読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

イノベーション 悪意なき嘘

2012年08月24日 20時56分32秒 | ■読む
名和小太郎著、岩波書店刊
著者は1931年(昭和6年)生まれで、大学を卒業後、
●石油探査(第一次産業) => ロケット生産(第2次産業) => データ処理(第3次産業) => 教師(法学部)
と転々と職を変えてきたのだそうです。その時々の先端技術分野で仕事に打ち込み、取り分けメインフレームでの情報処理に没頭したことから、関連した法律上の課題や疑問に直面して、法律の道へ進んだとのことです。
本書は、そうした著者が、物作りから得体の知れないソフトウェアの開発に変わると共に、世の中全体が急速に情報化を迎え、常にその最先端に身を置いてきた途上で感じた様々な疑問を基礎として執筆されています。
例えば、2000年問題や、製造者責任法を適用されないなど、他の生産物と比べ著しく性質を異にしている。また、性善説に立って開発されたインターネットが、世界中の政治経済を動かしている現状の危険も示唆していいます。
そうした中で最も参考になったことは、「アンバンドリング」という言葉です。これは、かつてメインフレームが、その運用や保守を含めて、すべてをパッケージとしてハードの購入やレンタルを前提として商売していたものを、ハードウェアとソフトウェアを分離して販売することをさしますが、この今日に続くビジネスモデルを考案してから、コンピュータ世界の有り様が一変した、とのことです。
ハードウェアとソフトウェア分離したことにより、消費者は、その組み合わせによっては機能を果たさない場合、自己責任で解決しなければならなくなったのでした。言われてみれば、今日では当然のことですが、遙か昔は、ハードとソフトとが、密接不可分のものとして一体として使用され、動作が保証されていたのでした。
このように、時代の変遷と共に大きな変化を幾つも経ていますが、この様な波に乗って行かなければならない今日の社会は、実は表層の奥底に潜む陥穽に常に気配り目配りが必要な時代であると言えることに気付きました。
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URL => http://www.nttcom.co.jp/comzine/no008/talk/index.html
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評価は3です。

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