ジェイムズ・ブラホス著、日経BP刊
コンピュータが人間との有用な会話を交わす技術が大分前から研究されてきましたが、近年になり急速に実用化され普及しています。
本書は、アレクサとシリだけでなく、他のAI機能の開発の経緯を辿って、人間の音声の認識、解析と意味の把握、内容に応じた必要な処理の後に、人間に音声の会話の形で出力する一連の技術開発に触れています。
その成果としての会話を実現する事が如何に困難であったかが分かります。
また、言語の処理や意味の解釈にディープラーニングが果たした役割と、その開発の経緯が大変興味深く描かれています。
著者は、ご自分の父上の生前に長いインタビューを行って、父上の生涯に関するデータを保存し、生存中からチャットボットで父親のデータを自ら入力し、父上の記憶をネット上で疑似人格として作り出したそうです。
それを公表したところ、大きな反響があったそうで、多くは「バーチャルな不死はビジネスになるだろうか」という問いが含まれていたそうです。
アメリカらしいところです。
音声によるコンピューターとの会話の実現が社会に及ぼす影響が如何に大きいかを、著者は様々な切り口で見せています。
プラスとマイナスの両面があり、今後のゲームチェンジャーとなる技術の大きな課題であることを示しています。
複雑で困難な開発の経緯や技術的側面を、分かり易く興味深い構成で書いており、大分の書籍ながら興味が途切れることなく読み切りました。
良書と思います。
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○アレクサ ○シリ ○チャットボット
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評価は5です。
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〇カメラまかせ 成り行きまかせ 〇カメラまかせ 成り行きまかせその2
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