学生の頃は歴史が嫌いだった。当時から固有名詞を覚えるのが苦手だったからかも知れない。歴史に限らず、固有名詞を覚えることは理解の基礎だが、私は全体像を理解が出来ること(明確なイメージを掴むこと)を好むのは今も変わっておらず、固有名詞に関心が薄い。だから、ヨーロッパの歴史も、あちらこちらと歴史の断片を拾い集めてはジグソーパズルのように組み立てて全体像が浮かび上がることに面白さを感じている。したがって、学習速度は極めて遅い。
この5年程、ヨーロッパの歴史を逍遙して楽しんでいるが、日本の歴史にも少しずつ興味が出てきた。そんな折に、新書のベストセラーとなった本書を手にした。室町時代はさっぱりイメージが湧かない時代だったので、期待して読み始めた。しかし、本書には私の苦手とする固有名詞が雨霰と並べ立てられていて困った。そこで、当時の役職名などに絞って意識しながら、固有名詞は読み飛ばすことにした。(読み飛ばさないと読み続けることは無かったろう)
本書で得られたのは、室町時代固有の政治構造とそれを支える仕組み、更に、その仕組み故の体制と社会構造の崩壊過程という、時代に固有の要因。そして、普遍的な要因としては、権力の諸要素と権力闘争の様相であった。これは何時の時代でも地域でも変わらない要因だ。
読了後著者の略歴を見て思いの外若いので驚いた。学者らしい文章で辟易したが、ある程度素養のある方には面白い読み物なのだろう。今後、もう少し大づかみな書籍も執筆していただけるとありがたい。
最近感じることだが、ルネサンス期は500-600年前で、明治時代は約140年前。それ程遠い時代ではないという事だ。また、西暦という時代の数え方に限界がある。例えば、古代メソポタミア文明は紀元前3500年頃に起こったというが、これを起点とすれば現在は、5510年だ。「B,C,」と「A.D.」は、人類の歴史を理解する上で、余分な障壁になっているように思う。余談だが・・・。
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○応仁の乱 ○呉座勇一
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