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白石一文著、講談社文庫刊
著者の父上の白石一郎さんの作品は何冊か読みました。面白かった。その息子さんがどのような作品を書いているのかに、かねてから興味を持っていましたが、やっと本書を手に取りました。というのも、私の好みの傾向に近い山本周五郎賞を受賞した作品だからです。
さて、読了して茫然自失。全くの新しいスタイルの小説です。主人公である優秀な編集者の視点から物語が進みますが、同時に、多くの引用と思索が語られています。しかもかなりの量です。多くは経済学に関すること、特に市場原理主義への批判です。また、いきなりのセックスの場面が凄まじい。
解説で作品を分析していますが、さすがに同業の小説家の分析は深いなぁと感じました。私は、このごった煮のような小説を、引用や思索を除いて考えると、頭脳が明晰でニュートラルな主人公が、複雑な世界をどのように理解し、他者との関係性を吟味し、自分の存在の在り方を探求する物語のように感じます。
過去に引きずられたり未来への影響を考えることなく、今現在、自身が納得できる、あるいは、腑に落ちる選択をすべきとしているのだと思います。(山本周五郎の主張も同様です)
それにしても、これだけの材料を配置し、物語を構築する手法に驚きました。そして主人公の明晰で孤独、しかしなお、世界と中立的に結びついているキャラクタの在り方に感動しました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/白石一文
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評価は4です。
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著者の父上の白石一郎さんの作品は何冊か読みました。面白かった。その息子さんがどのような作品を書いているのかに、かねてから興味を持っていましたが、やっと本書を手に取りました。というのも、私の好みの傾向に近い山本周五郎賞を受賞した作品だからです。
さて、読了して茫然自失。全くの新しいスタイルの小説です。主人公である優秀な編集者の視点から物語が進みますが、同時に、多くの引用と思索が語られています。しかもかなりの量です。多くは経済学に関すること、特に市場原理主義への批判です。また、いきなりのセックスの場面が凄まじい。
解説で作品を分析していますが、さすがに同業の小説家の分析は深いなぁと感じました。私は、このごった煮のような小説を、引用や思索を除いて考えると、頭脳が明晰でニュートラルな主人公が、複雑な世界をどのように理解し、他者との関係性を吟味し、自分の存在の在り方を探求する物語のように感じます。
過去に引きずられたり未来への影響を考えることなく、今現在、自身が納得できる、あるいは、腑に落ちる選択をすべきとしているのだと思います。(山本周五郎の主張も同様です)
それにしても、これだけの材料を配置し、物語を構築する手法に驚きました。そして主人公の明晰で孤独、しかしなお、世界と中立的に結びついているキャラクタの在り方に感動しました。
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