人公は、縁あって漢方医の娘と結婚し男の子が生まれるが・・・。
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普通の短編集は収録された一編の作品のタイトルを使うことが多いのですが、本作品は、収録作品に共通した雰囲気を表現した「闇の華たち」となっています。どの作品も暗いトーンで始まりますが、結末では淡い希望がほのかに残り、深い感動を覚えます。どうしたらこんなに心に染み入る物語を紡ぎ出せるのでしょうか。目が眩む思いがします。
評価は5です。

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