読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

女は見た目が10割

2009年03月27日 20時25分16秒 | ■読む
鈴木由加里著、平凡社新書333刊。
最近は「キレイ」という言葉の意味が違ってきたようです。妻が言うには「最近の若い人が「キレイ」と言うのは「綺麗にしている」という意味のよう」。この話を30歳代前半の知人に話すと、ソーなのだそうです。語彙が少なくなっていることの現れであろう、との事でした。彼は芝居の脚本を書いているので言葉に敏感なので,そうなのでしょう。そして、こうも言っていました。語彙が少なくなった分、ある言葉に込める気分の幅が広がっている、と。だから、「キレイ」によって、キレイにしていると言う意味と、本来の美しいという意味を使い分けて使っているのではないか、との意見でした。
さて、本書は、女性が綺麗でいることに、どれ程多くの時間、お金、労力を費やしているか、その理由を様々な面から考察しています。男が趣味にのめり込むことは良くありますが、女性のコスメチックや美容の世界が、本書で示されている程に広大であったとは! ホントにビックリしました。そういえば、次女が美容に費やす時間などを思い返すと納得できます。
こうした努力は、楽しいからする面があるとはいえ、「きりがない」との思いにとらわれる瞬間があるそうです。「若い」、「綺麗」を永遠に保持することは不可能ですから、次の価値観に移行できれば良いのでしょうが、そうした価値観は見いだされていない。途方に暮れてしまう。
本書では、それに変わる価値観を示していませんが、恐らく、外面的な美しさを求める限り、老化に逆らう=自然の摂理に反する、という限界に向かって足掻いてしまうことになるのではないか。例えば、オードリー・ヘップバーンの年老いてからの写真には、美しさとは異なる気高さが感じられます。これが外面的ではなく内面的な美しさの現れ、と見ることが出来ればハッピーでしょうが、土台が違いからかもしれません。しかし、確かに美醜とは違うレベルでその人の輝きがうかがわれることが、ままあることも確かです。なかなかに興味深く読めました。
評価は4です。

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