第100代内閣総理大臣に就任した岸田文雄氏は、その前哨戦である自民党総裁選を通じ、新しい政治の方向として、新自由主義からの脱却、格差の是正と分厚い中間層の形成、果ては金融税制のゆがみ是正にまで発言していた。私は、小泉・竹中路線により持ち込まれ安倍政権で総仕上げされた新自由主義こそ、現在の日本の貧困の根源でありその脱却をこそ求めていたこと、岸田氏が自民党の中では最もリベラルと思われてきた宏池会に属し、久しぶりに宏池会から首相が生まれたこと、などを背景に、不用意にもこの岸田氏の発言を喜びその実現に期待を寄せた。
ところがそれは全くの幻だった。岸田氏は昨日からの代表質問に答える中で、新自由主義を是正するどころか、「アベノミクスこそ民主党政権の失政かから日本を救い、不況を克服した」、「この成長と分配の好循環こそ必要」とアベモミクスを持ち上げ、新自由市議からの脱却、格差是正、金融税制のゆがみ是正などの言葉はすべて消えた。
その裏には、安倍、麻生などの強力な圧力があったのであろうし、また経済界、財界の力が働いたのであろう。
一方、この政局の中で、安倍・菅政権の失政で下降を続けた内閣支持率は回復し、特に自民党の支持率が回復した。反面、野党の支持率は立憲民主党の5%台、共産党の3%前後と低迷を続けている。今月末行われる総選挙でも、日本が変わる兆しが示されることはないのであろうか?