P・グッデン著、悠書館刊
本書で紹介された研究によれば、現在の世界で最も話者が多いのは中国語10億人、次が英語の5億人とのことです。しかし、世界の国々で使用している国をカウントすると、一位は英語の115カ国、次がフランス語の35カ国語だそうです。話者が多いのはネイティブスピーカーが多いからですが、英語を使用する国が多いのは、大英帝国の植民地が世界中に広がと経済的な繁栄、更にその次にアメリカが世界の覇者になったからとの事情のようです。その英語という言語の成り立ちと変遷を、本書は幅広く、様々なトピックを交えて解説しています。結構なボリュームですが、著者の本職はミステリー作家だそうで、大変に面白く、目配りの行き届いた構成です。
英国の正式な名称は「the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」だそうですが、その国土が、異民族に何度も蹂躙され、言語も大きく変わったあらましが語られています。その背景には、ヨーロッパの歴史、とりわけ民族の移動と戦いの歴史が横たわっていることが良く分かりました。日本ではそのような劇的な変化は無かったものの、1,000年前の日本語をそのまま読んでもなかなか理解出来ないことを考えると、英語の変化の大きさは想像に余りあります。著者は、英語の変化や語彙の吸収を進化と見なしている点に違和感を覚えましたが、結果的に多様な表現が実現されたことを指しているのかもしれません。
最も興味深かったのは、フランス語と英語の関係です。国力と文化が優勢であった時期のフランスの影響が、英語の表現でフランス語の語彙を用いることが優雅である、上品であるという風潮を招いたようです。アメリカ英語との確執も面白く読みました。他にも辞書の編纂など、大変参考になった事柄が満載です。
評価は5です。
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本書で紹介された研究によれば、現在の世界で最も話者が多いのは中国語10億人、次が英語の5億人とのことです。しかし、世界の国々で使用している国をカウントすると、一位は英語の115カ国、次がフランス語の35カ国語だそうです。話者が多いのはネイティブスピーカーが多いからですが、英語を使用する国が多いのは、大英帝国の植民地が世界中に広がと経済的な繁栄、更にその次にアメリカが世界の覇者になったからとの事情のようです。その英語という言語の成り立ちと変遷を、本書は幅広く、様々なトピックを交えて解説しています。結構なボリュームですが、著者の本職はミステリー作家だそうで、大変に面白く、目配りの行き届いた構成です。
英国の正式な名称は「the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」だそうですが、その国土が、異民族に何度も蹂躙され、言語も大きく変わったあらましが語られています。その背景には、ヨーロッパの歴史、とりわけ民族の移動と戦いの歴史が横たわっていることが良く分かりました。日本ではそのような劇的な変化は無かったものの、1,000年前の日本語をそのまま読んでもなかなか理解出来ないことを考えると、英語の変化の大きさは想像に余りあります。著者は、英語の変化や語彙の吸収を進化と見なしている点に違和感を覚えましたが、結果的に多様な表現が実現されたことを指しているのかもしれません。
最も興味深かったのは、フランス語と英語の関係です。国力と文化が優勢であった時期のフランスの影響が、英語の表現でフランス語の語彙を用いることが優雅である、上品であるという風潮を招いたようです。アメリカ英語との確執も面白く読みました。他にも辞書の編纂など、大変参考になった事柄が満載です。
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