読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

浮世絵摺師:手仕事 伝統の技と心/VHS

2010年06月04日 19時49分09秒 | ■見る
東京映像社制作
東京都の長尾直太朗さんの手仕事です。長尾さんによれば、浮世絵は元々墨一色であったのが、次第に色が増えて行き、最後は8色程度になった。しかし、浮世絵は庶民が買い求めるものであり、1枚当たり、せいぜい16文程度でないと売れない。一方、色を増やすと、版木の枚数が増え、摺る回数も増えるので、使用する色の数が多いと職人の賃金が低くなる。それで、版元は、絵師に色の数を制限して絵を描かせたのだという事です。しかし、浮世絵が隆盛を極めると絵師の力が強まり、使用する色の数が増えたため、職人の賃金が減って、結果的に浮世絵が衰えて行く原因となったとの事でした。
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URL => http://www.rokka-an.com/about%20nagao.html
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長尾さんの手仕事は、道具の手入れがビックリ。摺るために必要な馬楝(ばれん)は、竹の皮を単純に使うのではなく、摺る表面をあらかじめ横方向に金属でぐりぐりと、刻むように撫でて行きます。恐らく、当たりを柔らかく滑らかにするためでしょう。また、版木に色を塗るための刷毛は、その毛先がそろうよう、仕上げに、鮫肌を貼り付けた板をなぞって、完全に平らにするのでした。
また、版木が何枚かあると、紙を同じ場所にしなければなりませんが、そのために版木に印を付けるのですが、実に無造作に見える仕草で、その印に紙を合わせて浮世絵を摺って行きます。長尾さんの談によれば、子どもの頃、学校になど行かないで早く大人になって浮世絵の摺師になりたかった。そして、多くの摺師と同じように遊びたいと思ったのだそうです。その当時は大学卒業のサラリーマンの3倍以上の収入があったのだそうです。だから、職人は遊ぶために一生懸命仕事をしたのだそうです。
長尾さんの父上は名人と聞こえた方だそうですが、氏は叔父のところで修行させられ、結局父上の手業を見る事がなかったそうで、非常に残念がっていました。語り口が天晴れな江戸っ子で、非常に洒脱な方です。一通りの渡世を過ごした方なのでしょう。
評価は4です。

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