乙川優三郎著、朝日新聞出版刊
朝日新聞の朝刊に2009年2月16日から同年9月9日まで連載された作品です。大好きな音川さんの作品ですが、「さざなみ情話」と同じく読了するのに時間が掛かりました。言葉の一つ一つを疎かにすることが出来ない緻密さと情感に溢れているからです。かねてから山本周五郎の作品に通じる人間への暖かい視線を感じていました。そして、人の生き方を追い求めるかのような作品群です。本作は、そのいずれもを持ちながら、なお一層の高みに到達していると感じました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/乙川優三郎
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主人公の理野は、蒔絵師の一家に生まれ、自然に技術を習得しますが、ある事情から兄と共に江戸に出て蒔絵師として修行に打ち込みます。その過程で、多くの職人や文人などと巡り会い、実家のある田舎では考えられない世界に触れることにより、自らの才能を開花させます。
話中、芸術の本質や技術の有り様が、登場人物の口を通して多く語られますが、余程に下調べをしなければ描けない内容だと思います。そして、登場する江戸の姿も、同様に深い考証を経て組み立てたものと思います。
そうしたしっかりと構築された舞台に、一人ひとりの登場人物が血の通う人として登場し、それぞれの人生を歩んでいくように感じます。作り事に感じない重さがありました。大きな収穫を得たように感じます。
評価は5です。
朝日新聞の朝刊に2009年2月16日から同年9月9日まで連載された作品です。大好きな音川さんの作品ですが、「さざなみ情話」と同じく読了するのに時間が掛かりました。言葉の一つ一つを疎かにすることが出来ない緻密さと情感に溢れているからです。かねてから山本周五郎の作品に通じる人間への暖かい視線を感じていました。そして、人の生き方を追い求めるかのような作品群です。本作は、そのいずれもを持ちながら、なお一層の高みに到達していると感じました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/乙川優三郎
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主人公の理野は、蒔絵師の一家に生まれ、自然に技術を習得しますが、ある事情から兄と共に江戸に出て蒔絵師として修行に打ち込みます。その過程で、多くの職人や文人などと巡り会い、実家のある田舎では考えられない世界に触れることにより、自らの才能を開花させます。
話中、芸術の本質や技術の有り様が、登場人物の口を通して多く語られますが、余程に下調べをしなければ描けない内容だと思います。そして、登場する江戸の姿も、同様に深い考証を経て組み立てたものと思います。
そうしたしっかりと構築された舞台に、一人ひとりの登場人物が血の通う人として登場し、それぞれの人生を歩んでいくように感じます。作り事に感じない重さがありました。大きな収穫を得たように感じます。
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