読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

東南アジアの歴史 人・物・文化の交流史

2013年09月20日 04時07分36秒 | ■読む
桐山昇、栗原浩英、根本敬著、有斐閣アルマ刊
東南アジアの歴史に関するものとして選んだ2冊目の書籍です。前の書籍は東南アジア各国の歴史に重心がありましたが、本作は、世界史の中で東南アジアが辿った歴史を描いています。特に、古代世界において海のシルクロードと呼ばれた海運での要衝として栄えたこと。やがて、東南アジアが、その地域の以東と以西との貿易の中継基地として栄え富を集積したこと。そして、繁栄を迎えた大航海時代の後、西欧諸国が産業革命を迎えたため、インドに続いて植民地の境遇に陥ったこと。更に第一次世界大戦と第二次世界大戦を経て、搾取され続けた植民地の立場からやっと独立を果たしたこと。経済政策を優先した強権政治体制が永らく続いたこと。こうした東南アジアが歩んだ苦難の歴史を知ることにとができました。
また、日本が西欧列強に追いつこうとして帝国主義にのめり込み、アジアの国々に大きな被害を及ぼしたことや、日本以上に西欧諸国が東南アジアに成した悪事をより正確に理解出来ました。結局、人や国家は自身の利益のために大きな罪を重ねてきたことも。
今日中国と韓国が日本に対する非難の姿勢を強めていますが、その強さの程度に関し疑問があるものの、私達の親の世代が(理由や成り行きはともかく)欧米諸国と共に東南アジア諸国に大きな被害を及ぼした事実をしっかり直視することが必要だと思います。
文体も比較的読み易く良書でした。
評価は4です。

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