旅の二日目、今回の目玉である五色沼を探勝した。
裏磐梯には、既に書いたように磐梯山の大噴火によるせき止湖沼が300はあると言われている。五色沼と言うのは、桧原湖、小野川湖、秋元胡という大きい湖にはさまれた40あまりの湖沼群の総称。私たちの歩いたのは、その中の10程度の沼を結ぶ観光コース「五色沼探勝路」で、約3.7キロの遊歩道。ゆっくり歩いても1時間のコースとなっているが、私たちはそれを約2時間かけて歩いた。
このコースは、一般的にはバス停の「五色沼入り口」から「磐梯高原駅」に向かって歩くようだが、前日の自然林を案内してくれたガイドが、「逆の方が標高差約30メートルの下り道となり楽だ」と教えてくれたので、そのコースをとった。
確かに逆のコースから来る人が多く、たくさんの人々とすれ違いながら歩いたが、修学旅行と思われる生徒の群れをはじめ、周囲の景色を見るよりひたすら歩いているという感じだった。これなら1時間もかからないで歩くだろう、と思ったが、もっと自然の美しさを楽しめばよいのに・・・、と人事ながら気になった。
われわれは、約10個の沼で必ず立ち止まり、あるいはベンチに腰を下ろし、じっくりと探勝した。
そしてこの沼々は名前に違わず、初夏の木々の緑と相まって、たくさんの色彩、輝きを表現して、私たちを満足させてくれた。その日が、晴れたり曇ったりの天候であったことも、一つの沼の色合いをさまざまな景観にしてくれたともいえよう。
その一つ一つに触れる紙数はないが、沼の名前と主な色合いだけでも記しておく。
最初は、他に比べればやや平凡な「柳沼」に始まり、「青沼」(コバルトブルー)、「るり沼」(コバルトブルー)、「弁天沼」(ブルー)、「竜沼」(茂みの彼方でよく見えなかった。それだけに神秘的な印象)、深泥沼(みどろぬま)」(青緑)、「赤沼」(赤くはなく緑、しかし岸辺の苔が赤く、これが名前の由来か?)、「毘沙門沼」(ボートが浮かぶ大きな沼で、様々な色をしていたが、陽の加減でコバルトブルーが美しい)
最後の毘沙門沼からは、沼を越えて磐梯山の雄姿を仰ぐことができて、木々の緑と沼の青に引き込まれてきた雰囲気から一気に開放された気分になった。
いやいや、なかなかのコースで、期待以上のものがありました。