久しぶりに一つのテーマをめぐって、有力各紙の報道の仕方を追求してみた。アイルランドのダブリンで、有志国110カ国により全会一致採択された「クラスター爆弾禁止条約」を、読売、朝日、毎日、日経、産経、赤旗の6紙がどう報道しているかを見たのだ。
このクラスター爆弾をめぐる問題は、米露中という軍事大国が参加をしていないが、英独仏に日本などを加えた110カ国が集まり、それら有志国と民間活動団体(NGO)が主導して、実質的にクラスター爆弾の使用を禁止させるもので、私は今後の軍備廃絶の一つの道筋を示すものと関心を持ってきた。しかも、有志国とNGOが推進した軍縮運動は、99年に発効した「対人地雷禁止条約」に続く2例目である点にも注目する。
軍事大国のわがままで、ほとんど打開の方向を見出し得ない軍縮交渉は、これらNGOと平和を望む有志国との連帯の中で、新たな道筋が見出されていくのではないかと期待するのである。
それだけに、各紙の採りあげ方と国民世論の動きに関心があった。
最も大きく取り上げていたのが毎日。一面トップに大きく報じた上、2~3面にクローズアップ、7面に詳細記事を載せ、加えて社説で「今こそ日本は廃絶の先頭に――無差別攻撃から市民守れ」と訴えている。
次は読売で、一面トップと2、6面にかなりのスペースをとって報道、特にNGOの活動を評価すするなどの記事があった。赤旗もトップではないが一面で取り上げ、7面には各国の対応(独仏などが「早期廃絶に向かう意向」を表明、など)を報じている。
それらに対し朝日と日経は、いずれも社説を掲げているが、朝日は8面、日系は6面にそれほど大きくない記事を掲載しているに過ぎなかった。産経にいたっては、5面に小さい記事があるだけであった。
私たちは、ほとんどの出来事をテレビか新聞で知る。その採り上げ方によって、かなり意識を左右される。私は毎日新聞を最初に読んだので、その詳細な報道と社説の主張などで、「軍備廃絶の新しい方向性」など、いろいろと考えさせられた。朝日や日経、産経などを読んだ人は、どの程度の事実認識を得、思考をめぐらしたのだろうか?
その結果、さまざまな世論が形成されていくことになるのだが、改めてマスコミの影響力について考えさせられた報道であった。