マイケル・バー=ゾウハー&アイタン・ハーバー著、早川書房
1972年(昭和47年)ミュンヘンオリンピックで殺人テロが起きた時、私は未成年で、その意味するところを理解していませんでした。
その後、書籍を読み進めているうちに、ユダヤ人の受難と迫害、そして待望のイスラエルの建国の歴史を知りました。
驚くべきは、ユダヤ人が散りじりになった土地で、ユダヤ教を信仰し、厳しい環境に耐え続け2000年の間、民族の独自性を維持したことでした。
社会が、その構成員にある程度の同一性を求め、余りにも異質な存在を容認しないことから、こうしたユダヤの人々が激しい差別の対象になったようです。
平時であっても、差別された人々は隔離され、社会が不安定になると虐殺や追放が生じる。
特に、同根の宗教であるキリスト教の国々においては、異教の民として虐げられた。
それが、戦費を必要とするイギリス政府がユダヤ系の富豪と取引を行い、ユダヤ人が住んでいたパレスチナの地にユダヤ人の国家の建設を認め、それがやがて実現した。
その一方で、そこにそれまで住んでいた人々は、後から来たユダヤ人に追われ、搾取され、やがて対立が激化していった。
それを助長したのは、ヨーロッパの大国とアメリカでした。
こうした経過は、以下の2つのリンクから理解出来ます。
本書は、その様な状況により出来した、イスラエルとパレスチナの間で生じた血みどろ暗闘が描かれています。
ミュンヘン・オリンピックのテロは、その大きな分岐点とも言えるものですが、本書では、それ以前とそれ以後の経緯が、多くの登場人物の人となり、あるいは行動を通して、スリリングに描かれています。
稀に見る優れたルポと思います。
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○ユダヤ人社会 ○パレスチナ問題
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